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【Zatsu】なくて七癖

4月からの生活もだんだんと落ち着いてきたころでしょうか。学校を卒業して新社会人になる。あるいは、いままでの職場を離れて、新しい仕事へ就く。環境変化にともなって、人との出会いも増えると思います。

おれは昔から名前を覚えるのが苦手なため、有名人と強引に結び付けて頭に叩き込んでいました。
会社にいる大竹さんという小柄でおとなしい女性は
大竹まこと➡大竹➡大竹……
「大竹さん、おはようございます!」
なんの関連性もないんですが、この女性と大竹まことをセットにして連想することで、強烈な違和感が記憶の定着を促進させる。
インパクトのある映像で頭に焼き付ける方法は、かつて「驚異の記憶術」という情報商材から学んだテクニックです。

三木さんという同僚も
渡邉美樹➡美樹➡ミキ➡三木
「三木さん、おつかれさまです」
あの人の顔が思い浮かんだら、もう思い出したも同然です。

この方法でいままで数々の困難を潜り抜けてきたんですが、副作用というか、連想ゲーム的な頭の変換作用が癖になっており、名前を聞いた瞬間に(まだ会ったこともないのに)姿が目に浮かぶことが増えました。

名前から無意識のうちに何かと結び付けており、一瞬で相手の姿かたちを想像できてしまう。
北条さんという取引先の人が、来月こちらへご挨拶にみられるという。北条さん自体はメールで何度もやり取りしていたので、以前からよく知っているけれど、まだお会いしたことがない。でもおれの頭の中には、しっかりした北条さん像があって、まぁ要するに、北条司の描くような女性だったわけです(恥ずかしいくらい単純な変換ですけど)。

黒髪ロングで背は高く、グレーのパンツスーツで「デキル女」風の、ちょっと口調のキツイおねえさま。でも人情味にあふれていて、涙もろい。

だから、実際にあいさつに見えたとき、戸惑ったんだ。北条さんがいないんだよ。あれ、どちら様ですか?
「はじめまして、いつもお世話になっております。北条です」
ちがう、おれの知っている北条さんじゃない。まず、ネイビーのジャケットを着てきた時点で許せない。一致していたのはグレーのパンツということだけ。ホント裏切られたような思いでした(言いがかりにもほどがあるが)。

街で見かけた赤の他人に対して、名前を想像して呼びかける癖もあった(現在は矯正済)。
「タカちゃん、タカちゃん」
相手は高木でもないし、タカシでもないので当然ながら返事してくれないんだけど、これを無意識にやっていたのだから、癖というのは恐ろしい。

人ごみのなかを歩いているとき、近くの関係ないカップルや友だちどうしが交わしている会話にさりげなく参加する癖もある。
「もうお昼だよ。アタシおなかすいた。どこいく?」
「おれもハラへったわ。メシいこ! 近くにいいところ、あったかなぁ?」
カップルがはしゃいでいる斜め後ろでおれがつぶやくように
「いいね。そうだなぁ(ボソボソ)」スマホの地図アプリを立ち上げる。
この癖はいまでもたま~に発生するんですが、意識して抑制するようにしています。
となりにいた友人から「やめてくれ、おまえ、ホントあぶない」といわれたのと、嫁からも「あんたね、思った以上に声にでてるから」と、人差し指を突き付けられながら厳しく注意されたからです。

でも、気を抜くとふとした時に顔を出すのが癖だから、完全に封じ込めるためにはまだ時間がかかるんだろうな。もともとは、名前が覚えられないことを連想ゲームで解決しようとするところから派生しているので、それをやめればいいんだろうか。でも、名前って覚えられないんですよねぇ🥴