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春の思い出 じいじの夢

「行きたいから、連れて行ってくれ」
じいじがいいました

どこへいくかって?

娘の大学の入学式です

私は行く気がなかったのでなーーんにも用意してません。

「えっ?本気なの?」

と半信半疑で聞き返しました

だって、私と姉の短大・大学の入学式はもちろん
小・中・高の入学式・卒業式どれも参加してないんですよ?

いっぺんたりとも来た事ないのに・・・

そういうの、興味ないんじゃなかったの???

孫の入学式に行きたいだなんて・・・

本気で行きたいとのことなので、急いで用意しました

会場が家から近いこともあって、
自転車でいきましたとも。

私は着なれないスカートが、自転車に巻き込まれないように
四苦八苦

じいじといえば、帽子なんぞ被って
しゃれこけてます

私は自分の親が入学式にこなかったから、
一般的に保護者は行かないものだと、おもってたんです。

でも会場にはわんさか保護者がきていました
最近は行く人が多いのですね。
え?
昔から?

どうにか二人並んで座れる席をみつけて、
いざ、新入生入場

私「娘、娘はどこかな・・・」
じ「孫、孫はどこだ・・・」

まーーーーったくみつかりませんでした。
数千人の新入生
みんな同じようなスーツ、
しかも後ろ姿しかみえない
見つけれるわけがない。

娘をみつけられないまま粛々と式典はすすみ
無事おわり、そうそうと家へひきあげました

じいじは満足したようで
「いい式だった」
と、感激模様
「はじめてこんなのに参加した」

そうでしょうよ、私たち姉妹のときは
一回もきてないんだから。


あれから10年近くたちます
ここ2,3年じいじは療養中ですが、
いまでも

「あの時の入学式はよかった。
 行けて嬉しかった」

と言います。

じいじの一つの夢がかなったんですね
私は本当は行くの面倒くさかったんですが(笑)
一緒に行けてよかったと思います。


「だけど、ほんと、腑に落ちないよね」
「うちらのときには一回も来なかったよね」
姉と私はこそこそ言い合ってます。





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