アトムのエンディングメモ

アトムのエンディングメモ


 このメモが読まれている事は、僕はこの世に
いないのだな。ウラン、お母さん、お父さん、お茶の水博士
先立つ不幸をお許し下さい。おそらくミサイルの突入に
よって太陽は、正常に戻っている筈です。
僕が帰れる能力を持っているはずなのに何故、
帰らなかったのですかって、確かにロケットの軌道を修正
するのに手間取るなどアクシデントは有りましたが、
帰らなかった、いや、帰れなかった理由は別にあります。
僕自身がメルトダウンを起こし掛けていたからです。僕は、
自慢しない様に心がけていたけれど10万馬力のパワーは
自慢だった。このパワーの御陰で難事件を解決し難敵を
蹴散らせたのだ。
でもこのパワーを生み出す原子炉は僕には今になっては過剰
すぎたのだ僕は制御棒を降ろし核分裂反応を止めた。
出力は10%に低下した。それ以下には下がらなかった。
変性した核燃料の崩壊熱は止められないのだ。
過剰エネルギーを放出する事で冷却を行うシステムに成って
いたのが仇で事件のない昨今では大暴れして発散出来ない
のだ。もし僕が千馬力程度の並の力のロボットならば、
水風呂に暫く浸かる程度でその場をしのげたのにと思い
ます。
過去に原子力発電所でメルトダウン事故が起こりましたが、
何ともグリードな強欲な設計思想のギガワットクラスの
発電所で事故など起こら無いとして利益追求に走っていま
した。
その反省から事故が起こっても核連鎖反応さえ制御棒で
押さえ込めば自然にクールダウンできる百キロワットクラス
以下の原子炉しか製造を許さない事になっていました。
ところが僕は、各種熱エネルギー変換装置を駆使して巨大な
パワーを押さえ込む機構を備えていたはずだった。
でもやはり強欲な設計哲学でできた僕は欠陥品でした。
太陽の黒点異常と押さえ込む為のミサイルの軌道が
それた事は僕にとって千差一隅のチャンスだった。

 僕は志願しミサイルを追った。
直ぐに崩壊熱で得られたエネルギーは完全に解放された。
でもそれではミサイルに追いつけない僕は再び100%の
核分裂エネルギーを活性化させてミサイルに追いつき
名目上のミッションは解決した。
でも僕にとってフルパワーの原子炉は制御不能の危険な物
だった。
僕は正義の子として地球上で危険な核廃棄物に成りたく
なかった。
核廃棄物を安全に処分出来る場所は、
太陽以外にあり得ない。

 このメモを書いた後、僕の記録チップは、水星の衛星
軌道上を周回しているはずです。女々しいようですが、僕の
記憶チップを回収して僕を甦らせて頂いたら嬉しい。

エピローグ

私は、TVアニメ「鉄腕アトム」をリアルタイムにギリギリ
物心付いた状態で白黒テレビから視聴していた?!
そして多くの視聴していた!子供達と同じ様に「最終回」に
納得して無い!
そして理系人間と自称して居るが、福島原発事故が崩壊熱
現象で発生した事が直ぐに理解出来無かった残念な事も
在ったのだ!
アトム視聴より少し後に成るが、「サンダーバード」で
「原発事故のレスキュー」を行っていた⇒
「サンダーバード隊員(トレーシー家の息子達兄弟)が、
自動で核分裂を抑える制御棒が自動で降り無かった原発に
防護服で乗り込み手動で制御棒を降ろし⇒収束⇒
めでたしめでたし」と言うストーリーで子供の頭に
「原発事故は制御棒を降ろせば片付く」と刷り込まサレテ
いたので崩壊熱でメルトダウンは想定外だったのだ!
アトム最終回の違和感と福島原発事故事故をニコイチで合わ
せて考えて作成したのがこの作品です!
こうとでも考え無いと?!納得出来ないのだ!

文末

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