#35

『6月13日 はれ
いくら冷めたと言ったとはいえ、悠斗の執着が収まる訳ではない。あれからずっとLINEしてるし、しつこいらしい。瑠海がスクショを送ってくれるので、大体の会話は把握している。せっかくなので、冷める前のLINEも見せてもらった。
<ねね)
<瑠海がさー、この前話した友達とか親友とかのピラミッドの話って覚えてる?)
<本当に自分が1番上なのか最近の言動とか見て、思っちゃう)
<なんか瑠海とここまで仲良くなってここまで秘密を共有してるのに、ただの友達はやだ)
(悠斗は1番上じゃないといやなの?>
<嫌だっていうかなんだろーね)
<難しい)
秘密を共有したら仲良くなれるって言ったのは確かに俺だが、ここまでその言葉に執着し続けることに驚いている。こんなこと、瑠海には言えないが、実際俺もこの方法をとっている。大事なのはさりげなく聞き出し、聞いてもらうことだ。そうではなく、単に秘密を共有すれば仲良くなれるという部分しか考えていないようだ。しかも、恋仲になれるとまでは言っていない。何を勘違いしているのだろうか。その内に嘘じゃん、とか言われてしまいそうなまである。知らない、俺は成功している。少しは自分で心理学でも調べたらいいんじゃないかと思うが。あの時、教えなければよかったなと思う。そして、ピラミッドの話は俺も瑠海から聞いたことがあった。その時、1番上なわけないじゃん笑と言っていた。中々に腹黒い。
この会話はたった一部だが、似たようなことがずっと続いている。そして、ここ最近は死にたいだとか、自殺するしかないとか“わざわざ”言ってるようだ。恋に悩んだその相手に言うのは、気を引こうとしてるとしか思えない。罪悪感を持たせて付き合わせようとでもしたのだろうか。これが無自覚ってのが最悪だ。これに対して瑠海は、煽らないでほしい笑と言っている。瑠海にとって、死は喜びであり、殺してくれと聞こえているようなのだ。本性を教えたくない瑠海は、その衝動を必死に抑えている…のだそう。これで、煽られていると感じるのは中々だ。瑠海はかなりの狂気を持っていて、これに形だけとはいえ賛同してしまったのはやばかったのではと思い始めている。
まぁ、最近の瑠海は休みだったり早退だったりが多いので、悠斗に絡まれることもなければ、悠斗の当たりが強いわけでもないので平和な方だ。』
#日記

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