「メルカリ読書法」は僕には合わないらしい

 ※あくまで個人的な感想なので、ご参考までに読んでいただければ幸いです。

 ネットで話題となっている「メルカリ読書法」。紙の本を買ったと同時あるいは購入後の早い段階で「メルカリ」に出品し、商品が購入されたら急いで読んで発送し、未使用に近い良い状態の本を比較的高値で売る方法だ。賛否両論はあるものの、積読を解消し、なおかつ話題書を(高く売ることで結果的に)安く手に入れられる、などのメリットから、自分も最近ハマり始めて、既に20冊近くを売ってきた。これまでは電子書籍を中心に読んでいたのだが、電子書籍だとあまり中身が頭に入って来ない気がして、結果的に古本よりも安く買えるなら、と思い始めてみたのだ。

 ただ、これまで本を売ってきた自分の感想としては、コスパは必ずしも良くないと思っている。これは、商才がなく最初から弱気の価格で出品をしている自分の性格上の原因もあるだろうが、以下に主な理由を書いてみることとしたい。

1.自分のお金を出して買った本なのに、急かされる気分になる

 「メルカリ読書法」は、積読している本を出品し、売れたら早く発送できるように急いで読む、という、積読解消につながる読書法なのだから、「何だか急かされて読んでしまうので内容がしっかり入って来ない」というのでは本末転倒だ。これだけ話題となっている読書法なのだから、うまくこの方法を使いこなせている人は多いということなのだろうが、自分はこれがストレスに感じるようになった。思えば自分は、書店まで足を運び、定価で買うという、時間と金というコストを払っているのだから、自分のペースでじっくりと読みたい。しかも、身も蓋もないことだが、そもそも積読している本は、敷居が高かったり興味が薄れたりして「今の自分にはすぐに必要はない」からこそ積読しているのであって、積読自体に罪悪感を覚える必要は全くない。

 こういう読書のスピード感や本への丁寧な扱い方に変なプレッシャーを感じてしまう場合は、そもそもこの読書法は向いていない。

2.売れる本(話題書、新刊書)を選り好みしてしまう

「メルカリ読書法」を始めて良かったと思うのは、これまで全く興味を持ってこなかった、「新刊書・話題本コーナー」に平積みされる書籍に目を配るようになったことだ。もちろん、こういった本の方がニーズがあり高値で売れやすいからだ。今、世の中でどんな本が売れて話題になっているか、トレンドを知れるし、メルカリで売ったときの収益も大きいので一石二鳥だった。

 だが、これもやりすぎは考え物だ。というのも、書籍選びが消費者目線になってしまって、「この本の方が売れるのではないか」という目で見て本を選ぶようになってしまったからだ(自分は何かにハマると極端に走ってしまうところがある)。自分が読みたい本や、以前に出版された本はそれほど値がつかない。それに、大事なことは、商才があったり強気の出品者であったりしない限り、自分が買った値段以上の儲けは得られない。自分の支出分の方が収入分より多いのは、ほぼ間違いないのだ。だったらなぜ、わずかな利ざやを得るために話題本を見るようになるのだろうか。出品の手間を考えると、本によってはむしろKindle本の方がコストが低いときだってある。

 出版が古い本、人気が少ない本は、メルカリで売れる最低価格の300円で売る。これだと、手数料30円、さらにゆうゆうメルカリ便の175円が差し引かれ、手元に残る収益はわずか95円。だが、それにOPP袋代、茶封筒代、ローソンまで持っていく時間のコストを考えると、収益はほとんど残らない。もはやこれは、「本を捨てるなんてもったいない。せめて他の誰かに読んでもらいたい」という本への気遣い、ボランティアに近い。雑な自分としては本の状態や梱包にできる限り気を遣っているつもりだが、それでも、購入者からクレームが来てしまうことだってある。そこまでして、自分は支払った金のうちの少しでも取り戻したいと思うのか。

 「たかが95円、されど95円」という見方もあるが、今の自分なら「たかが」に軍配が上がるように思う。それだけの手間をかけられるなら、その間に本を読もう。

3.汚せない、売れるまで場所をとる、結局読んだ気がしない

 これはもはや「メルカリ読書法」ではなく自分の読書法の問題なのだが……。腫れ物に触るように、綺麗な状態で本を読もうとすると、本を読む場所に気を付けるし(ニオイの強い場所には持っていけない、飲み物と一緒に持っていけない)、良いなと思ったポイントにも線を引いたり書き込んだりすることもできず、結局のところ、あまり読んだ気がしないのだ(友人に「それはむしろ歳のせいだ」と言われたのだが、そうなのかもしれない笑)。

 もともと自分は本を汚すことと捨てることに抵抗があったから、古本として出品できるブックオフや駿河屋、メルカリをよく利用していたのだが、どれも出品する際のコストを考えると、本から得られるメリットが少ない気がしてきたのだ。多読が重要なのは分かるが、今の自分のやり方では結局消化不良のままに本を大量に読み、大量に手放してしまっているだけだ。しかも売れるタイミングは全く読めないので、その間出品している本は部屋のスペースをとってしまう。本を手放したいから出品している側としては、これも考え物だ。

4.結論(?)

 冒頭で述べたとおり、これは決してメルカリ読書法そのものを批判するものではなく、単に、「自分も試してみたが自分に合う方法ではなかったんだ」という個人的な感想を書き連ねるだけのものだ。本は、もちろんシミがついたり黄ばんだりする消耗品ではあるが、食品に比べるとずっと賞味期限が長いし、購入した後でも価値は残る。ただ、本が大量消費のために大量印刷されている時代になっても、本の主要な役割は、内容を頭に蓄積し、今後の活動に何らかの形で生かしていくことであり、より多くの人々に古本として共有されることはそこまで大事なことではないはずだ(そうやることで困るのは著者と出版・本屋業界だろう…)。

 自分に書き込みをかきまくった本を資源ごみとして出すことへの抵抗感がなければ、それが一番手っ取り早い解決策である気もするが……「自分にとって効率的な読書法」を、今後も模索していきたいと思う。

 食べ物と一緒で、読書も早食いは禁物、消化不良になるだけ。せっかく話題の読書法を試したのだが、よく噛んで内容を味わって読んでいくのが、自分には合っているようだ……。










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