銀行が「通貨切り替え」をしても、住宅ローン契約は無効にはなりません。

銀行が「通貨切り替え」をしたら、住宅ローン契約は無効になるのでしょうか?いいえ、そんなことはありません: 住宅ローン書類は法的拘束力のある契約書であり、その中には、借りた金額を支払い、ローン機関がその金額を受け入れることを要求する約束手形がありますと、住宅ローンの専門家がLead Storiesに語っています。

この主張は、2023年3月31日にTikTokで公開された動画(アーカイブはこちら)に登場し、動画の中の女性は次のように述べています:

大銀行が倒産した時やあなたの銀行が倒産した時、あなた方はこれを探す必要があるのよ。そして、銀行が立ち直ったら・・・。何か月か前に、私は、銀行が通貨を切り替えた場合、住宅ローン契約が無効になるので、みんなは契約法を勉強すべきであると伝えたわ。

http://web.archive.org/web/20230401204913/https://www.tiktok.com/@sheilakaymcintyre/video/7216878768319663402 

このファクトチェック執筆時のTikTokでの投稿は以下のような感じでした:

(出典:2023/04/25 火曜日 22:14:09 UTCに取得したTikTokのスクリーンショット)

動画に登場する女性は、ある銀行が金曜日に閉鎖され、その後再開した際に「不換通貨」(紙幣と硬貨の両方を含む物理的なお金)が使えなくなったという状況を想定しています。そのため、その銀行の住宅ローン契約は無効になってしまうと彼女は主張します。 「銀行が通貨切り替えをすれば、それは契約違反になる」と女性は言います。

全国チェーンの住宅ローン業者、Cardinal Financial Companyの支店長を務めるAmrish Dias氏は2023年4月24日、Lead Storiesの電話取材に対し、銀行が「通貨切り替え」をすれば住宅ローンが無効になるという主張は誤りであると回答しています:

住宅ローンを組む人は皆、約束手形を持っています。そこには、手短に言えば、タイムリーに住宅ローンの支払いをすることを約束し、その後、支払いが完了する、と書かれています。ドル札のことも書いてあります。それは実際にドル建てです。

https://leadstories.com/hoax-alert/2023/04/fact-check-a-mortgage-contract-will-not-be-voided-if-bank-switches-currency.html 

契約は約束手形に書かれていますから、住宅ローン契約が無効になることはありません、とDias氏は言います。その約束手形には、お金は米ドル紙幣で貸し付けられ、米ドル紙幣で返済されることが書かれています。通貨が変われば、銀行は約束手形を修正しなければなりませんが、契約を無効にすることは出来ません。

2023年4月27日現在、「米国経済の最大限の雇用と安定した物価を促進する」ために国の金融政策を決めている連邦準備制度理事会は、米国通貨の変更について何の発表もしておりません。

映像の女性は、銀行の通貨が何に切り替わるかを推測し、「CBDCだと思う。それは不換通貨ではない。モーゲージの返済期限が来たら、手元に現金があることを確認する。現金を直接銀行に持っていくのだ。そして、その現金で支払いを済ませようとする。それで断られたら、住宅ローンが無効となるわけだ」

Lead Storiesが以前お伝えしました通り、FRBのウェブサイトでは、「一般大衆が広く利用可能な中央銀行貨幣のデジタル形式」と定義する中央銀行デジタル通貨(CBDC)に対する米国中央銀行のスタンスを説明しています。2023年4月20日に最終更新されたこのページ(アーカイブはこちら)には、FRBから一般に入手可能な通貨は現物の銀行券だけであることが明示されています。FRBは研究を通じてCBDCの利用を模索していますが、このファクトチェックの執筆時点では、その通貨は実装されていません。

Lead Storiesは、FRBに関連するいくつかの誤った主張を論破しています。それらはこちらでご覧頂けます。


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