主張5:ほぼ正しい:「今、研究によって、子供達の世代に(学校閉鎖の)破滅的な害、つまり運動能力や認知能力の著しい低下と精神衛生上の危機が明らかになりつつあります。」

子供におけるCOVID-19の影響とSARS-CoV-2感染における役割に関する不確実性から、米国を含む多くの国が2020年初頭にウイルスの拡散を抑えるために学校を閉鎖することになりました。米国におけるこれらの閉鎖期間は州によって大きく異なりますが、学校に通うことは子供達の学業および社会的発達に不可欠であるため、この措置は激しい議論の対象となりました。

ウイルスに関する現在の知識は、学校閉鎖の疫学的な利点が生徒への有害な影響を上回ると考えにくいことを示しています。2022年2月のThe Conversationの記事では、パンデミックに関連した学校閉鎖の影響として、教育の進歩の低下、学校中退のリスクの増加、身体的・感情的な幸福の低下などが強調されています。従いまして、AAPは現在、学校閉鎖を最後の手段としてのみ残し、予防と制御の戦略を重ねることを支持しています。

SARS-CoV-2の蔓延を抑えるための学校閉鎖の効果に関する現在のエビデンス

SARS-CoV-2の感染に対する学校の具体的な貢献度を決定することは、一般集団の感染率や学校における管理手段の使用状況など他の要因の影響を受けるため困難です。流行開始後2年が経過した現在でも、学校がウイルスの拡散にどの程度寄与しているかは不明であり、研究結果もまちまちです。

例えば、2020年3月から5月にかけて米国で実施されたある研究では、学校の閉鎖が一時的にCOVID-19の発症率と死亡率の低下と関連していることがわかりました[22]。この効果は、COVID-19の患者数がまだ少ない時期に、早めに学校を閉鎖した州でより顕著に現れました。

一方、スウェーデンで行われた高等学校と中等学校の閉鎖を比較した研究では、生徒とその両親への感染は非常に限定的であることが分かりました[23]。しかし、教師への影響は遥かに大きく、教師の感染者数はほぼ2倍になりました。

2022年3月、ノルウェー公衆衛生研究所は、より新しい研究を "Pediatrics"誌に発表しました。この研究は、オスロの7つの地区の開校校と閉校校で、生徒の感染率を経時的に比較したものです[24]。その結果、学校の閉鎖は、感染率の低下において、目標とする予防・管理策よりも効果がないことが分かりました。

全体として、科学的な証拠は、学校閉鎖に対するMakary氏の反対と、学校閉鎖を防ぐことが出来る対策が、いかに相容れないものであるかを示しています。

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