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台湾料理屋で聞いたエピソード

これは、よく行く小さな台湾料理屋で聞いた話である。店を切り盛りしているいつもの夫婦はその日はおらず、代わりにそのお姉さんが立っていた。この話はお姉さんから聞いたものである。 私の父は1916年生まれ、初めは船乗りをしていた。 当時は石炭動力の船だった。アメリカへ渡航するときにコレラの流行が原因で上陸ができなかった。旅が好きだった父は悔しがった。 父が老いてからは、私が父を世界の旅に連れて行った。 旅を終えると、父が病に臥せった。 「これからも世界の遊びをたくさん知るか」 「

    • 糞尿の物質的循環に関する素人考

      はじめに(野糞に刮目せよ) 『うんこと死体の復権』という映画を観た。 人糞やら死肉を漁る虫やらを主役として、それらを堂々と映像にし、しかもアップにまでするサービス精神には恐れ入った。自然の中に当然としてある循環から目を背けずに向き合おう、という趣旨をきれいごと抜きに映し出すその意気には喝采を送りたい。 実際、非常に新鮮なドキュメンタリーであり面白い映画であった。特に以前から著作を読んで知っていた伊沢正名氏の数十年にわたる野糞へのこだわり、また紙の代わりの葉っぱをうれしそうに

    台湾料理屋で聞いたエピソード