私がアイドルを志望する理由

 アイドルっていうのはよく出来た言葉だなと思います。本来は「崇拝対象」という意味、日本では「衣装を身に纏い歌って踊るキラキラした人達」という意味が主流、ここからは私個人の感想ですが「アイ」という響きが素敵。推しアイドルを神のように崇拝するファンも沢山いるし、アイドルという単語の中に隠れている「アイ」は、偶然とは到底言い難い気がします。 
 私は、アイドルが好きです。特に地下アイドルが好きです。地下アイドルの、距離は近いはずなのに、私たちとは明らかに絶対に何かが違う、キラキラした空気を纏っていて好きです。カラフルな衣装、ライブで大盛り上がりする楽曲、綺麗なフォームのツーステ、色々と大好きです。先日のライブでの話ですが、前を真っ直ぐ見据えた目をして美しく舞っているメンバーを見て、勇気を貰いました。ステージ上でのアイドルは、胸を張って前を向いて、パフォーマンスをしている。血の滲む努力をして身につけたもの。かっこいいです。いつかオーディションを受けたときに、志望理由としてこのことを絶対に言いたいです。  
 私は地下アイドルになりたいです。アイドルとファンの物理的な距離が近いからこそ分かる、アイドルの可愛さやかっこよさや強さがある。地下アイドルのファンになって分かったことです。だからこそ、ファンの希望や夢になりたいです。私が可愛くてかっこよくて強い魅力抜群なアイドルになれるかは、正直分かりません。でも、とてもなりたい。そして、大前提として、ファンを裏切らないアイドルになりたい。
 アイドルは嘘で成り立っている幻だ、という意見は度々聞きます。明るいアイドルの中身は実はネガティブな人かもしれない、アイドルとその中身の人の性格は全くの別人、等。私はそんな意見を完全に否定はしません。アイドルとしての性格がプライベートでも続くなんて難しい話です。でも個人的な意見ですが、SNS等でのふとした投稿や、発言からそのアイドルの素が分かるような気がしています。ちょっとした部分の表現等から感じ取れる何かがあると思っています。アイドルという存在は完全な嘘ではないと思います(そもそも『嘘』という言い方もなんだか違う気が)。そのアイドルの本質的な部分が特に分かりやすいのが、特典会などでファンと話す機会が多く設けられており、SNSでの活動も多い、地下アイドルだと思います。自分の本質を完全に隠すことは出来ないからこそ、ファンを裏切らない誠実なアイドルになりたい。
 私は、大学生になったら地下アイドルになりたいと思っています。現在の学校は芸能活動禁止で、地下アイドルでは大学在学中にアイドルデビューするメンバーも多いから、そのタイミングを選びました。親には反対されています。アイドルになるなら一人暮らしをするように、学費は出さないから、と言われています。正直どうすればいいか怖くなっている自分がいます。絶対に大学を出たいです。今のところは、大学は国公立に入学して、返済義務があってもいいから奨学金を借りようと思っています。街に意外と良い物件も見つけました(私が大学生になる頃に残っているか分かりませんが)。どうしても不安が消えないです。
 でも、生まれてからずっと一緒の親と離れてまでアイドルをしたい私に気づいて、私が人生で一度も持たなかった大きな熱意を感じてもいます。アイドル曲のダンス練習にほぼ毎日励んでいるのも、私の熱意を気づかせてくれるというか。どうすればいいか分からない反面、嬉しいとも思います。
 それでもやはり、奨学金の返済は苦しいものだろうし、親元を離れるのきっときついだろうなとか、怖くなることが多いです。アイドル経歴がある人は就職時不利になるかもしれないという情報がSNSで流れてくることもあって、怖いです。でも、怖くなるたびに、一度きりの人生を無駄にしたくないと、自分に言い聞かせています。アイドルになることで生じる代償と、アイドルをしないことで一生頭の中を支配するであろう後悔を比べたら、一生後悔するのだけは嫌だという結果にいつもなる。


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