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【Zatsu】君は千手観音

ご存じだろうか。かつて、あの風神が致命の一撃を受け、片腕を落としていたという事実を。詳細は最下段に新聞記事へのリンクを張っておくので興味があればご参照ください――。

風神ってご存知ですよね? 雷神と対になっていて、背中に袋を背負った像です。

こちらは雷神像。うわ、カッコイイ😍
こちらが風神像。だめだッ、いまのレベルじゃ勝てねぇ🤩

これらは屏風絵ですが、この元になった彫刻が京都の三十三間堂に安置されています(国宝)。
当時、上野の東京国立博物館では「アレクサンドロス大王と東西文明の交流展」が開催されていたんだ。風神は東洋側の目玉のひとつとして、京都の妙法院から貸し出されたんだけれど、その移送途中での悲劇。東西文明の以前に、国内の東西移動ごときでこんな憂き目にあうとは……。

もともと安置されている三十三間堂では千手観音の前においてあるんだ。どちらも国宝なだけに、こんな腕が落ちるなんて不祥事はそうそう起きないだろうと思ったら、実は千手観音でもあったんです。

千手観音はこれまでに2度大掛かりな修復作業をしているんだけれど、いま見るとどうにも不自然な生え方をしている腕が数本あるらしいんだよね。あきらかに「コレちがうだろ」という。
かつて、修復のために千手(実際には42本)を取り外したんだ。あとで元の位置に戻せるように腕と本体にペアで数字を振っておいたらしいんだけれど、修復作業がおわり、いざはめ込む段階になって、何本かあまったらしいんだ。冗談みたいな話だけど。
そりゃおかしいだろってことで、おそらくここだろうという場所へそっと挿しておいた。こっちがあっちで、あっちがこっち。そりゃ、あんだけ腕がニョキニョキはえてれば、わからなくなるのも無理ないか。千手観音のプラモデルってあるのかな。非常に高度な見極めを要するよ。

これまでいろんな学者が「この腕にはこういう功徳が――」なんてかしこまった表情で解説してたけど、それ間違いよ。本来はちがう場所の腕だから。

でもさ、これまでみんなそういうものとして受け入れてきたんだから、いまさら「本来の位置は」なんて野暮な詮索はしなくていいようにも思うね。結局は受け取る側の気持ちの問題なんだからさ。学問として本来の位置を解明したいのはわかるけど、位置が多少ちがう程度で美術品としての価値が大きく損なわれるとは思わないけどね。修学旅行生とか、そこばっか見ちゃうっての😛

参考:風神を襲った悲劇の新聞記事


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