できなくてもいい

#創作絵本ストーリー

私はずーっとずーっとお母さんから言われてるの。

お勉強しなさい。

ピアノの練習しなさい。

きれいな字が書けるように習字頑張りなさい。

1年生になってからずっと。

全部、ぜーんぶ、みゆのためなのよ！って。

でもね、みゆ、なんだか楽しくないの。

どれも嫌いじゃないの。

嫌いじゃないんだけど
でも…
本当に楽しいって思ったことないの。

みゆね、体育の時間にてつぼうしたの。

さかあがりが出来なくて、だからね、みゆ考えたの。

さかあがり出来ないから前回りしてみた。

簡単にできた！

その時なんだか気持ちがよかった。

出来ない、出来ないって無理にやろうとすると。

みゆはどんどんつらくなっちゃうから。

出来ないんなら出来ないで、みゆが出来そうなこと。

出来ることをやってみたいの。

ぜーんぶぜーんぶ出来たらつまんない。

だって、ぜーんぶできると楽しくないの、みゆはね。

出来ないことが、出来たら楽しいの。

出来ないことがあると、出来ることをした時楽しい気持ちになるの。

でも、そんなみゆのこと、お母さんは少し怒った。

『みゆ、出来ないから出来るようにしないと。逃げてばかりはダメよ』って。

みゆ、逃げてるんじゃないもん。

みゆは自分で自分のこと知っただけだもん。

みゆの苦手なこと。得意なことを。

お母さん、もう少し待ってね。

きっと、みゆは今、自分のことをお勉強してるんだ。

自分のことちゃんと知って、出来ない事があれば
どうしたらいいかなって。

どうしても出来ない事なら出来る事をもっと楽しもうかなって。

きっと、みゆが大きくなっていくために大切な事なの。

ぜーんぶ、出来てたら、きっとみゆは。

やった！出来た！って
楽しめないから。

出来ない事があっても、みゆはみゆだから。

だから、お母さん、もう少し見守っててね。

おしまい