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【学生必見】 新年度を前に! 「通学定期券」についておさらい

こんにちは!ジョルダン「乗換案内」X(旧Twitter)担当の「部長」です。
乗換案内の運賃計算プログラムも担当しています。

新学期を前に、電車の通学定期券の購入を検討している学生さんも多くいらっしゃるかと思います。
学校から渡された書類で何気なく購入してしまいがちですが、実は知っておきたいことがいくつかあります
駅での勤務経験もある筆者「部長」と、いま一度、通学定期券のあれこれをおさらいしておきましょう!!


1.いまさらだけど「通学定期券」って?

通学定期券とは、中学校・高校・高専・大学・専門学校など、鉄道会社が指定する学校へ通学する生徒さん・学生さんなどが、通学のために購入できる定期券のことです。

通学定期券の金額(通学定期運賃)は、同じ区間の通勤定期券の金額(通勤定期運賃)と比べて、特別に安く設定されています(割引率は会社により大きく異なります)。

一例として、下図は京王井の頭線「吉祥寺~駒場東大前」間で6か月間通う場合の運賃総額を比較したものです。通勤定期運賃と比較しても、通学定期運賃がいかに安いかがわかると思います。

吉祥寺~駒場東大前間で6か月間通う場合の運賃総額例
(運賃は2024年3月現在のもの)

※「IC利用」は、ICカードのチャージ残高で1日1往復120日間乗車したものとして計算しました。
定期券はそれぞれ6か月を購入した場合の金額です。
※定期券の割引率はあくまで一例です。事業者や区間により異なりますのでご注意ください。

通学定期券は安く買える代わりに、通勤定期券と比べ、購入や利用にはいろいろなルールが決められています。次章以降で詳しくチェックしていきましょう。

2.通学定期券はどこで買える?

通学定期券の発売箇所は鉄道会社によって異なりますが、多くの場合は主な駅に設置されている「定期券うりば」などの窓口で購入できます。
また、自動券売機も、新規購入で係員が操作する場合や継続購入の場合に利用できることがあります。
春の窓口は大変混雑するので、購入する鉄道会社であらかじめ確認して、混雑の少ない発売箇所を選びましょう。

定期券購入の目的で電車に乗る場合は、その分の運賃を負担してくれる場合もあるので、鉄道会社で事前に確認しておきましょう。

また、最近は、モバイルIC乗車券やスマホ定期券など、モバイル端末で通学定期券が買える会社も増えています。場所を選ばずに購入ができるので、可能な場合はこちらも活用してみましょう。
詳しくは鉄道会社のWebサイトなどで確認してくださいね。

通学定期券の購入場所(例)
※事業者や定期券の種類、新規購入・継続購入の別などにより異なります。

3.通学証明書は必要?不要?ケースごとに解説

(1) 新規購入のとき

通学定期券を新たに購入する際は、学校が発行する「通学証明書」等を駅に提出する必要があります。
証明書の様式は大きく2種類。学校によって異なりますので、どちらかを学校で受け取りましょう。

① 通学証明書
(紙で発行されるタイプ)
② 通学定期券購入兼用の証明書
(学生証裏面などに通学区間が記載されたもの。「通学区間証明カード」などとも呼ばれます)

通学証明書、通学定期券購入兼用の証明書の例

入学前の学生さんやその保護者の方から「『合格証明書』で購入できますか?」とたまに聞かれますが、合格証明書や入学承諾書などでの購入はできないので注意。入学時に学校から ① または ② を忘れずにもらいましょう。

また、通学証明書等には通学区間等の必要事項が記入され、公印(学校の正式な印)が捺されている必要があります。内容について気になる点があるときは、早めに学校に確認してもらいましょう!

① の用紙は購入時に回収となりますが、 ② は発行控欄に定期券の発行日や購入期間などが記載されて返却されます。

(2) 継続購入のとき

定期券の有効期限が到来し、次の定期券を購入する場合についてです。

同一学年内での継続の場合は、原則として通学証明書等は不要です。ただし、引っ越し等で通学区間が変わる場合には、改めて (1) と同様の手続きが必要になります。

進級後の継続の場合は、在学確認のため、原則として学生証や通学証明書等の提出・呈示が必要です。

(3) JR東日本など 証明書等提出を「卒業まで1度のみ」に変更へ

(2) のとおり、これまで進級時の継続購入は原則として学生証や通学証明書等による在学確認が必要でしたが、JR東日本や首都圏のおもな私鉄などでは、2024年4月1日(月)から、通学証明書等の提出が新規購入時のみとなり、卒業までの間は証明書不要とするサービスを開始します
これにより、進級の場合でもお近くの駅の券売機などで継続購入が可能になり、これまでよりも楽に継続購入ができるようになります。
通学証明書等で、卒業予定年月日が証明されている必要があります。
詳しくは各社HPなどで確認しましょう。

(参考) 通学定期乗車券の発売方法の見直し等について
(PDF 2024.1.17 JR東日本発表)

4.おさえておきたい、通学定期券のルール【購入時】

通学定期券を買うときに、最低限おさえておきたいルールを紹介します。

(1) 買える区間は「家から学校まで」

通学定期券は、3.で紹介した通学証明書等に記載された通学区間の通りに発売することになっており、その通学区間は「自宅の最寄り駅から学校の最寄り駅まで」と決められています。

また、自宅から学校までのルートは、原則として、次のいずれかを満たす必要があります。

所要時間が短い
距離が短い
通学定期運賃が最も安い

買い物やサークル、塾など(*1)があるからといって、通学定期券の区間を伸ばしたり、短くしたり、あるいは遠回りのルートにしたりすることはできません。
通学以外での乗車を考慮する場合も、あくまで上記原則の範囲内で検討し、ルートを決めましょう。

(*1) ただし、一部の予備校は通学定期券の購入が可能な場合があります。予備校でご確認ください。

通学定期券が購入できる区間
「自宅の最寄り駅から学校の最寄り駅まで」が原則です

(2) 中学・高校・大学で値段が異なる会社もある

JR各社や一部の第3セクター会社などでは、中学・高校・大学の別により通学定期運賃が異なります。
中等教育学校高専などの場合は、学年に応じて上記の区分のいずれかを適用して発売されます。この関係で、進級時に再度通学証明書等が必要になる場合があるので、詳しくは学校や鉄道会社で確認しておきましょう。

(3) 基本的には、長い期間買った方がお得。でも…

通学定期券の有効期間は、おもに「1か月」「3か月」「6か月」の3種類があります(*2)。
通学定期運賃そのものは、長い期間を買った方が得になるように設定されています。
割引率は鉄道会社によっても異なりますが、おおむね
「3か月」で買うと → 約5%引き
「6か月」で買うと → 約10%引き
となっているところがほとんどです。

ただし、気を付けたいこともあります。
「長期休暇」や「試験休み」などで学校に通わない期間もありますよね。
また、最近ではオンライン授業のため学校に行かない日もあるかもしれません。

例えば、4月から6か月の定期券を買う場合、期間中に夏休みがあります。
学校に通う日数が少ない場合、定期券では元が取れない、つまり普通にきっぷを買ったり、ICカードのチャージ残高で乗った方が安いという場合も起こりえます。
一方、前述の通り、通学定期運賃は特別に安く設定されているので、場合によっては長期休暇期間中も通学定期券を持ったままでいた方が得になることもありえます

そんな場面で検討におすすめなのが、乗換案内の「定期代検索」機能
結果画面で、各定期券の「元を取るのに必要な日数」を自動的に計算して表示できるので、とっても便利ですよ。

乗換案内の「定期代検索」では、
各有効期間の定期券が何日で元を取れるかが一目でわかります

(*2) これ以外の有効期間(たとえば、12か月や学期単位など)で発売する事業者もあります。

(4) 払い戻しは基本的には損!あらかじめ必要な期間だけ購入しよう

購入時に、ときどき「4月に6か月定期券で買って、夏休み前に払い戻しすることはできますか?」と聞かれることがあります。もちろん一定以上の有効期間が残っていれば払い戻しはできるのですが、基本的には払い戻しは損になります(*3)。

というのも、定期券の払戻額は、単純な月割ではなく、有効開始日から払い戻しの申込をした日までの間、1か月または3か月の定期券を組み合わせて使った場合と同じ金額で計算するためです(*4)。つまり、6か月定期券で安く買ったメリットはなくなってしまいます。しかも払い戻しには手数料までかかります。
結果的に、最初から1か月または3か月の定期券を買った方が得になるわけです。

例えば、1学期(4月~7月)の4か月分の通学定期券を持つために
「3か月+1か月」で購入した場合と、「6か月」で買って途中で払い戻しをした場合の
最終的にかかる総額の比較。

払い戻し計算の仕組み上、6か月定期券を安く買ったメリットはなくなってしまい、
最初から必要な分だけ購入したほうが安くなります。

(*3) 通学区間を変更する場合など一部例外があります。また、一定の計算式による計算の結果、払戻額がない場合もあります。詳しくは鉄道会社にお尋ねください。
(*4) 一部事業者では、定期券の払戻計算方法が異なる場合があります。

(5) 塾やサークルに通うには?

(1) の通り、通学定期券は「自宅の最寄り駅から学校の最寄り駅まで」の区間でしか買えません。
したがって、塾やサークルなどで通学区間以外の区間で乗車する場合は、その区間の乗車券は別に必要です。
この場合、鉄道会社でも「通勤定期券」の案内をされることが多く、検討している方もいらっしゃるかもしれませんが、これは要注意です。

会社によっても異なりますが、通勤定期運賃は、通学定期運賃に比べて割引率が低いため、「平日の毎日その場所に通う」くらいの頻度で乗車しなければ、元を取るのが難しい価格設定になっています。
乗換案内の定期代検索機能を使って、塾やサークルの行先にどれくらいの頻度で通うのかを見極め、通勤定期券にするか、普通運賃で乗車するのかを決めましょう。

(6) 保護者のクレジットカードで支払いたい

通学定期券でも、そこそこの値段がしますので、保護者の方のクレジットカードで購入することを検討しているかもしれません。
しかし、クレジットカードは、契約者本人以外は使ってはいけないという規約になっています。保護者の方のクレジットカードを借りて買うのもNGです。
保護者の方のクレジットカードで通学定期券を買うときは、必ず保護者の方に付き添ってもらうようにしましょう。

5.おさえておきたい、通学定期券のルール【乗車時】

次は、通学定期券で実際に電車に乗るときに知っておきたいルールを紹介します。

(1) 学生証を必ず携帯しよう!

通学定期券を使用する際は、学生証を携帯することがルールになっています。
通学のときはもちろん、休日に通学定期券で乗車するときも、学生証を忘れずに持っていきましょう!

(2) 通学定期券の貸し借りはダメ!

通学定期券は、使用者の名前が記載され、その本人だけが使うことができます。家族や友人と貸し借りして使うことはできません。
定期券を記名人以外の人が使うと不正乗車となり、法令および規則によって、さまざまなペナルティが課せられることもありますので、十分気を付けましょう。

(3) 定期券区間の途中の駅でも下車できる?

通学定期券は、自宅の最寄り駅・学校の最寄り駅のほか、定期券の券面に記載された区間内の途中の駅で降りる場合にも使えます
反対に、定期券区間内の駅であれば途中の駅からの乗車も可能です。

(4) 定期券区間外に行くときは?

通学定期券の区間外まで乗車する場合は、その区間外となる区間の普通運賃が別に必要です。
SuicaやPASMOなどのIC定期券の場合は、あらかじめICカードにチャージしておけば、その運賃を自動的に精算できるので便利ですよ。

例えば、「吉祥寺~駒場東大前」の通学定期券で「渋谷」までのりこした場合は
「駒場東大前~渋谷」間の運賃140円(2024年3月現在。IC / きっぷとも)がかかります。
ときどき「差額」という人がいますが差額ではないので注意!

6.通学定期代の検索も「乗換案内」におまかせ!

定期代を調べるには、乗換案内の「定期代検索」がおすすめです。
アプリでは「定期代検索」のボタンからどうぞ。Plusモード機能(有料)でご提供していますが、CMを見れば一定時間無料でご利用いただけます。

定期代検索はCMを視聴すれば無料でご利用になれます

また、通勤・通学のルートを決めるには「経路検索」で。
さまざまなルートから、所要時間、乗換回数などを比較検討できます。

7.まとめ:ルールを守って、正しく活用しよう

最後までお読みいただきありがとうございました。

通学定期券は、通学する学生さんのために特別に安く発売されています。そのため、いろいろなルールがあるのです。
購入時や乗車時のルールを守って、楽しいスクールライフを。

そして、通学や通塾、家族や友だちとの旅行などのおでかけには、ぜひ乗換案内を活用してもらえるとうれしいです!

おことわり

  • 通学定期券のルールは、鉄道会社により一部異なることがあります。
    本稿は読者の方にできるだけわかりやすく解説するため、多くの会社で共通して採用されているルールをもとに編集しましたが、会社や通学する学校によっては、これとは異なる運用が行われていることがあります。
    実際に通学定期券を購入される際は、利用される鉄道会社および通学する学校に直接ご確認ください。

  • 本稿中に用いた語句は、わかりやすくするため正式な表現でない場合がありますので、ご了承ください。

  • バスの通学定期券については、本稿では省略させていただきました。

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