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生産財マーケティングの基本②    受注品の取引の特徴       

規格品と受注品

生産財には、生産財メーカーが規格を決めて販売する規格品と顧客側が求める仕様を決めてそれを受注して販売する受注品の2種類があります。
一般的に、規格品よりも受注品の割合のほうが多いと思います。
小口発注が多い割に規格品が無いという業界でしたら、生産財メーカーが仕様を決め規格品を開発し販売するという戦略もあると思います。
この場合、顧客数が多く高利益が取れそうもなければ、販売チャネルを活用しなければなりません。
それでは、生産財で大半を占める受注品の取引の特徴を見ていきます。

売る側が受け身

消費財と違って売り手側ではなく顧客側が製品の求める機能や仕様を決定するので、売り手は取引している顧客に対する依存度が高くなります。
従って、重要なのはどの顧客と取引を行うのかですが、実際はそこまで深く考えて取引を行ってはいません。
何を作るのかは顧客が決定してくれるので、どうやって作るかという作り方に注力することになり、製品よりも技術が売りになります。
(例:プレス屋さんでは、製品よりも薄型加工ができますなどが売り)
消費財のように何を作るかという経験や消費者向けに販売したことは無いので、生産財メーカーが自社のオリジナル製品を開発し、消費者に販売することはかなり難しいと言えます。
このように主体性は顧客側が持っていますので、基本売り手側は「販売」というよりも「受注」するという意識が強く、御用聞きになりがちです。

顧客が集団で意思決定

小さな会社であれば、社長一存で購入先を決定することはできますが、規模が大きくなると、集団で購入の決定が行われます。
最終決定権者、ご意見番、利用者、援助者などの役割があり、顧客の経営状況や新規か継続取引かなどにより、最終決定権者は変動します。
すべての役割にアプローチする必要性があるなど、ややこしい側面があります。

長期的な信頼関係が基本だが・・・

良い製品や商品は売れる可能性はありますが、売れるとも言い切れません。
なぜなら、製品や商品の良さだけでなく、納期や価格クレーム対応などの顧客対応が長期的な取引の基になっており、既存の仕入先や製品が何も問題を起こしていないのであれば、顧客は仕入先や製品を変更しようとはしません。
従って、何も問題を感じていない顧客に対する新規参入はかなり難しいといえます。
逆に言えば、問題を感じている又は問題を感じさせれば新規参入の余地はあるということになります。

生産財マーケティングとは

生産財でも規格型製品は、「何を誰に売るのか」ということから始まるので消費財のマーケティングと同様に考えて良いと思います。
異なるのは売り方の部分で、プロモーションの中で「広告宣伝」よりも「人的営業」が重要視される点です。
これは顧客数が限定されている点、製品のイメージよりも説明型にならざるをえないという点があるからです。
これに対して受注型の生産財では、顧客数が限定されるのでどの顧客を選定するかという「顧客選定」、顧客1社1社の「何を」という「顧客ニーズ探索」と問題を認識させる「提案活動」、提案のために必要な「購買関与にする人の意思決定プロセス」を、しっかり把握することがポイントになってきます。



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