M-1グランプリ2022 感想・個人的採点

M-1グランプリ2022はウエストランドの優勝で幕を下ろしました。
去年の錦鯉が優勝した時に比べてTwitterは少し荒れ気味なご様子。それも含めて、またこれを書いている私も含めて彼は腐しているはずです。

敬称略/採点は自分だったらどうするか、という楽しみだけです。/ネタのタイトルは便宜的に勝手につけてます

1.カベポスター「大声大会」 
山田 84大吉 94塙 92富澤 93志らく 89礼二 92松本 90 合計634 (90)

構成はカベポらしく非常に美しかったと思います。振り返ってみれば他のコンビよりも1個1個の打撃はそんなに強くなかったような、5人の大声大会出場者の一言一言に大喜利が存在している訳では無いので総じて小さく収まった感を覚えました。(一大会でひとつのくだりですからね)
山田邦子は84点つけて、好きだと言ったもののこれが最低得点です。Twitterでは「低すぎたので修正した」という意見を多く目にしましたが、おそらくそんなにこのネタがそんなに好きじゃないのではないかと思います。
というか、今年のR-1でkento fukayaに最高点つけた陣内さんが賞賛されていましたが、別にトップバッターが最低点だからといって基準を守っていないことにはならない訳で。

2.真空ジェシカ「シルバー人材センター」
山田 95大吉 92塙 92富澤 92志らく 94礼二 94松本 88 合計647 (96)

真空ジェシカはポイント伸びませんねー。志らく、礼二、塙は去年と同じ点数です。(もちろん単純比較は出来ませんが)
彼らのネタは大喜利の1つ1つが外さず、確実に仕留めてくるんですがそのセンスが非常に現代的で、視聴者との間に共通理解が存在していることが前提にあります。
「俺でなきゃ見逃しちゃうね」(これHUNTER × HUNTERなんですね、知らなかった)「韓国の受験生」「ノルウェーの刑務所」、去年で言えば「Helpmeのハンドサイン」「キムタクのハンバーガーの持ち方」(←私はこれ分かりませんでした)辺りは見ている側にその知識があることが前提で、リスキーだとは思うんですが客席の反応を見る限りしっかりと記憶の琴線に触れているのだと思います。
審査員の点数が伸びないのはそこに影響されているんでしょうか、、、?それともべしゃり芸としての漫才の技術なのでしょうか、、、?これだけウケてこの点数だと正直来年以降も同じような道を辿りそうです。大好きなんですけどねー、、、

3.オズワルド「明晰夢」
山田 87大吉 93塙 90富澤 90志らく 95礼二 92松本 92 合計639 (86)

敗者復活戦に関しては令和ロマンかヤーレンズが1番だと思ったのであまり納得いくものではないですが、かといって人気投票とも言えないのではないかと。というか、和牛やミキと違ってオズワルドってそんなに固定客がいるイメージはないのだけれども。顔ファンもいないだろうし(失礼)
そしてオズワルドはメタネタ(敗者復活戦だけですが)や、自分たちの言い回しやキャラを前提にしたネタはあんまりしない方がいい気がします。それだけ見ている側の期待感が凄まじい訳ですが。

4.ロングコートダディ「マラソン」
山田 94大吉 92塙 94富澤 96志らく 96礼二 95松本 93 合計660 (90)

ツッコミなし、大喜利色のかなり強いネタが受け入れられる審査員相手であればロコディは敵無し状態ですね。ネタの作りが分かった時点で、増して走り方も先にみせた上でボケを提示する以上はかなりハードルも高いですが、全部引っ掛からずに越えて見せました。
92点つけた大吉先生はここから上はしゃべり主体の漫才、下は動き主体の漫才に基本的に分けています。最近はあまり言われなくなった(松ちゃんも最近は言わなくなった)「漫才ととるかどうか」という観点に1人だけ大吉先生は立っている気がします。でも、1人はそういう人がいないと、志らくのような審査員が揃うとランジャタイやヨネダ2000みたいな優勝者と出場者で溢れてしまうので必要だと思いますよ。

5.さや香「老化」
山田 92大吉 96塙 95富澤 97志らく 95礼二 97松本 95 合計667 (97)

新山の器用さが際立つネタ。最終決戦でもファーストラウンドでも最後は石井が「もうええわ」でネタを下げているんですよね。
常識と非常識を2人で行ったり来たりしながらヒートアップさせ続ける圧巻の漫才だったと思います。
2本目からあげじゃなくて良かったw

6.男性ブランコ「音符運び」
山田 86大吉 91塙 92富澤 95志らく 94礼二 96松本 96 合計650 (94)

kocのイメージが非常に強く、コントほどではないにせよ漫才でも上品さを保ちつつ器用な言葉選びをする印象が個人的にはあった男ブラ。
見た目からもネタのスタートからも、知的なネタが飛び出しそうな雰囲気を醸し出しておきながら、蓋を開ければ文学部インポッシブルw
設定の新しさからしてこの流れを予測した人は誰も居なかったと思います。あとは裏切らない裏切りの連続。kocの感想でも書いたんですが、天丼ネタは「どうせあれね」と思われたら終わりで、「あれをもう1回見せてくれ!!」と思わせなきゃ勝ち目はないと思うのですが、その勝負に見事勝っていたと思います。2本目が見たかった、、、!

7.ダイヤモンド「レトロニム」
山田 86大吉 90塙 88富澤 88志らく 88礼二 89松本 87 合計616 (87)

新しいものの登場により旧世代のもの、それ以前に存在してたものに新たに名前がつくことを「レトロニム」と言うそうです。新たな知識が得られました。
目の付け所はとんでもなく斬新だと思うんですが、どうしてもただ羅列していくだけではあまりに並列的に感じました。
途中野澤がせっかくひっくり返して言いくるめる新展開(全身浴のとこですね)を見せた後で、また元の羅列に戻ってしまったのも少し残念でした。
ボケが並列だとツッコミも幅が出ないのでそれ以上の広がりがなく、「もねって止めて」もそんなに推すワードではなかった気がします。
レポをいろいろと読んだ限り準決でも群を抜いてウケた訳ではなさそうで。すごくハマった審査員がいたのでしょうか??

8.ヨネダ2000「イギリスで餅つき」
山田 91大吉 91塙 96富澤 91志らく 97礼二 90松本 91 合計647 (98)

M-1の客は本当に凄いですよね。何でも文句言わずに食べますからね。こんなネタ誰にも理解されずに大スべりしたっておかしくないと思うのですが、、、
近年の傾向もそうなんですが、今年は特に理論的な緻密なネタよりも、ぶっ壊し系のパワフルなネタのほうが求められていたようですね。ダイヤモンドとキュウはその割を食った印象です。
結成2年目という事ですが、出れば出るほど「どんな変なことをしてくれるのか」というハードルが上がり続けるので早く決めたほうが彼女達の為にもいいと思います。

9.キュウ「全然違うもの」
山田 87大吉 90塙 88富澤 90志らく 89礼二 90松本 86 合計620 (85)

あれだけ落ち着いたスタイルでネタをするなら相当爆発しないと賞レースでは厳しいと思います。
謎かけクイズの様相を呈した時点で客を予想を始めるので、そこも尚厳しさを増したように感じました。ドッヂボールと生牡蠣は予想の範囲内だった人も多いのでは無いでしょうか?
ボケの軸もツッコミのリアクションもある程度縛りを入れた状態でのネタが多いので、最初がハマらないと難しいですね。
準決勝のネタとは違ったようで、それはかなりウケたらしいので見てみたかった。
あと、審査員講評の際ぴろがずっと首を横に振っていたのが印象的でした。あれは納得いっていない、という事でしょう。

10.ウエストランド「あるなしクイズ」
山田 91大吉 93塙 93富澤 94志らく 98礼二 96松本 94 合計659(95)

井口の毒舌という軸は2年前と変わらないのですが、見せ方として変わったのは「井口の異常性」と感じました。
2年前はあくまでも話題の中で文句を言っている程度だったのが、今回のネタは完全に異常者w
それを初手のクイズに1ヒント目から答えに行く姿勢でしっかりと見せると、後は独壇場と言ってよかったと思います。
クイズという体でやっていたにも関わらず、1ヒント目と2ヒント目の繋がりは完全無視でただそれに関しての悪口をいうだけになっているのも、より狂気を際立たせたと思います。
河本はネタを飛ばしたようで、普段からもポンコツ扱いをされていますが彼の相槌や合いの手は非常に自然体で聞きやすいと思います。いいクッションですね。ウーマンラッシュアワーと手口は同じですが、ウエランは河本がクッションとしていてあげた方が絶対にいいので、今後も2人で頑張って欲しいです。
あと、ネタを飛ばした時に井口が件を引き伸ばしたというのも、彼の対応力に感嘆させられました。いやーほんとにすごい。実際それがウケに繋がりましたからね。


最終決戦に進んだのはウエストランド、ロングコートダディ、さや香の3組。
ウエストランドは2本連続でネタを出来たというのが寧ろ好材料でしたね。
1本目と全く同じスタイルのネタですが、客はそれを待っていた、というリアクションでした。
冨澤(だったでしょうか?)これがウケている、ということは皆同じことを思っているんだ、という意見がありましたが正にその通りだと思います。結局多くの人間がああいうことを思っているし、まだそういう事で笑いたいんですよね。
差別的な言動や個人攻撃はもちろんNGですが、「本来ここまではokだったでしょ?」というのを思い出させてくれるような痛快なネタだったと思います。それに押し潰されてきた人たちの反骨心みたいな物が、客席の反応や審査員の投票にも如実に現れているように感じました。地雷だらけの中を歩かされてきたここ数年、本当にしんどかったと思います。
皮肉でもなんでもなく、これに「不快だ」「ただの悪口」「人を傷つける笑いは古い」という人達は本当に聖人君子だなと思います。罰ゲームを見ても笑えず心を痛め、悪口に眉を顰め生きてきた訳でしょう?そんな人あんまりいないと思いますけど。
一方でこんなネタばっかりもしんどいし、これが王道とは思いません。今日出場した10組がそれぞれ自分の中のスタンダードを出した結果今回は毒舌が勝った、というだけですから。

ロングコートダディは去年の肉うどんと似たような構成。個人的にはポーズが気になってあまり入ってこなかったです。やはり漫才の大会、というのがある以上点数制ではなく誰か一人を選ぶ、となった時ロコディは少し不利かもしれませんね。

個人的には最後投票するとしたらさや香かウエランで迷ったと思います。
新山がネタ後半自分で自分の立場を追い込んだ場面は少しわざとらしさを感じてしまいましたがそれでも出色のパフォーマンス。
結果発表前の松ちゃんの言葉通り、今日の審査員が求めたものは毒舌だったんですね。1番客席もうねるようにウケていたと思います。

新審査員の山田邦子、講評の薄さはともかく無難だったと思います。YouTubeチャンネルがあるらしいので後で変なこと言わなきゃ来年も続投でいいと思います。
大吉先生は体調が悪そうで本当に心配。「目の下のたるみは冷蔵庫のアレで1発だよ?」の広告に出てくる顔写真のようでした。やっぱり審査員は5人より7人の方がいいので、大吉先生含め引き受けてくれた方々には感謝しかないです。審査員に文句を言うのはやめようねみんな😂

さあ、M-1グランプリ2023が始まりました。楽しみですね。

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