こどもが世界を怖いとおもうわけ ー川上弘美「大好きな本 川上弘美書評集」ー
子供のころはお化けが怖かった。愛読していた学習図鑑も鯨の泳ぐページだけは、飛ばして見ないようにした。
大人になって、お化けの話が好きになった。正確に言えば、幻想文学の愛読者になった。
世界は言葉でできていることを前提とすると、幻想文学とは、こちら側とあちら側の境界を発見する試みである。境界を越えてあちら側(異界)に行って帰ってくる冒険譚はファンタジーと呼ばれ、あちら側(あの世)に行きっぱなしの世界はXXガイとかオカルトとか呼ばれる。
川上弘美さんは、日常生活が突