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京住日誌 20日目

 京都に来て3週間になろうとしている。バラバラとにわか雨が降ることはあったけれど、ほぼピーカンの日々が続いていた。しかし本日は朝から雨。理由は分かっている、「日本一の雨男」こと航平くんと会う約束をしているからだ。航平くんの逆テルテル坊主ぶりにはいつも感心する。安定してますな。
 今日は夕方から航平くんとベロベロになる予定だからそれまでは今までの資料の整理などをし、少しだけリモートワークのフリをして過ごした。するとあら不思議、あっという間に夕方になった。航平くんとはホテルロビーで待ち合わせをして、予約してくれたおばんざい屋へ徒歩で向かう。町家を改造した雰囲気の良い店だ。期待できる。

ポテトサラダのチップスも自家製

 まずはおばんざい5種盛りを注文し、生ビールで乾杯し、宴が始まった。
 航平くんは大学の後輩で思い返してみると35年の付き合いだ。一時的に音信が途絶えたこともあったが、今では家族ぐるみの付き合いだ。社交的とは言い難い僕には珍しいことで、ありがたい関係でもある。2人の息子とも交流があり、時に文句を言ったり言われたりする仲だ。少なくとも僕の方は彼らを年若い友人だと思っている。
 航平くんとの話題は多岐に渡るがまずは2人の息子の話題だ。長男ソウと僕は最近一悶着お越した。そのことを航平くんに詫びると共にソウがしっかりと考え行動していることを褒めた。そして航平くんの方は家で起こった舞台裏の話をしてくれた。僕が言うのはおかしいし、無責任でもあるが、物事に反応して、自分の意見を言えるソウの成長はやっぱり嬉しい。彼は今18歳で選択の岐路に立っている。僕の18歳に比べると考え方や行動力は比べものにならないくらいしっかりしている。まぁ航平くんは父親として大きな責任も背負っているから手放しでは喜べないんだろうけど。もちろん次男のゲンも負けてはいない。ゲンの美点はモノを深く考える能力もさることながら、特筆すべきはその行動力だ。同世代はもちろん、年上に対して物怖じせず、人間関係を結んでいく。父親の航平くんに言わせると「アイツは人たらしだから」という。言葉からだけだと揶揄しているみたいだけど、それをいう航平くんの顔はどこか嬉しそうで誇らしげだ。ゲンガンバレ!

一軒めでまあまあベロベロだけれど、航平くんと京都で飲む機会はそうそうないだろうから、ハシゴしたい。店を出ると雨が強くなっている。タクシーで移動した。

ディープ京都

 そのバーはいかにもという町家が立ち並ぶ新橋通り沿いにある。知らなければ入れないだろう。ウナギの寝床と称される京町家の扉を開けた奥にそのバーはある。元お茶の先生が自分の茶室を改造してバーにしたという。

入っていいの?

店は意外に混んでいて最初はテーブル席に案内された。ややあってカウンターに。もう十分酔っ払いだったけど、モヒート、ウオッカ、ウィスキーとやっつけた。

フランス産ウォッカ

帰りは雨が上がっていたので千鳥足でホテルまで。航平くんと色々話ができたし、よい晩だった。

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