京阪中之島線と阪神なんば線

勝ち組の阪神なんば線と負け組の京阪中之島線

阪神なんば線開業をして早15年、神戸から奈良まで乗り換えなしで結べ梅田を経由せず大阪難波駅で直接近鉄奈良線に乗入れ、日本で地下鉄を介さず直接2私鉄が直通するという大きな偉業を成し遂げた。その所為か兵庫県民の学生が大阪・奈良の大学へ、奈良県民の学生が兵庫の大学へと通学するという事も叶い、近鉄も淀川(大阪側の)を渡る光景も今は日常の風景と化してる。それに引き換え2008年に開業した京阪中之島線は当初見込みよりかなり落ち利用者が低迷で、昼間でも閑古鳥が鳴くお粗末さ。その両線にとって吉報な話がある。

淀川橋梁架け替えと連続立体交差(阪神なんば線)

この沙汰は自分も体験しているが、殊自分が居を構える此花区は海抜0m地帯(大阪湾最低潮位O.P.-0.3mで計算すると殆どがマイナス地帯)でこれでは列車の運行に支障が出る為、現橋梁より7m嵩上げし正蓮寺川踏切から福駅西方までを連続立体交差事業を行っている。これにより阪神なんば線は基より本線も大阪梅田駅から武庫川駅上手(東)踏切まで完全立体交差が実現する。これにより電車が安全かつスピーディーに運行が出来る恩恵を受ける事になる。

なにわ筋線とIR(京阪中之島線)

現在お粗末な状態で都心のローカル線と化しているが、現在なにわ筋線の「駅部工事」が始まりいよいよなにわ筋線の工事が現実味を帯びてきた。
先行で新大阪~大阪(新駅)の開業となり、おおさか東線が大阪新駅に乗入れ、関空特急「はるか」南紀特急「くろしお」も乗り入れ、暫定で梅田線を介して大阪環状線を半周し、天王寺へ至るルートを形成した。
「駅部工事」が済むといよいよシールドマシンによる掘削工事が行われ、JR難波駅に達すると思われる。南海側も工事に着手するようである。残りは乗り入れに参入してきた阪急電鉄。阪急は現在淡路駅の立体化を行っているが、それがひと段落してからとなるだろうと思う。千里線・京都線が入り混じる淡路駅を複層駅にしてスムーズな列車運行を行うためのは避けて通れない事業だ。その阪急もなにわ筋線乗り入れに名を挙げており、新大阪から標準軌ではなく狭軌路線で南海線に乗り入れる予定らしい。このなにわ筋線開業でジリ貧の京阪中之島線が次への成長への足掛かりになるのか、期待が寄せられる。
EXPO2025には到底間に合いそうも無いのだが、京阪はその後に出来るとされる総合型リゾート(IR)を見据えている。ただ2026年9月末日まで「解除権」が事業者にあり、それが一番の山である。「解除権」が無くなればIRへの実現へ一歩前進する。そうなると京阪もその近隣のUSJに二つのホテルを有しておりUSJを含む総合型リゾート地が日本で生まれる事になる。
IR=カジノと捉える愚か者が居るが、大阪は各地に散らばる国際展示場・会議場・リゾートホテル・劇場などカジノ以外の施設に力を入れるようだ。
新型コロナ禍も収まりつつ大阪が盛り返す起爆剤になればと拙は願う。
話を戻すと京阪はその時期を虎視眈々と窺っている様だ。IRが実現すれば第一段階中之島から九条まで延伸、第二段階として西九条から北港通を西進し千鳥橋以西の交通空白地帯を解消、新桜島まで延伸。それが実現するとインバウンド客の神戸➡大阪➡京都・奈良へと観光回廊が出来上がる。神戸では2024年6月に須磨水族園改め「神戸シーワールド」が完成。日本で3番目に「シャチを見る事が出来る水族館」が出来、その完成を心待ちしている人も居るだろう。

マニアの妄想は所詮夢うつつ

これまで阪神なんば線と、京阪中之島線にスポットを当ててみたが、一部のマニアがトンデモナイ妄想をしている。

①福駅に待避線を設置


これに関して一言モノ申すと、阪神なんば線は大阪難波駅や桜川駅を小一時間程見ればいい。直通列車より近鉄大阪難波駅発着列車の方が桜川駅を通過する本数が多いのだ。阪神なんば線は早朝・深夜を除き、普通列車の本数も快速急行の本数も間隔を置いて均等に割り振られている。両社とも阪神なんば線以外の路線の運用に充てられることもあり、阪神なんば線完結の列車は早朝の大阪難波駅発尼崎行き普通列車2本のみになっており殆どが近鉄奈良線と一体のダイヤ構成となっている。大阪難波駅~西九条駅間来る列車は必ず尼崎・大阪難波(又は鶴橋)へ先着する。
途中の福駅で待避線云々は駅周辺の事情を知らないマニアの妄想に過ぎない。プラットホームの幅、上下線との間隔、高架構築物の規模を考えると相対式2面2線が限界であろう。もし待避線を設けるとプラットホームの幅が狭くなり、整列乗車が出来ないなどの弊害が生じてしまう。本線側も阪神なんば線快速急行にリレーする形で大阪梅田~尼崎間の急行を走らせて便宜を図っている。

②阪神に京阪を乗り入れさせる

阪神と村上ファンドと言えば話が速いが村上ファンドが阪神株の買収に京阪に縋りつき対抗株の買い付けの申し出を行ったが、京阪は「中之島線事業に注力」していたためかその要望を蹴ってしまう。それを見かねた阪急電鉄が株の買い付けをし、阪急阪神東宝グループを立ち上げ、阪神は阪急とこれまで袂を分かちあった仲から名を残しつつも両社との絆は深まった。
これで京阪は大手私鉄で独立系(南海もそうだが)として無から作り上げる事に注力した。
殊にグループ会社の京阪バスは京都駅八条口から大阪なんば(OCAT)やUSJへのバス路線を展開し、路線バスの成功事例とまで言わしめたほどだったが、昨今の乗務員不足等からその路線も短縮し京阪交野市駅までになったのは痛い話である。放漫経営で破産した京都交通の園部以南の路線を京阪京都交通として再生。京阪宇治交通を吸収合併し一部は京阪バスに一部は京都京阪バスと会社名で見ればややこしいがそれぞれで少ない乗務員ながら健闘している。
さて、阪神電鉄は本線、神戸高速線、阪神なんば線と阪神電鉄が筆頭株主の山陽電鉄共々線路容量がカツカツで阪神の車両が山陽の運用に、山陽の運用に阪神が就くという持ちつ持たれつの関係であり、そこへ京阪が割り込む隙間はむしろ皆無に等しい。先に挙げた村上ファンドの沙汰で阪神と京阪は「犬猿の仲」であり、京阪電車の車両が阪神に入線できる保証もない。特に普通車は阪神御自慢のシルバージェット5700で0.5Mで加速減速がスムーズになる中で京阪の車両を乗り入れさせるとすべての列車の足手纏いになり、それも実現不可能。マニアは「机上の空論」でモノを語る癖があるのか、鉄道雑誌でも「鉄道ファン」位しか読まない層だろう。鉄道と言う経営と言う面で読む月刊誌は「鉄道ジャーナル」ではないだろうか。
昨今鉄道マニアが引き起こす色んな事件を見聞するが、鉄道愛好家を名乗るなら実情を見て知るべきである。
                       2024年5月6日
                       坂本豆廼丞筆

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