京成立石駅をゆく(東京)
吞兵衛の、吞兵衛による、吞兵衛のための町「立石」。
この町にあって、いまも鮮やかに記憶に残っているのは、飲み屋ではなく「立喰 栄寿司」という寿司屋なんだ。
「よし、きょうは 寿司を食べに行くぞ」
朝っぱらから一張羅の背広に袖をとおした親に手を引かれ、電車に揺られて京成立石へ。すでに開店前から行列で、ようやく中に入ったと思ったら、淡々と食って店を出る。
「うまかったな」
「うん」
それだけ。
お洒落していくような店じゃないんだよ。立ち食いだから落ち着かないし、店内は殺風景