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世界でいちばん好きなSongwriter さようなら木村和さん。

ひんやりと雨が降る午前、そろそろ部屋の電気を点けようかと迷っていた折、突然の悲しいニュースが飛び込んできました。短く「え」と声を出してからは、しばらく動くこともできず。暗い部屋で呆然と立ちすくむとはこういうことか。

あまりにも寂しく、あまりにも頭が回らない中、ようやく動き出して、
暗いままの部屋でお線香を焚き、あたたかい紅茶をポットいっぱいに淹れました。

精一杯のお別れです。
大きめのティーカップを二脚出してきて、おフランスのお茶じゃなくてごめんなさいね、と思いながら二杯の紅茶を入れました。
急なことで、お茶菓子の用意もなくてごめんなさいね。
悲しいときはいつでもそうするように「弾き語りばったり」のCDをかけて、一人で二杯の紅茶を飲みました。
一緒にお茶を飲んだことなんて今までだって一度も無いのに、とても悲しいティータイムでした。

二杯目のお茶を飲む間、沢山のことに思いを馳せていました。

今年の3月に行った、最初で最後のコンサートで、KANは実在した!とありきたりに感激したこと。

そのすぐ後に休止が発表されて、心細くなりながらも「だいじょうぶ」という言葉を信じたこと。

「涙の夕焼け」を聴きながら恋人との別れ話のために出かけた雨の日のことと、その後は当分「だいじょうぶ I'M ALL RIGHT」しか聴けなかったこと。

私の名前には「和」の文字が入っていて、それは長年のKANファンの母たっての希望だったこと。

そのせいか、見ず知らずの私のことも「君の人生この先どんなふうになってくんだろう」と思ってくれてるんじゃないかなあ、とあり得ない期待をしてきた今日までのこと。

こんな時ほど涙が出ないのは「星空がcrying」のおかげでなんとなく知っていたこと。


冷めきった二杯目の紅茶を飲み下して、やっと暗い部屋に電気を点けました。「弾き語りばったり」は「#19〜今ここでエンジンさえ掛かれば〜」が一周終わって、ここで私のお別れも終わりです。
エンジンを掛けていかなくては。


春だけは毎年あなたの曲が出るはずなのに。
この冬の寒さは例年より堪えることでしょう。

さようなら世界でいちばん好きなSongwriter 木村和さん。
私に素晴らしい名前を、ありがとうございました。

私はこれからもあなたの切なく優しいふざけた音楽と共に生きて参ります。


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