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妹の推薦でマネージャーになった件。【4話】

梅:えっ?飛鳥さん〇〇さんのこと知ってるんですか?


飛:ん、あぁ~し…知ってるよ~…。

筒:(飛鳥さん…怪しい…)




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飛鳥さんの怪しい言動が気になり頭から離れない。絶対に〇〇さんも関係しているはずだ。

私の専属マネージャーでもある〇〇さんなんだから知っておきたいところ…

これはもう意を決して〇〇さん本人に聞いてみるしかないのかな…


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筒:〇〇さん…


〇:筒井さんどうかされましたか?


筒:私たちって専属マネージャーの関係ですよね…


〇:そうですけど…なにか…?


筒:過去に飛鳥さんと何があったんですか…?


〇:、、、っ!いつかは言おうと思っていたことなのですが...まずは専属である筒井さんにお話ししますね…“あのとき”の出来事で僕は乃木坂46と関わってはいけない人だって思っていたんです。

筒:そ、そんなこと…!


〇:筒井さん…。。
でもそうなんです。あれは……..





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~4年前~


日本がコロナ禍に入ろうとしていた時のこと。

いつも通り人混みに慣れず、もう見飽きた道を歩きながら大学に向かう。



〇:やっぱり人が多いなぁ…いつになっても慣れない。人混み酔いしてしまいそう…


〇〇は大学に入ると同時に東京に上京し、早くも1年が経とうとしていた。


目の前でたくさんの人が入れ違いしている状況が続くが、足元にカードのようなものが落ちてくる。



〇:(ん…?今前の女性が落とした…?、、、乃木坂46合同会社の社員証…?)
あの髪の毛が長い女性が落としたのか……..?


〇〇が知っている情報としては“髪が長い女性”ということのみ。


乃木坂46というアイドルグループだということだけは知っているが誰が誰かはわからない。

よくアイドルに興味がない人が言う『みんな顔一緒じゃん』状態。


ほんとに今は共感でしかない。

ただし、社員証がないと困ることになるだろう。


〇:あれ、あの女性キョロキョロしてカバンの中を探してる…もしかして…。。






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飛:(今日は天気がいいし空の写真をモバメにあげてもいいかもなぁ~)



にしても早い時間から事務所に集合って…しんどすぎるでしょ。。

人混み嫌いだし、ささっと抜けちゃいたいなぁ…









飛鳥は、メンバー、スタッフから見てもプロ意識がすごいと有名だ。
街を歩く時もバレないように徹底に変装し歩いてる。



飛:(ちょっと時間あるし、カフェに寄ろうかな…お金ちゃんと持ってきてっけな…ってあれ…社員証がない…マズイかも…)



もしかして途中で落としたのかな…いや、そもそも今日は持ってくるのを忘れて家に置きっぱなしなのか…



人間という生き物、自分が追い込まれている状況に陥ると当たり前だが余裕がなくなる。挙動不審とはこのことだろうか。


人がたくさんいるというのにあからさまに飛鳥が目立ってしまう。




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〇:あ…あの!これ落とされませんでしたか…?


〇〇は初対面の乃木坂46の齋藤飛鳥に社員証を差し出す。

飛:あっ…これ…私のです…


飛鳥は初対面の人と話すのは苦手だが飛鳥なりに話しを続けている。


〇:や…やっぱり…!そこの道でポケットから落とされてましたよ…?


飛:申し訳ないです。私の不注意で…


〇:いえいえ…!人間誰しもミスはありますから….社員証お返しします…!


飛:あ…ありがとうございます


社員証を受け取るために手が触れた瞬間…

カシャ……





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ふたりは別れたあと〇〇は大学へ。飛鳥は乃木坂事務所に向かった。



〇:にしても、アイドルってだけあってキレイな方だったな…

乃木坂46のどなたなんだろ…。


〇〇は乃木坂46公式サイトを開きさっき見た人を探す


さいとう…あすかさん…?


〇:さっきの方齋藤飛鳥さんって言うんだ…顔が小さい方だなぁ….
やべっ!!講義の時間に間に合わなくなるっ…!



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?:あすか〜今日夜ご飯一緒にたべn…

飛:いかないよ。『真夏』


飛鳥を夜ご飯に誘ったのは同期の『秋元真夏』
桜井玲香からキャプテンを引き継ぎ2代目キャプテンに就任した。


料理が得意で家庭的な真夏はファンからは
“国民の嫁”と呼ばれている。



真:なんでよ〜夜ご飯食べに行こうよ〜


飛:今日は朝から色々あって疲れてるから、今日はサッと帰るって決めてるの


真:何があったの〜?



飛鳥は朝、社員証を街で落とし、危うく大ごとになる所だったことを真夏に話した。



真:あぶな!でも、よかったね優しい男性が拾ってくれて


飛:ね~ほんと助かったよ~


真:あすか冷静すぎない、あなた当事者だよね?


飛:もう終わったことだし~?逆に言えばそれ以外なにもなかったからね~


真:落としてるものは結構なモノだけどね…



——



筒:○○さん、、なにもなくないですか?ただ飛鳥さんの落とし物拾ったってだけで...


〇:それが…ここからが問題で…



——


後日、〇〇の携帯が一通の電話でにより震える…




〇:もしもし?


今:もしもし。乃木坂の者の今野と言うんだけれど。岩本〇〇くんで間違いないかな?


〇:乃木坂さん?!はい…岩本〇〇で間違いないですが…もしかして妹の蓮加になにか…?


今:あぁ、いや蓮加じゃなくて今日は〇〇くん自身に用がね


〇:僕ですか?!な…なんでしょうか…


今:単刀直入に言うとね…



〇〇くんと齋藤飛鳥との写真が文春に撮られたんだ


その言葉を聞いた瞬間時が止まったように感じた。

ゆっくりと脳で情報を処理していく。

〇:(、、、?!齋藤飛鳥さんって朝社員証を落としてた方?!なぜそんなことだけで…?)


今:記事の内容が、


『街で乃木坂46のエース齋藤飛鳥が一般男性と手を繋ぐ?!』


今:みたいな見出しで記事が書かれているんだけど…


〇:してませんよ!言っても信じてもらえないかもですけど、実際齋藤飛鳥さんが社員証を落とされてそれを拾っただけです…!


今:まあそう焦らないでよ。ちゃんと写真を見てみると手を繋いでるように見えるだけで社員証渡してるの写真に写ってるからさ。まさかメンバーの親族に限ってこういうことはないだろとは思ってたから


〇:(今野さんからの謎の信頼で助かったのか…?)今野さんにそう言っていただいてよかったです…


今:真偽も曖昧での状態で記事を書いて世に出そうとするっていまの情報社会はこわいよね。


〇:で…ですね…あ、あの…!今野さん...この記事って出るんですかね…


今:〇〇くんからの言質も聞けたし今の電話も全て録音してるからね。この音声を文春に持っていって出せないようにしてもらうよ。それでも出すようなら裁判まで持って行くけどね。


〇:(お…恐るべし…乃木坂46…)よ、よかったです…!


今:これからはもうないとは思うけど念のため気をつけてくれ。


〇:はい…今回は申し訳ありませんでした…




今野さんとの電話は終わり安心していた〇〇だが、後日SNSで齋藤飛鳥さんとの文春が公開されていた。



〇〇の顔、個人情報は載っていなかったが世に記事が出て終わりを確信した。


が、乃木坂46ファンは細かいところまで見逃さない。
『これ、手繋いでる?』

『繋いでるどころか乃木坂のなにか渡してないか?』

『乃木坂LLCって書いてるけど関係者だけのなんかじゃない?』

などの声がたくさん上がり、乃木坂46運営からも、

『この記事には一切の事実が書かれていません。一般男性とも今回の件で連絡が取れております。
今後、このような虚偽の記事が出た場合裁判を…』などと正式な報告がされた。


蓮加には今野さんから一般男性が兄だと聞いたのかそれとも知らせれたのか、分からないが家でキツく言われた。


蓮:お兄じゃなくて文春が悪いんだけど!飛鳥さん相当落ち込んでたよ…!



“飛鳥さんが落ち込んでいた”



この言葉で胸が痛んだ。
確かに記事で書かれていた情報は嘘だったが、齋藤飛鳥さんを悲しませたのは事実だ。

僕のせいで飛鳥さんの文春が出たこと。虚偽の記事のため、色々誤解させてしまっているかもしれない。面と向かってお話しできないのがもどかしい。


いつかお話できる機会があればしっかりとお話ししたいけど…




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〇:と、まぁ…こんな感じです…


筒:〇〇さん悪くないじゃないですか?!むしろいい人じゃないですか!!


〇:飛鳥さんは僕のことを悪者だと思っているので…


〇〇は昔から何事もネガティブな思考になってしまう節があり、いつも親から、蓮加とは性格は正反対と言われてきた。


筒:そんなことありません!深く考えすぎです!私はこんな優しい方で人想いな専属マネージャーで嬉しいですよ!!


〇:筒井さん……!


筒:よしっ〇〇さん、、今もまだ事務所に飛鳥さん居ると思うんでしっかり話に行きましょ…!

”あのとき“の誤解やモヤモヤを晴らしに行きますよ!






end

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