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横浜スタジアム隣の日本庭園-彼我庭園の紅葉が見頃でした-

紅葉のシーズンは、9~10月、遅くとも11月までというイメージがあると思います。ところが、今年2022年の彼我庭園では、12月になっても美しい紅葉が楽しめました。

今回は、そんな彼我(ひが)庭園についてご紹介します。

彼我庭園とは

彼我庭園は、神奈川県横浜市にある日本庭園です。
横浜DeNAベイスターズの本拠地、横浜スタジアムに隣接しているので、野球ファンならご存じの方もいるのではないでしょうか。

JR「関内」駅から徒歩5分、みなとみらい線「日本大通り」駅からは徒歩5分の位置にあります。横浜中華街や赤レンガ倉庫などの有名観光地にも近く、都会の中にある緑のオアシスといったところです。

彼我庭園の歴史

庭園入り口の門

明治9年(1876)に英国人技士のリチャード・ブライトンによって設計され、開園当初は彼我公園と呼ばれていました。

その後の流れは以下の通りで、彼我庭園と命名されたのはつい最近のことです。

  • 明治42年(1909)-横浜公園と名前が変えられ、その後一度取り壊される

  • 昭和53年(1978)-横浜スタジアムの建設に伴って再整備

  • 平成29年(2017)-『第33回全国都市緑化横浜フェア』開催に合わせて、日  本庭園部分を「彼我庭園」と命名

名前の由来は横浜ならでは!

彼我庭園という名前には、横浜ならではの歴史が深く関係しています。

幕府とアメリカなどとの間で結ばれた条約によって、当時の横浜は貿易をおこなう港として定められました。そこにやってくる外国人が住むための区域は「居留地」として整備され、日本人コミュニティとは区別されていました。

居留地内の施設は基本的に、そこに住んでいる外国人が建設して、使用するものと決められていました。例えば、同じ横浜市にある山手公園は、外国人が自分たちのレクリエーションのために造った公園で、居住者だけが利用できました。

しかし、彼我公園は例外で、日本人も利用することができました。なぜかというと、彼我公園は火災で焼失した遊郭跡地に造られたため、外国人と日本人コミュニティとの境界があいまいな土地だったから、というのが大きな理由です。

話を戻すと、彼我公園は横浜にありながら、外国人と日本人の両方が利用できる特別な公園でした。彼(ひ)は外国人のこと、我(が)は日本人のことを指していて、「両者が利用できる公園」という意味が込められています。

大きな池が特徴の「池泉回遊式庭園」

池泉回遊式庭園とは、池の周りを歩きながら鑑賞できる仕組みになっている庭園です。彼我庭園は中央に大きな池があり、周りをぐるっと散策できるようになっています。

庭園中央にある池と、水面に映る紅葉

池の周りにはさまざまな植物が植えられ、季節ごとに目を楽しませてくれます。早春の紅梅、初夏のアジサイ、秋の紅葉。モミジやイチョウが色づく秋の紅葉は、例年11月下旬頃からが見ごろだそうです。

水琴窟の美しい音色が楽しめる

彼我庭園は、実際に水琴窟(すいきんくつ)の音色を楽しめる貴重な庭園です。

この門の先に水琴窟が

水琴窟とは日本庭園の装飾のひとつで、簡単に言うときれいな音が出る排水システムといったところでしょうか。

「手水鉢」という手洗い場の水が地面に流れたときに、排水の音が反響するように地中に空洞をつくります。水滴が空洞に落ちると、壁に反響して「カン、コーン」という澄んだ音がします。昔は、琴のような音と表現されていました。最近だと、ガムランに似ているという表現を多く見かけました。癒される音色なので、ぜひ彼我庭園で体験してみてください。

手水鉢
手水鉢手前の水琴窟

おわりに

庭園の周りにある木々が、外観が見えないようにうまく配置されていて、都会の真ん中にいることをつい忘れそうになります。ここだけの贅沢な時間を楽しめる庭園です。

野球の試合があるときは、スタジアムに行く前のお客さんで混雑している場合があるので、ゆっくり過ごしたい方は時間帯を選んで訪れることをおすすめします。

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