大学スポーツ選手の心筋炎リスクに関する研究を誤って伝える投稿がありました。

ソーシャルメディアの投稿では、米国の主要な大学スポーツリーグの選手の50%がCOVID-19ワクチンに起因する心筋炎を発症しているとの研究結果が発表されたと主張しています。これは誤りです;この研究では、ワクチン接種が一般に公開される前に感染した選手を調査し、心臓の炎症の発生率が圧倒的に低いことを確認しています。

「なんてこった... Big10の約50%のアスリートが心臓スキャンを受けた結果、まだ自覚症状のない心筋炎を患っている」と、米国の大学スポーツ界で最も歴史のあるカンファレンスの一つを参照して呟かれた2022年8月27日のツイート(⇦妙に重いので見なくてもいいです)があります。

この投稿には、過去にワクチンに関する誤った主張を広め、同プラットフォームのCOVID-19誤情報ポリシーに違反したとしてTwitterから追放されたウイルス学者・免疫学者のRobert Maloneが登場する動画が含まれています。この映像の中で、実証されていないCovid-19治療法を宣伝したことで調査を受けているハワイの医師、Kirk Milhoanにインタビューしています。

➡まあ、ここまでで #読む価値無し と捨て去ってもよいのですがねwww。

Maloneは尋ねます:「カリフォルニアで、ワクチンによる心臓の損傷で、かなりの数の死者が出るのでしょうか」

Milhoan は次のように答えます:「もし、子供達が活発に遊べるようにすれば、水面下で多くの心筋炎が発生していると思います」

その証拠として、Milhoanはミシガン州立大学やペンシルバニア州立大学などの大学を含むBig10のスポーツ選手の心臓のリスクに関する研究を挙げています。

2022年8月31日に取得されたツイートのスクリーンショット

Twitterで235,000回以上視聴されたこのインタビューは、様々な動画共有サイトオンライン記事Instagram(⇦これも何故か重い)やFacebookでも拡散されました。

心筋炎は、COVID-19ワクチンの副作用として稀に見られるものです。しかしながら、米国CDCWHOは、ワクチン接種の利点はその既知のリスクを上回る--そして、コロナウイルスに感染した人は心筋炎のリスクがかなり高くなる--と述べています。

そもそも、Milhoanが引用した研究(⇦アーカイブですが、何か重い)は、COVID-19のワクチン接種を受けたアスリートを調査したものではありません

オハイオ州立大学ウェクスナー・メディカル・センターの内科准教授で、論文の共著者の1人であるSaurabh Rajpal氏は、2022年9月1日のメールでAFPに「我々の研究は、ワクチンによるものではなく、COVID-19に感染した選手の心臓MRIを調べたものです」と述べています。

この研究は2021年5月、査読付医学誌《JAMA Cardiology》に掲載されました。安全に競技に復帰するためのプロトコルを設定する目的で、米国の大学スポーツ選手1597人を調査したものです。

研究者らは、症状ベースのスクリーニングを使用した場合、臨床的な心筋炎が見つかったのは参加者の僅か0.31%であることが判明しました。MRIスキャンを使用すると、臨床的及び潜在的な心筋炎の有病率が上昇し、2.3%の選手が心筋炎を発症していることがわかりました(ソーシャルメディア上で主張されている50%ではありません)。

メリーランド大学医学部の教授で、《Big Ten Cardiac Registry》の心臓MRIコアリーダーを務めるJean Jeudy氏は、そもそも、研究に参加してくれたアスリートはワクチン接種を受けていないことを明らかにした上で、次のように述べています。

「最初の研究自体はCOVID-19発症時のものなので、実際にはワクチン接種前のものです」と9月2日に述べています。

2020年秋、Big 10は、コロナウイルスに感染した選手の心筋炎患者が増加したこともあり、競技を延期しました。この動きは、まだ展開されていなかったCOVID-19ワクチンとは無関係でした--そしてJeudy氏は、心筋炎への懸念はパンデミックより先に起こったものだと述べています。

「もしあなたがスポーツ選手で、心筋炎であることが判明した場合、基本的にプレーが制限されることになる」と彼は述べています。

Jeudy氏によりますと、ワクチンはCOVID-19感染後の心筋炎発症を防ぐことが出来るため、アスリートに推奨されているとのことです。

AFPは、心筋炎に関する他の主張について、こちらこちらこちらでファクトチェックをしています。


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