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野生のエルザ

小学生の頃、初めて子供同士で見に行った映画が「野生のエルザ」でした。名曲「Born free」と共に、子供心にもものすごく感動してしまったのです。「野生のエルザ」に続いてシリーズの「永遠のエルザ」「私のエルザ」「エルザの子どもたち」を夢中になって読み通したものでした。どうしてあれほど夢中になってしまったのかは、今では覚えていません。でも、現在動物に関わる仕事をしている事を思えば、心の琴線に触れたというか?大きな転機になっていたことは間違いありません。

親が射殺されてしまった子ライオンを保護し育て、やがて野生に返してゆくという実話を淡々と記録した話でした。人に飼われた動物が野生に戻り生きてゆくという事は、壮絶な試練になります。狩りができなければ餓死するかもしれません。他の野生動物に襲われたり、病気になってしまうなど危険が蔓延しています。それなのに、何度も挫折して思い悩みながらも貫き通したのは何故か?作者夫妻が言い争います。「どうして動物園での飼育ではいけない?」「野生に戻しても時折自分たちに会いに来てくれるのを望んでいる、都合の良い人間のエゴではないか?」と。しかし「野生では自由だからよ。自ら狩りをして生き延びていく誇りがあるからよ。」(会話は正確ではありません、ニュアンスを汲み取って下さいな)と返します。

エルザは野生に戻り、3頭の子どもを産み育てます。エルザが感染症で命を落とした後も、作者は子供たちを見守ります。その後も夫妻は保護活動に努めますが、それぞれが現地の人々の恨みをかい命を落としたといわれています。

エルザが野生に戻った…物語はここで美しく終わるわけではありません。現実はひどく殺伐としたものでした。それでも私にとっては『生きる』意味を考えさせられた、大切な物語でした。

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