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ep11 村境ルート探索#3(谷瀬集落から清水ヶ峰往復)

2023年12月3日天候は晴れのち時雨れから曇り。風強し、村境稜線は雪が残り、おそらくマイナス気温でした。

十津川村北部中央、赤い丸⭕️が今回の調査ポイント
🟥今回辿ったルート
🟦今後探索が必要なルート
今回歩いた村境稜線はほんの一部

谷瀬集落

 今回の目的地、清水ヶ峰は村境稜線上にあり、五條市大塔町との境に位置します。当初は大塔町にある奈良教育大学実習林から目指す予定でしたが、施設内は立ち入り禁止との事で、十津川村谷瀬集落を出発しました。
 谷瀬集落は上野地集落の対岸にあり、徒歩であれば吊り橋を渡って行く事ができます。吊り橋の長さは297メートルで、高さは54メートルあり。現在は観光名所となっています。昭和29年完成当初は、現在ある橋の板(人の通る所)、 6枚が、2枚程しかなかったと聞きます。村道の扱いで、二輪車は村民のみ通行可。現在、上流には車も渡れる橋があるので車で行くことも出来ます。

日当たりが良い長閑な集落

 元々谷瀬に住んでいた方の話によると、吊り橋が出来るまでは、川に丸木橋がかけられていたそうです。ただ、増水時は度々流されたそうです。谷瀬集落は他の十津川村の集落同様、過疎化が進んでいます。しかし、移住者を積極的に受け入れたり、地域起こしとして散歩道を整備するなどの努力をされています。今回訪れた際驚いたのは、何組も若者たちが散歩道を散策しており、お洒落なカフェも完成していました。地域起こし、徐々に成果が出ているのではないでしょうか。

遠き村境

 さて、話は元に戻して、谷瀬集落から村境を目指すルートについて書き残したいと思います。
 まず、谷瀬集落1番奥の“西坊”から裏山を登っていきます。対岸の上野地集落から見た通り、谷瀬集落の裏山は急峻な山ばかりです。事前にルート検索をして標高差などを調べておりましたが、約15キロで1200メートルの獲得標高があるとのこと。(実際は16.3Km 1340m) 最初に一気に登る事は覚悟しておりましたが、集落登り口から1番最初に訪れるピーク(金山)までの上りはひたすら松山を登り続けます。
 ほとんど人が入っておらず、松茸シーズンのみ地元の方々が山に入る感じです。入り口からしばらく続く杉山はかなり荒れており、ルートを確認しながら注意深く進む必要がありました。松山地帯には防獣or対人ネットが張らている箇所がありますので、そこは地元の方々によって保護されている場所です。マツタケ山なので立ち入らないようにする必要があります。
途中、銅山をトラバースする道があります。谷で通行困難となりますので要注意です。(小さなトンガが欲しい)

通行困難な谷、女性二人は滑りながら楽しんでいました
誰かが飾った機械の一部

 登り途中続く綺麗な松山は、戦後に十条製紙(現日本製紙)という大会社がほとんどの松を切ったそうです。そのお金と村の補助で吊り橋が架かりました。その後、小さな松が成長して今の松山が再び戻ったとの事。一時期はマツタケが大量に取れ、売れたお金で青年団が旅行に行ったそうです。

 集落上の尾根にたどり着くと一気に雰囲気が変わります。尾根沿いは植林地帯がほとんどなく、広葉樹の林が広がっています。本当に美しいと感じます。尾根にたどり着いて、ほっとするのも束の間、村境の合流地点まではさらに登る必要があります。地図上ではなだらかだと思っていたのですが、結構大変でした。

貴重な村境の稜線周辺

 なぜ貴重なのかと感じるのは、比較的自然林が多く残る事が理由です。十津川村の里山周辺は、林業が盛んな時代にほぼ杉山になっています。今回訪れた谷瀬集落もそうですが、もともと田んぼがあった場所にも杉が植えられ、現在ではかなり大きく成長しています。   
 一方、人の手が入りにくい奥山には自然林がかなり残されています。村境はその奥山を通っている事が多く、伐採の進んでいない自然林が多く残ります。自然林を歩いていて思うのは、落ち葉で地面がふかふかになっていて植生が多様である事。木の実がたくさん落ちていて、動物の糞があちこちに見られることです。木の実がたくさん落ちていると言う事は、野生動物が暮らし易く、自然の食物連鎖がキープされているのではないかと思われます。
 ただ、最近危惧されるのは『ナラ枯れ』の勢いが強い事。いつも暮らしている橿原市周囲の山も深刻で、街周囲の問題だけだと思っていましたが、奥山に入っても根本から粉を吹いて弱っている木が散見されます。気候変動等、環境変化のせいなのか、自然が悲鳴をあげている様に感じます。

清水ヶ峰

 村境の合流地点、谷瀬辻(勝手に命名)から東へ進むと清水が峰のピークがあります。道中は踏み跡はほとんど無く、木が密集している場所は少々歩き難かったです。少し繁った場所に山頂が有り、先の尖った石が置かれ、眺望は望めない場所でした。『頂上』と書かれたブリキ看板が半分落ち葉に埋まっており、注意して歩かないと気付かず通り過ぎてしまうと思います。
眺望を期待しましたが、木が伸びて良くありませんでした。
 頂上だけの情報ではここが清水ヶ峰とは疑わしく、もう少し先に進みました。

清水ヶ峰頂上の看板(提供写真) 雪がうっすら

 この辺りから木に黄色いペンキのような印が付けられていたり、矢印や案内板が見られるようになります。清水ヶ峰からしばらく東向きで大塔町側は、奈良教育大学の実習林になっていると思われます。
先に進んで正解!!
鉄塔が現れ最高の景色を堪能しました。

清水ヶ峰より東、鉄塔のある眺望ポイント(提供写真)
前回行った下辻山の反射板が見える

下りに起こったハプニング

 今回は私の愛犬(ビーグル犬のマーブル♀)も同行しました。犬は自然に入ると生き生きしますね!休憩時は美味しいおやつ。沢山の自然の中にある匂いが神経を研ぎ澄ます様です。どんどん登り、気分は調査団の隊長!先導しては時折振り返って後続を確認します。
 2週間前、明神平に行った時は、積雪にて寒さで震えたマーブル。途中撤退し、抱っこで雪道を下りました。以前も伯母子岳からの帰りにバテてしまって5キロも抱っこして歩き戻った事もあります。
 そして今回、寒さ対策は2重に服を着せてバッチリでした。ただ、前半から張り切り過ぎたのか、急坂を下り出して暫くすると歩くペースが明らかに落ちました。
 後半の悪路に差し掛かった瞬間、いきなり脚を痛そうに引きずり、声を上げてキャンキャン鳴くでは無いですか!脚を怪我したと思いチェックするも何も無く、ただ痛そうに鳴くのです。関節を動かしても痛がらず、後脚を触ると痛がるのです。本当に心配しました。
 このままでは日が暮れると思い、9キロある犬を抱っこして下る事としましたが、中々の重量感で、私の腕は悲鳴を上げていました。  
 やっとの思いで平らな場所に辿り着き、腕が終わった私は犬を地面へ降ろし、歩かせてみると尻尾を振って普通に歩くでは無いですか。「これはきっと仮病ですよ!」メンバー1人がそう言うと何となく腑に落ちました。
 過去の経験から、困った事があれば飼い主に対して何かをアピールすれば抱っこしてくれると思っていたのでしょう。
 帰って調べてみると、やはり犬は仮病を使う事があると示されていました。動物で仮病を使うのは、人間、猿、犬くらいらしいです。ただ、かなりリアリティーがあったので、本気で心配しました。
賢く、可愛く、ちょっとズルいお騒がせ女優のマーブルでした。

下山、今回同行しました100マイラー女子+ワンコ

メンバー Kenta、みっちゃん、よしこはん、マーブル
ログはこちらヤマレコ
YouTube村境ルート探索#3

追記

大学実習林付近で見つけたスズタケという表記を調べました。笹の一種で紫色の花を咲かせるそうです。今回しれらしき植物は有りませんでした。枯れてしまったのか、春に出てくるのか。120年に一度だけ花を咲かせる植物で、花を見れたら幸運ですね。

なんじゃこれ?と眺めたスズタケの文字

追記2 2023/12/18

小嶋弘幸さんの記事がもっと詳しく良い情報です。


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