【じょんそん文庫 vol.003】1分で話せ 編
突然ですが、想像してみてください。
今日、あなたは新規事業プロジェクトの最終プレゼンを控えています。今回は社長や役員を前にした重要なプレゼンであり、これが通れば、昇進・昇給の可能性はぐっと上がります。
あなたは、この日のために綿密に資料を作成し、何度も何度もプレゼン練習をしてきました。『内容には自信があるし、説明したいポイントだってたくさんある。絶対にこのプロジェクトは通る!!』
期待と不安が錯綜しながらも、いざプレゼンの時間に...
この日のために念入りに準備してきたものの、人前でプレゼンとなると普段とは違った雰囲気に頭が真っ白になってしまう。言葉でなんとか説明しているものの、自分でも何を言っているのかだんだん分からなくなる。
視線を移すと、つまらなさそうに資料をペラペラめくっている役員がいる。
『ああ、もうだめだ...』
お仕事をしていて、このような状況になったことがある人は多くいるのではないでしょうか?
今回はこのような経験をしながらもプレゼン力を身につけ、あの孫正義社長にも認められた、ヤフー・アカデミア学長、グロービス経営大学院 客員教授である伊藤羊一さんの「1分で話せ」について紹介したいと思います。
『この本ではどんなことが書かれているの?』
この本は、序章から始まり、以下の第1章〜第7章で構成されています。
第1章:「伝える」ための基本事項
第2章:1分で伝える ー左脳が理解するロジックを作るー
第3章:相手を迷子にさせないために「スッキリ・カンタン」でいこう
第4章:1分でその気になってもらう ー右脳を刺激してイメージを想像させようー
第5章:1分で動いてもらう
第6章:「伝え方」のパターンを知っておこう
第7章:実践編
まず第1章では、相手に情報を伝える前提として「人はあなたの80%は聞いていない」のが当たり前であるという内容から始まります。そうした状況の中で、自分の主張をしっかり伝え、理解してもらい、そして動いてもらう、プレゼン力が重要であるということ。
ここで言うプレゼン力とは、人に「動いてもらう」力のことです。話の流れをだらだら伝え、事実と自分の意見をただ羅列するのではなく、最終的に相手にどう動いてもらうのがゴールなのか考えることが重要になります。
話している相手が、意見を表明してくれればいいのか、賛成してくれればいいのか、はたまた何かのアクションを取ってもらうのがいいのか、その後の展開を考慮してコミュニケーションを取ることがポイントになります。
第2〜3章では、主張と根拠のピラミッドストラクチャーを用いて理論的に伝える方法についてお話しています。まずは結論から述べ、そして3つの根拠をしっかり伝える形が「1分で伝える」基本形であること。
また、伝わりやすくするためには前提を述べて、より意味の通じやすい話し方にするとよいのです。
次に第4〜5章では、相手の右脳を刺激させ、情報という骨組みに「想像」というイメージを肉付けしていく方法についてです。ロジカルなお話しだけだと、人は興味を持ってくれません。絵や図を使い、さらに想像力を掻き立てるような言葉を用いることで、聞き手は受動的な立場から能動的な姿勢となり、より直接的なアプローチができるようになります。
このnoteの冒頭で「想像してみてくだい。」という話の入りも、このテクニックを用いたものになります。難しい言葉よりも、ぐっと読者の気持ちを引き寄せることができますよね。
そして第6章では、伝える方法のあらゆるパターンの紹介。最後の実践編では、実際に職場で直面するケースについて対応方法とともに説明されています。
『この本のおすすめポイントは?』
・プレゼンがもともと苦手だった著者によって書かれているため、共感できるところが多く、よりすんなり内容を理解することができる(会話しているような文体で伝わりやすかった)
・文章構成のお話ではあるが、デザイン構成でも参考になる部分が複数ある
・実践編が載っているため、情報の一方的な提示だけではなく、読者がイメージしやすく、問題を解消できる内容が載っている
相手に伝えるということは、最終的に相手を動かすことであり、そのためには聞き手の左脳に理解してもらい、右脳にしっかりイメージさせること。
そうすることで、驚くほど簡単に「伝わるメッセージ」になるのです。
今まで口頭で相手に伝えることが苦手だったみなさん、プレゼンのときに苦い思いをしたみなさん、一度この本を読んで「伝えること」をもう一度振り返ってみてはいかがでしょうか。
実は私も口頭での説明が苦手なので、、相手の心にしっかり届くような伝え方を身に付けたいと思います。
もう一度言いますが、綺麗に話すのではなく、「相手を動かす」ということです。