リリー

詩を書くことが好きで、始めたばかりです。読んでもらえたら嬉しいです。

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最近の記事

【詩】シーちゃん

小顔で整ったお顔立ち 吸い込まれてしまいそうなブルーの瞳 それは友人宅を訪問した日、初対面だった彼女 リビングテーブルの空いた椅子で ポーズをとり貴婦人の如く 私たちの会話を聞く 彼女の名前は「しらす」 ある親切な人がいてね へその緒をつけたまま風邪引いてた赤ちゃん猫 拾ったのよ 献身的な看病で元気になると その人が 私に連絡くれたの 熱っぽい口調で友人は 里親になったいきさつを 語ってくれた 「ちょうどその時、シラス丼が好きで夢中だったから。」 魚の名前をつけられてし

    • 【詩】信号機

       男と女は  なるようにしかならない  そんな事 知ったのは社会人になってから  季節など覚えちゃいない曖昧な記憶  空に陽の傾きかけた  あの日  百貨店の正面出口前の交差点で  貴方は青を 見送った  わずかに見せた戸惑いの素振りを  振り払って 屈む貴方の  両腕が私を包みこみ   どうして   力こめてギュッとしてはいけないの   どうして   抱きしめ返すこともできないの   滲む嬉しさ押し殺す   自分の 心の動きも解らないのに  サヨナラ  する 横断歩

      • 【詩】ハイヒール

        薄い霧の 晴れない朝 軽い ハイヒールを器用にさばいて 舗道をいく 女が美しい 昨夜 花開いたに違いない女の性が そのすんなりした 脚を わずかに恥じらわせ プラタナスの落葉 踏みつけることをさける ひそかに今朝 青きレースに包まれ 締めつけた乳房 何とか外に溢れ出たいと希う情欲の名残りは きらきらと 瞳から大空へ舞い上り 薄い霧が やがて 晴れぬ間に 女よ、 美しさを 誇れ

        • 【詩】静穏に墜つ

          はにかみ笑い 我が胸に 顔埋むあなたの髪を撫で 夜半にフトンかけ直す 充した炎やすらいで ふたり眠りに おちゆきて

        【詩】シーちゃん

          【詩】きらきらひかる

           「あなた、先に好きなの取って。」 フルーツのデコレーションに目移りしちゃうカットケーキ 私 星を数え  月を見、こころ横切っていった男の顔を思い出しても見 苦いコーヒーそっと 傾けたくなるわ

          【詩】きらきらひかる

          【詩】恋を捨てる

             吹雪が  私の貴方を 吹き払う  急に生き生きとした私 を  吹雪が歓喜の叫びをあげて  とり囲む  長く 空気を吸う事も忘れていた  吹雪の中に 馳けめぐる事を忘れていた  ただ  細く 狭い心の中に  貴方の姿だけを想いつめて  私の中の “かしこさ”は何処へ行ったのか  と  捜し求めた事もなかった  貴方の姿を彫み出し  幻の様な笑いだけが額にあった   吹雪の中で    きりきり舞いをしながら   心の貴方が 吹き払われるのを   笑いながらみている

          【詩】恋を捨てる

          【詩】バスルーム

           ほのぼのと  開きそめし季節のすぎて  髪洗えば抜け落ちる束 悲しきを  湯舟浸かり両の手に 抱く乳房  秋の晩

          【詩】バスルーム

          【詩】あなたに

           あなたの胸は広い  悲しさと 悩みにひしがれていても  あなたの顔をみると  何も言わない内にふと軽くなるのだ  わたしの心は小さい  豊かに 楽しい時でも  あなたの顔にいらだちや怒りをみると  何も言わないのに 涙が出るのだ  ぬるい風呂にひたって  岩に模した小石の塊から  ほとばしる湯けむりをみていると   このごろ   思わず叫びたい様な無音の悲しさが   ゆるゆると   ほぐれて来た  吐息つくのもためらうような  あまりに素朴な太陽を恥じつつ  あた

          【詩】あなたに

          【詩】父のつぶやき

           呑み交わし  寿司屋出てカラオケ誘う父が云う  どこかに居る 自分が何処へ行くのかも  分からぬ夢をよく見るのだ と  つと腕組みて黙って歩く 夏の夕どき

          【詩】父のつぶやき

          【詩】三つ星の下で

           クラスメートのMさんは  その日も  大学生の彼氏の自慢話ばかり  そんな彼女と近頃  廊下でたまにツーショットだったS君  二人が 中庭で待ち合わせ  下校する姿を見てしまう  なぜだか よく分からないまま胸に  憤り 立ちのぼり  塾からの帰り道 細い脚はもつれる様で  寒夜ひとり 軽いめまいを感じた  風が頬に触れてくる  きらびやかでない わたしは  何という星座に属しているかも  誰も知らない  わたしの光なぞS君も知らない  紺碧の冴えわたる大気に 仰

          【詩】三つ星の下で

          【詩】 散歩

          あちら向き  こちら向き 淡いピンクのささめきは あなたと私の様 うす曇りな心に 寄せて消えゆく 秋桜のうた

          【詩】 散歩

          【詩】 よりみち

            ちょっと のみすぎて繁華街 たち寄ってみる異空間 耳もと はりつく音の震動 あなた座ったゲーム台 横で すぎる時、見送るたのしさ

          【詩】 よりみち

          【詩】 今日

            足許が 冷たい   濡れた路面に浸む夜の訪れ    こんな日も    あるのか   早く帰って お風呂にでも入ろう

          【詩】 今日

          【詩】 小悪魔

           又 戻って来た  物憂い瞳で 上手く口説き  心をさらいに来る悪魔  親しげに抱きしめてくる腕  あたしがいつも  浮き草の様に揺れ動いているのを  充分に知っている男   取りすまして   あくどい唇も持たないし   お酒が好きで   少しばかりニヒリストぶって   やさしげなほほえみを持ち   くちづけがじょうず   そんな   あなたに 惹かれては   あたしのはめつ   不安と   恐れと   例えようのない 夜のかべに   ほんろうされる   それなのに

          【詩】 小悪魔

          【詩】雪だるま

          雪 降り積む公園 雪を かぞえてみた 一ひら一ひら 目まぐるしく数えた 疲れ果てて目をとじると 全て 無にかえる 一足 歩み 立ち止まる 今の 足跡は もう雪に埋もれているだろうと 胸を熱くして 冬の空の愛の證し 冬の空の生命の溢れ 気紛れに 舞い上り舞い落ち くちづけもさせず その清らかな媚態に 地が とまどっている 冬の空の愛の證しが 私の存在を忘れさせる程に響き やがて 一個の ひとかたまりの雪となる私は 呼吸する事を止めてしまうだろう

          【詩】雪だるま

          【詩】石について

           気持ちが不安で落ち込んだり  高揚感で落ち着きの無くなってしまう時  深呼吸する そして  私はシングルポイントの六角柱水晶を握る  掌の柔らかい部分に三辺の角が当たり心地良く  皮膚から浸透して感覚的に伝わってくるものがある  不快感もたらす対象は  この水晶柱へ吸い込まれ  氷の檻に 封印される  例えれば ほら、  まだ 空中に舞う美しくもない一匹の蛾  の様なものに変容するのだ  その羽の鱗粉は  うっかり触れたりすると 痒みや  かぶれを引き起こす毒があるので

          【詩】石について