聖女(デーモン)が呼ぶ声 1

『あらすじ』

『凶人』と呼ばれる人肉嗜好者による犯罪が多発する日本。
 大衡幸都は同僚の伊伏瀧矢、加東正と共に『凶人』を物理的に抹殺する警視庁『特務処理』係に属していた。
 被疑者を射殺する『特務処理』係に他の刑事は眉を顰めるが、『凶人』は高いコミュニケーション能力で普通の人間の食の嗜好を、人肉食に変えてしまう『伝染』があり、射殺は警察上層部からの指示だった。
 そして都内に住む戸田亜美と言う名の女性が『喰われた』時間が発生し、幸都ら『特務処理』係が事件を担当することとなる。
 戸田亜美の足取りを追いキング・ジムへと訪れる幸都たち、だがその事件の裏に『女神』と称される女性がいることにまだ気づいていなかった。

 
 美しい死体だった

 戸田亜美(とだ あみ)は東北の田舎街で産まれた。
 会社員と父とパートの母。ごく標準的な家庭で育った彼女は、ごく標準的に来る日も来る日も視界に入る連なった山々を忌避し、県外の高校を受験した。
 学校生活は楽しかった。そこで彼女は青春を燃やし、男を知り、さらに広い世界を必然的に求めた。

 東京の大学を選択したのは当然だ。

 都会に出た亜美は、適度に勉強し、適度に男と遊び、今時の若者として日々を謳歌した。

 今は沈黙して、一人用のベッドに血まみれで寝かされている。
 しかも彼女の深奥を覆い隠す下着もなく、戸田亜美の全ては白々しいLED照明に晒されていた。

 つんと尖った乳首に、翳りの深い秘所。 
 乳房の半分には深い噛み後があり、肉が露わとなり、半分失っていた。
 下腹部の茂みは湿り、直前の行為の痕跡を生々しく残していた。
 ぷっくりとした唇も左側がない。
 頬と共に喰われ、白い歯と歯茎が露出している。
 喰われたのは頬と乳房だけではない。
 白い腿に、横腹に、二の腕に、歯が突き立ち、肉を囓り取った跡がある。
 一番深いのは、のど元だ。
 一番最初に狙われたのだろうそこは、致命傷の証として動脈から未だに血が流れ、亜美が父にねだって買って貰った、外国製ベッドのマットレスを赤く赤く染め上げている。
 亜美の顔は驚愕と苦痛に歪み、瑞々しい身体は所々、内に秘めていた肉を露出させていた。彼女を知る者達が目にしたら、誰であれ顔を覆っただろう。

 だがそれでも、戸田亜美の死体は美しかった。
https://note.com/preview/nf06821489a96?prev_access_key=82a08e0f0753d68e724fd67df4c78640

 https://note.com/preview/n54999e9f8ed9?prev_access_key=a1d71d8ea231823574bfd26d75548d74

https://note.com/preview/ne7a13844b2d5?prev_access_key=ed5dcc9d9f7d44901adeb14da1e36421
 

https://note.com/preview/n1bf93958ebc6?prev_access_key=644db1ef7206419ab4d99b1910ca6aee

https://note.com/preview/n58f80b5550eb?prev_access_key=5b3f3f692d92b12922fd73051452f6b2

https://note.com/preview/n24b2645d7104?prev_access_key=3a937aeb531b0c6bb5164fe74fe488e4


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?