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テロ学の基礎講座①――テロを4つにカテゴライズする

10月29日の「テロ審議会」では浅沼委員長刺殺事件(1960年)から和歌山爆弾投擲事件(2023年)までに起きた12のテロ事件について議論する。

https://talkingbox2022.com/1472/e20231029/

それで、TakingBoxの告知ページには12のテロが並んでいるわけだが、こうやって並べてみると、テロが4つにカテゴライズできることがわかる。

1 要人テロ

権力者を標的としたテロ。テロの基本。司馬遷「刺客列伝」の時代からテロといえばこれ。
浅沼事件、三島事件、国松事件、山上事件、和歌山事件はこれに当たる。

2 無差別テロ

一般市民を巻き込んだテロ、あるいは一般市民を標的としたテロ。よど号事件は前者、オウム事件は後者。
よど号の場合、犠牲者は出さなかったが、一般市民を人質にとったので無差別テロの誹りは免れない。ハイジャックしたのが政府専用機や軍用機なら問題はなかった。

3 小人テロ

権力者や責任者ではなく、無防備な末端の構成員を狙ったテロ。
赤報隊、ノルウェーはこれに当たる。ただし、ノルウェーのテロは殺しすぎ。無差別テロに近い。
小人テロには効果がある。が、だからといってこれを認めると、「社長の家族を狙おう」「社長の孫が通う幼稚園を襲撃しよう」とどんどんエスカレートしてしまうので、歯止めとなるルールが必要。「狙っていいのは部長以上」とか。

4 歴史戦テロ

民族問題、宗教問題などが絡む歴史的な戦いの中で起きるテロ。一般市民も巻き込まれるので無差別テロにも見えるが、集団対集団の文脈の中で起きるので、「無差別」というわけではない。
9.11同時多発テロ、シャルリー・エブド事件、東アジア反日武装戦線の戦いはこれに当たる。
今、現在、世界を揺るがしているハマスらのアルアクサの洪水作戦もイスラエルの報復攻撃もこれに当たる。
第三者から見ればどちらも無差別テロだが、当事者たちはそうとは思っていない。
イスラムvs.欧米など、歴史的戦いの中で起きるテロは「こうなってもしょうがないのかな」と思える。
9.11は「テロの成功例」ではあるが、その後のアフガン空爆では10万人以上が死んだ。それを見ると代償は大きかった。
とはいえ、結局、タリバンは生き残ったのだから、歴史的な戦いは長い目で見ないとわからない。アルアクサの洪水作戦も同じ。

✳︎個々のテロ事件の評価については、29日に会場で行います。


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