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生産財マーケティングの基本9 顧客の信頼

前回の振り返り

前回営業の勝ち方について記載しました。
その概要ですが、顧客はそもそも問題がないかぎり既存の仕入先から購入することを前提にして、まずは新規案件からの入り込みについて説明しました。
そのために、会う価値を提供することが必要であり、ノウハウの共有化が不可欠であることを記載しました。
ちなみに以下は、商社の顧客に営業マンに求めることをアンケート調査した結果ですが、やはり何らかの情報提供が多くを占めます。
ただ、価値提供の前提として、顧客の信頼を得ていることが必要ですが、この点が抜けていたので、改めて触れておきたいと思います。
信頼という土台の上に価値提供がプラスされるという構図です。
営業というと、顧客との人的なつながりがイメージされがちですが、顧客の情報収集という側面では非常に重要ですが、人的つながりだけで売れることは生産財(対組織)営業ではありえません。

営業マンへの期待

長期的な信頼関係が前提となる

価値提供をしていてもそもそも信頼という土台がないとビジネスには繋がりません
ここで言う信頼とは、顧客が業務を遂行する上で求める最低限の期待を裏切らないことです。
その内容は、個人の対応と会社の対応に分けることができますが、ここでは個人の対応に焦点を当てます。
具体的には非常に簡単なことです。
・問い合わせに期日までに回答する 
・回答したことは守る 
・顧客にとってマイナスになる情報は早く報告する 
・クレームは即座に現場に行って謝罪する 等
簡単ですが、きちんと行える営業マンはごく僅かです。
私のような商売でも、間に入って営業を行ってくださる方がいます。
企画書の作成や打ち合わせ等で時間を使っても、受注できない場合もありますが、その連絡をきちんとくれる営業マンは非常に稀です。
個人的には営業のやり方だけではなく、営業マンの「人としてのあり方」をきちんと教育することも必要だというふうに思っています。

蛇足ですが・・・

個人的には、よくできる営業マンとそうでもない営業マンの見分け方は、アポに遅れる場合の連絡の仕方だと思っています。
よくできる営業マンは、10分遅れそうな時に15分遅れると連絡して早く付きます。
そうでもない営業マンは、同じく10分遅れそうな時に5分遅れると連絡して遅れて付きます。
できない営業マンほど、目先のことしか考えていない

営業業務が弱いと信頼が崩れる

この信頼は営業マンだけによって構築されるものではありません。
営業業務の対応も顧客の信頼のもとになります。
営業の事務と言っても単なる事務作業でありません。
ちなみに、ある商社の顧客が営業業務に求めることをアンケート調査した結果です。
正確な業務処理などはある意味当たり前のことだとも言えます。

営業事務への期待

残念ながら実態は

しかしながら、営業マンの実態はどうかというと、商談ロールプレイングなどの状況を見ると、顧客への価値提供よりも売りたいという結果を優先しており、そのレベルを次のようにまとめることができます。

レベル1:気弱な受け身タイプ
愛想がよく顧客の話をよく聞く。
しかし、値上げなど相手にとって嫌な話をそのまま相手に伝えることができない。
伝えたとしても、相手が発言する前に自分から譲歩する。
商談ではクロージングが弱く、相手から注文が出てくるのを待つ。
このタイプは、大手ディーラーを担当している営業マンに多い。

レベル2: 安値お願いタイプ
基本的には、今顧客が購入している商品の置き換えを狙う。
置き換えのためのPRポイントは安値であり、顧客が何故その商品を使用しているのか等の情報は収集しない。
メーカーチェンジに関して品質上の確認が必要など考慮しない。
安易に売上を作ろうとする営業である。
考えることが苦手な営業マン、楽に売ろうとする営業マンのタイプである。

レベル3: 一方通行押し売りタイプ
商品PRは行おうとする。
しかし、顧客のニーズがあるどうかを確認することもなく、一方的に商品のPRを行なう。
商品PRをきっかけとして、顧客のニーズを探り出そうという姿勢はない。
顧客情報を収集しようという意識が薄い。
販売意欲は高く効果をすぐに求める営業マンに多い。

レベル4: ストレートな質問タイプ
顧客の困りごとを把握しようとするが、「困りごとはないか」と聞くだけで引き出せない。
まずは、困りごとを聞く相手として妥当かという視点がない。
次に、困りごとを引き出す質問を考えようという工夫がない。
相手の状況情報を把握した上で相手の問題を想定(仮設構築)し、それを相手にぶつけることにより仮説検証を行なう
又は顧客ニーズを引き出すという流れを知らない。
意欲はあるが基本的な組立を知らない営業マンのタイプである。



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