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JOMYAKU法律解説シリーズ 第10回 小型家電リサイクル法

皆様こんにちは!
越後谷と申します!
静脈産業に長年従事し、法令関連の記事制作を担当させていただきます。
今回は小型家電リサイクル法について解説していきます。

制定までの背景

"都市鉱山"という言葉をご存じでしょうか?
都市でごみとして大量に廃棄されている家電製品などの中に存在する鉄、アルミ、銅、貴金属、レアメタルなどの有用な資源を鉱山に見立てた言葉です。
従来家電製品は埋立処分されていましたが、家電リサイクル法によりテレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機はリサイクルすることにはなりましたが、急速に普及した携帯電話、デジタルカメラ、携帯音楽プレイヤー、ゲーム機器などを含む小型の家電製品については手つかずでした。

都市鉱山から有用な資源を回収し有効利用すべく小型家電リサイクル法は平成25年(2013年)4月に施行されました。
日本の都市鉱山にどの程度の有用な資源が埋蔵されているのか?金は6,800tが埋蔵されており、世界の埋蔵量16%に匹敵、銀も6万tで世界の埋蔵量の23%を占めるそうです。
日本の都市鉱山、恐るべしですね!

【概要】

1.対象となる小型家電の品目

般社団法人産業環境管理協会 資源・リサイクル促進センター

小型家電リサイクル法で定められている対象となる小型家電は、上の図の28品目です。
28品目がすべて回収されるということではなく、市町村に実情によって回収する品目が選ばれています。
回収方法も家庭ごみ(不燃ごみ)としての回収や回収ボックスを公共施設などに設置したり、家電量販店での回収と様々ですので小型家電を廃棄する場合はお住まいの市町村のwebサイトをご確認ください。

2.認定事業者
小型家電の再資源化を事業として行う場合、環境省・経済産業省へ再資源化事業計画を提出し、認定を受けると認定事業者となることができます。
認定事業者になると廃棄物処理業(収集・運搬、処分)の許可が不要になり広域的・効率的な回収が可能となりますが、施設の設置の許可が必要な施設の場合においては許可が必要となります。また、再資源化事業では以下の事項等が求められます。

・破砕、選別等の方法により、各種の有用資源を高度に分離すること
・引き渡しから再資源化、最終処分が終了するまでの一連の行程を明確にすること
・個人情報を含む機器の処理を行う場合、盗難対策などの個人情報保護策を設けること

普通の産業廃棄物の中間処理とは異なり、より高いレベルの処理を要求されています。
高度な処理を行う認定事業者に、興味を持たれたら下記のリンクよりご覧ください。

3.回収・リサイクル実績
〇回収量実績

上のグラフは小型家電リサイクル法施行以降の回収量のグラフです。令和2年度の実績は過去最高の102,489tとなっています。

市町村の回収で一番多い回収方法はピックアップ回収の22,392t、次いでステーション回収の11,100t、清掃工場等への持込みで10,517tとなっています。

ピックアップ回収とは、従来の一般廃棄物の分別区分にそって回収し、回収した一般廃棄物から使用済小型電子機器等を市町村側で選別する方式です。
ステーション回収とは現行の分別収集体制においてステーション(ごみ排出場所)ごとに定期的に行っている資源物回収に併せて、使用済小型電子機器等に該当する分別区分を新設(回収コンテナ等を設置)し、使用済小型電子機器等を回収する方式です。

直接回収で一番多い回収方法は、家電量販店回収の23,289tが断トツで多く、次いで事業所からの回収が8,183tとなっています。

〇再資源化実績

『令和2年度における小型家電リサイクル法に基づくリサイクルの実施状況等につい て』

上の表は、認定事業者の再資源化実績です。
令和2年度は過去最高の52,222tの金属が再資源化され、金額換算すると70.4億円にのぼります。
金属の再資源化量は、平成25年度以降右肩上がりになっていることもわかります。

今回は小型家電リサイクル法についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
この記事を執筆中に環境省が使用済みの電子機器からの金属再資源化量を2030年度までに2020年度比で倍増させるという報道がされました。
都市鉱山の採掘はこれからますます熱い展開になりそうです。

次回はグリーン購入法について解説します。

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