見出し画像

タナチクさん

登録者数五万人以上いる畜産業界では知らない人がいないくらい有名なYouTuberで兵庫県美方郡で畜産業を営む田中一馬さんあつみさんご夫婦です。

タナチクさんが定期的に肥育されたお肉を販売されるのですがよーいドンであっという間に一頭分のお肉が完売されます。ボクもモタモタしてたり欲張ったりして買えない事が多々あります。

個人販売だから安いんでしょ?だから売れちゃうんでしょって思われる方が多いと思いますが真逆で非常に高価です。
ボクは畜産業者でもあるので全部自分でやって代金回収まで考えたらこの価格でなければやれないだろうなと良く分かります。適正価格です。だって売れ残った場合のリスクも全て自己責任なんですからね。

我々畜産業者も買うのですが一般消費者さんもめちゃくちゃ買います。
なんて言うんだろうか応援とかではなくタナチクさんが長年伝え続けて来た美方郡の但馬牛とは何かという事がちゃんと消費者の方々に届いたのではないかなとボクは思っています。

但馬牛と言うのは兵庫県で生まれ閉鎖育種の繰り返しで来ました。外部から精液が入る事はありません。タナチクさんが住む美方郡では更に厳しい制限があり美方郡産の種雄牛の精液しか交配されません。
それがどれ程恐ろしい事かは他県の牛飼いさんなら分かると思います。それくらい和牛に於いて特別な地域です。
これは我々、他県の牛飼いさんが全く関係ないとかではなく我々が血統に行き詰まった時にこの独自の進化をしている但馬牛が我々を救ってくれる事もあると思います。全国の畜産農家が守らなければならない地域でもあります。

有名な神戸ビーフは但馬、淡路市場を通ったものだけになる資格があります。未だに勘違いされている牛飼いさんもいますが神戸ビーフはこの但馬牛を守っているので我々の子牛が神戸ビーフになることはあり得ません。

閉鎖育種は近交係数との戦いでもあります。
近交係数が高くなれば繁殖能力の低下など様々な問題が付きまといます。但馬や淡路市場は高くて良いなと思われる牛飼いさんが多いと思いますが現場の苦労を知ればそんな事も言えなくなる位に我々とはまた別の苦労があります。

我々が作ったくろくまくんをタナチクさんがご利用してきた感想のYouTubeを作ってくださりました。
田中さんの牛飼いとしての言葉が染みます。ボクは常々思っている牛飼いさんとしての仕事を邪魔せずにどうやって役に立てるのかといういつも自問自答している事をちゃんと分かって下さったんだと嬉しく思います。

AIは牛を管理する事は出来ません。管理するのはあくまでも牛飼いさんです。我々はその牛飼いさんが少しでも前に進めるようにとの思いでくろくまくんを作りました。

上手く言えない我々に代わってタナチクさんが我々の思いを皆様に伝えてくださりました。是非、ご覧頂ければと思います。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?