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スマートな相続対策を!家族信託入門ガイド

みなさん、こんにちは。
行政書士の黒澤正人です。
本日は、最近注目を集めている家族信託についてご説明いたします。良いところもありますが、相続される方ご自身のことを考えると不足している部分もある制度です。すぐに利用を決めるのではなく、じっくり検討する材料にしていただけたら幸いです。


家族信託とは?

信託とは、ある人(委託者)が自身の資産を別の人(受託者)に託し、受託者がその資産を第三者(受益者)のために管理・運用する法的な仕組みです。様々なアレンジメントが可能で、柔軟性が高く目的を達成するために広く利用されてます。その中でも家族信託とは、受託者を家族に依頼し財産管理をお願いすることをさします。以下、一番簡単な実例をあげます。

例:高齢の父が委託者となり、自身の有するマンションを長男に託し経営してもらうことにしました。
このとき長男は受託者となり、財産(マンション)を運用管理することになります。経営によって生ずる家賃収入は父がもらえるようにすることで、父を受益者とします。これにより父は、生前に財産(マンション)から生ずる利益を受けることが可能です。
また、父が死去した場合に財産(マンション)を長男に残すという契約を結んでおくと、マンションは相続財産とならずに長男の手にわたることになります。

これによって、相続が発生した際のもめ事を避け、税負担を軽減することもできるでしょう。近年、注目を集めているのはその点がクローズアップされているからといえます。

家族信託のメリット

  1. 税効果の最適化:家族信託は相続税の節約に大きく寄与します。資産が信託に移されることで、その資産は法的には委託者の所有ではなくなり、相続税の対象から除外される可能性があります。

  2. 紛争の防止:相続時の不和を防ぐため、家族信託は資産分配のルールを明確に設定します。これにより、家族間のトラブルを未然に防ぐことができます。

  3. 資産保護:信託資産は委託者の個人的な債務から保護されるため、債権者からの保護が可能です。

家族信託の設定プロセス

  1. 目的を明確化する

    • どの資産を信託に入れ、何を達成したいかを明確にします。

    • 契約内容も検討しておくとよいでしょう。

  2. 関係者を選定する

    • 受託者と受益者を慎重に選びます。管理人は法的責任を持って資産を管理します。家族信託であれば、委託者=受託者となるケースが多いです。つまり自身の財産を誰かに運用してもらうが、利益は自分が受け取るようにしたいという目的を叶えることができます。

  3. 信託契約書を作成する

    • 信託の条項を定めた契約書を作成します。

    • 専門的な内容になる場合は、きちんと相談しましょう。

家族信託のデメリット

  1. 身上監護が約束されているわけではない:この点がいわゆる任意後見や法定後見との違いです。いずれ詳細は記載しますが、信託は財産運用を主とした契約となるのに対し、後見は身上監護まで含めて被後見人を代理する権限があると解釈されます。

  2. 信頼関係に基づいている:一度預けた財産は受託者がある程度自由に運用することができます。契約にのっとっていれば、ローンを組むことも可能です。よって、悪用されるのではないかと心配されるかたもいらっしゃるかもしれません。ご家族が不安な場合は、信託銀行などに依頼することも可能です。その分費用はかかりますが、安心安全をとる場合はそれも有効な選択でしょう。

まとめ

信託は財産管理を考える上では非常に有効な手段ですが、設定には複雑な法的手続きが伴います。また、信託設定後も定期的な見直しと管理が必要です。信託の条項を現状に即して更新することが、長期にわたってその効果を最大限に保つ鍵となります。
さらに、後見制度との相違もあり、ご自身にとって何がベストなのかをきちんと判断いただく必要があります。一義的に信託が絶対正しいということはありません。ご家庭の状況に応じた選択を行うのがよいです。
困ったことがあれば専門家に相談しましょう。

身近な相談から複雑な手続きまで、お困りごとはくろさわ行政書士法務事務所まで。いつでもご相談受け付けております。


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