#30

『6月3日 くもりのちあめ
今日は体育祭当日のことについてザックリだがまとめようと思う。

6月1日
朝、約束通り瑠海と電話をした。8時半から仕事(手伝いということは伏せて)ということを伝えたら、8時に学校に呼び出されているらしい。場所は4階〇〇室前の階段裏だそうだ。(細かすぎる詳細は伏せる)朝の時間じゃなくても人が来ないような場所だ。どうしても2人きりで話したいのだろう。かなりの執念を感じる。瑠海はもう裕斗のことが怖いらしく、話したくないらしい。俺は瑠海にとってボディガードのようなものだ。冗談で瑠海にそのことを言ったら、なぜか喜んでいた。
それから電話を終えて、朝の準備をして学校に向かった。
指定場所に向かうと、2人が話していた。なんて言って行こうか何も考えていなかったが、とりあえず目の前に出てしまった。
裕斗「え?!なんでいるの??」
当然だ。俺は苦し紛れに
「なんか、声が聞こえたから?」
としか言えなかった。裕斗も混乱していて「は?」しか言わなくなってしまった。
瑠海「仕事をするのにね、時間と場所がわかんなくなりそうだったから迎えに来てほしいって頼んだの」
裕斗「場所誰にも言わないでって言ったじゃん!」
「場所聞いてないよ、どこにいるかわかんなかったから探してたんだよ」
裕斗「えぇ??」
疑うのも無理はない。瑠海と事前打ち合わせなしのとっさの嘘だ。おまけに俺は嘘が下手だ。とりあえず、もう仕事の時間だから。と言って無理やり切り離してきた。
体育祭中は、裕斗が陸上部で選抜リレーなどで呼び出されていたために関わることはほぼなかった。借り物競争という名の人借り競争が男女別であったが、ペアで走るという点とお題が当てはまらなかったということで特に何もなかった。
体育祭の閉会式前の休憩時間、裕斗と月浦とこんな話をした。
月浦「保健の授業発表のテーマ決めた?」
「決めたよ、LGBTQ+にしようと思うんだ」
月浦「いいね、私もそれだから」
「え?そうなの?」
裕斗「なにそれ?」
「LGBTとかって知らない?セクシュアルマイノリティっていうんだけど」
裕斗「知らない」
月浦「レズビアンとか、ゲイとか、バイセクシャルとかの人たちのことだよ」
裕斗「へー、なんでそれにしようと思ったの?」
「確率的にはクラスに一人はいるくらいなんだよ、だからそのことをみんなに知ってもらいたくて」
月浦「私は、Xジェンダーてのとパンセクシャルだよ」
「へーそうなんだ。思ったよりいるんだね。」
月浦「え?ほかにもいるの?」
「うーん、本当はアウティングって言ってあんまり人のこというのは良くないんだけど、瑠海もそうなんだよね」
裕斗「え?」
「アセクシャルって言って、誰とも恋愛できないし、なんなら拒絶してしまうような体質なんだよ」
裕斗「……へー」
月浦「あの子そうだったんだ、知らなかった。」
あまりよくないことをしてしまったが、これで理解してくれただろうか。
もちろんこのことは後から瑠海に伝えた。
帰りに裕斗が瑠海にツーショットをお願いしていたけど、月浦がみんなで撮ろうと言って何とかしてくれた。
その後家に帰って、瑠海と悠斗はまた電話していたらしい。けどそのうちに、瑠海から「やばい!冷めてくれた!」と連絡が来た。良かった。
打つのが大変だったのでスクショを貼らせてもらう。』

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