COVID-19の注射が免疫力を低下させるというデマがネットで広まっています。

ネット上の記事やソーシャルメディアへの投稿では、COVID-19ワクチン接種が被接種者の免疫系を損ない、「ワクチン後天性免疫不全症候群」を引き起こすとされています。これは誤りです。《そのうちの一人は、この主張を裏付けるために引用された研究の著者であるのですが、》医学の専門家達は、ワクチンにはそのような効果はないと述べています。

『ワクチン後天性免疫不全症候群(VAIDS):「この免疫浸食はもっと広く見られると予想される」』は、AFPがファクトチェックを行なった他の不正確な主張を行なっているグループAmerica's Frontline Doctorsのウェブサイトに、掲載された2021年12月5日の記事の見出しです。

Screenshot of an article taken on December 17, 2021

この主張は、ワクチンCOVID-19に関する虚偽または誤解を招く情報の一部として、他の記事にも掲載され、ツイッターフェイスブック にも投稿されました。

America's Frontline Doctorsのウェブサイトに掲載された記事は、「COVID-19ワクチンによる保護が時間とともに減少する。」という医学雑誌”The Lancet”の研究を引用しています。この研究は、まだ他の科学者による正式なレビューを受けていません。

しかし、記事はこの研究結果を利用して、『医師達は、繰り返しワクチンを受けている人々のこの現象を「免疫浸食」或いは「後天性免疫不全」と呼び、心筋炎やその他のワクチン後の病気の発生率が高く、その影響がより早く出て死に至るか、より遅く出て慢性疾患に至るかを説明しています。』と主張しています。

研究著者であるスウェーデン地域医療学部の医師でウメオ大学の教授であるPeter Nordstorm氏は、この主張を 「誤った情報」と表現しています。

どのサブグループでもワクチンの有意な逆効果が見られたという事実はありません。」と、Nordstrom氏は12月15日、AFPに語ってくれました。

この研究では、ワクチンの「症候性COVID-19感染に対する効果は、時間とともに漸減する」ことが、サブグループ間でさまざまな割合で確認されました。VAIDSについては言及されていません。

Nordstrom氏はこうも述べています。:「もし、そのようなものが存在するならば、我々のデータ、或いは、私が知っている他のデータに基づいて、ワクチン接種が免疫侵食や後天性免疫不全をもたらすと主張する人もまた誤りです。

ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部の微生物学-免疫学助教授、Pablo Penaloza-MacMaster氏も同意しています。

COVID-19ワクチンは免疫抑制を引き起こしません。」と、彼は12月16日に述べています。

「これは単なる誤報で、地球が平らであると言うのと同じことです。これらのワクチンは既に世界中で数百万人に投与されており、持病のある人や免疫力が低下している人でも、極めて安全で有効であることがデータで示されています。」とPenaloza-MacMaster氏は述べています。

CDCは、COVID-19ワクチンによる予防効果が薄れてきたため、ブースターショットを推奨しています。しかし、これを免疫系への脅威と混同してはなりません。

バッファロー大学ジェイコブス医学・生物医学部感染症科主任のThomas Russo氏は12月17日、この推奨は「免疫システムを損なっているという意味ではない。」と述べ、むしろ「その反応を最適化するためにシリーズ3度目の接種が必要だった。」と述べました。

「COVID-19ワクチンが免疫系を弱体化させる 」という主張について、「ワクチン接種が原因という事実はない」と述べ、次のように付け加えました。「ワクチン接種は実際には逆のことをするのです。

テキサスA&M医科大学の臨床助教授であるJason McKnight氏も、12月17日に「ワクチン後天性免疫不全症候群やVAIDSなどというものは存在しない」と述べ、この主張を否定しています。

抗体レベルが数ヶ月にわたって減少することがVAIDSの存在を裏付けるという主張は真実ではなく、免疫系に見られる単なる自然現象です。



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