#平家の落人
平家の落人がやってきた 〈後篇〉
8/24
この日はパラリンピックの開会式。
テレビに映る聖火台をキャットタワーの上からひたすらじっと見つめる愛猫に呼応するかのように、ベランダでは、もう体調5cmぐらいになるだろうか、だいぶ成長された大きなお方がレモンの葉の陰でじっとしておられる。
私が見に行く時たまたまなのだろうか?
前日まで旺盛な食欲を見せていたものが、まるで座禅を組む修行僧のように、いつでも静かに佇んでいる。
この頃に
平家の落人がやってきた〈中篇〉
8/21
夜が明けた。
目覚めるとすぐ、もったいなくもお預かり申し上げた落人ブラザーズの様子が気になり、真っ先にベランダへのガラス戸を開ける。
様子を伺うと、朝の清々しい空気の中、レモンの木のグリーンの上で兄弟共に元気に葉を食べている姿が目に入った。
昨日拾い上げた際には小さいお方は動く素振りがなかったため心配だったが、杞憂であったらしい。小さな体で一心不乱に葉を食んでいる。
大きいお方は言
平家の落人がやってきた〈前篇〉
ある日、私はメロスの如く激怒した。
ベランダの植物に水を遣ろうとしたところ、GWにお迎えしたレモンの若葉が漫画のようにめちゃめちゃに食い荒らされていたのである。黄緑色の瑞々しい葉っぱが枝の先にたくさん増えて行くのに日々生命力を感じていたのに。
葉の上には昨日までいなかった黒とグレーのげじげじした小さな虫が4匹も突然登場しており、その容貌から全身が総毛だった。
全く想定だにせぬことだったから、その