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ありがとう。





母は心臓の病を患っていた。

母は、私と妹の手をとり、自分の頬にあててこう言った。

『ごめんね、あなた達を残して逝くのが本当に悔しい。あなた達のことずっと守るからね。ずっとずーっと』

そう言って私と妹の手を頬にあてたまま息を引きとった。

私が15で妹が12の年だった。

それから10年後に父が胃癌で亡くなった。

私も妹も結婚し、お互い子供も。

そして月日が流れ、私の子供達も結婚し孫が生まれ、それなりに暮らしていた。

2人の孫が成人したころから、私は、両親の夢をよく見るようになった。

ある日母が夢で
孫のことを気にしていた。

『つばさ、夜道きをつけないと。橋を渡る時、狭いから車と接触して怪我しないように』

と、そう母が夢で言った。

気になった私は進学し1人暮らししていた孫に連絡した。

『うん、この間、車が私の鞄と接触してちょっと怖かったけど、誰かが引っ張ってくれた気がした。』

そう孫が話す。怪我はなかった。

それからしばらくして今度は父が夢に

よく見ると白いシャツが真っ赤になりボロボロ。

『どうしたの?』と聞くと

『あおいは運転を気をつけないと。居眠り危ないぞ。稲光りで気づかせたが、前の車に衝突するところだった、車間に入って車を止めたからあおいの車の色がついたんだ』と。

孫のあおいは実家(娘夫婦)で暮らしている。

まだ専門学生だったあおいは友達と遊びに行く時は娘の車を借りていた。

やはり、気になる私は、孫に連絡した。

『おばあちゃん、この間運転中すごく眠くなって。そしたら、車の中がいきなり眩しくなって目を開けたら目の前に前を走ってた車がいた。慌てて急ブレーキかけて大丈夫だったんだ』と。

私の両親は守り続けてくれていた。

母の言葉を思い出す。
『あなた達のことをずっと守り続ける』

毎年、娘が墓参りに連れて行ってくれる。

初めて孫を墓に連れて行った時の夜。
両親揃って私の夢に。
『いい子達だな。ひ孫の顔を見せてもらえてよかった』
と笑って言った。

孫達のこともずっと守ってくれていた両親。
本当にありがたい。

父が亡くなり50年過ぎた今、ピタリと両親は夢に出なくなった。
もう私達を守る必要がないほど大丈夫になったという事なのかもしれない。

今年は私が体調崩し行けなかった墓参り。

来年は、また娘と孫達と一緒に両親の墓参りに行こう。


🍀最後までお付き合い下さりありがとうございます。
この話はノンフィクションです。
私の母の目線で母と母の両親の事を書きました🖋

母は早くに両親を亡くしたので、私は祖父母の顔は写真でしか見た事ありません。
母は夢を見る度、私に祖父母からの言葉を伝えてくれました。

母や叔母(母の妹)だけでなく、私の娘達まで守ってくれた祖父母。

私は毎晩欠かさず1日の終わりに
『今日も1日ありがとうございました』と、
祖父母に手を合わせています🙏
いつか、向こうで🌈
祖父母に会えたら、なんて話そう。
感謝を伝えて…
笑顔でありがとう‼️かな😊✨


みんなのフォトギャラリーから祖母が大好きだったという『金木犀』使わせていただきました。
ゆずさん、ありがとうございます。

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