見出し画像

「赤字企業の再生」で書き忘れたこと

赤字企業の再生に必要なこと 

以前企業再生の条件は、社員のやる気が落ちていないことと核人材が辞めていないことだと書きました。
この2つがあれば、あとは戦略(やり方)をきちんと決めれば再生は可能だと言えます。
ただし、これは再生ファンド等が赤字企業を買収し立て直す場合です。

デーブ大久保コーチが言う「弱い球団はごちゃごちゃいう」に共感する

先日Youtubeを見ていたところ、読売巨人軍の打撃コーチに就任されたデーブ大久保氏が「弱い球団の選手は、これをやれと言うとなぜやるのかとかごちゃごちゃ言うので、最初は巨人もそうかと思ったが、そうではなく言われたことを一生懸命取り組むので安心した」という旨の発言をされていました。
これにはものすごく共感します。
コンサルティングに入った会社でも、赤字企業でかつベテランの社員ほど「なんのためにそれを行うのか」「それを行って効果があるのか」とよく発言します。
まあ、やりたくないと言っているのですが、前向きな企業とはこの初動で差がついてしまいます。
かつ、やり始めても継続性にかけるということもよくあります。

なぜごちゃごちゃ言うのだろうか

やりたくないということはわかりますが、その根底には何があるのか?
「面倒くさい」「どうせやっても失敗する」「やって駄目だったら叱責される」「誰も助けてくらい」様々な思いがあるとは思いますが・・・。
一つはこれで勝てる、良くなるという確信が持てない、逆に言えばこれまで成功体験がないということが影響していると推定しています。
悪く言えば負け癖がついているということ。
もう一つは、これがやりたいというトップの思いが無いということを敏感に感じ取っているのかもしれません。
または、長い間に醸成された組織風土(相互不信感)かもしれません。

やる気と核人材ともう一つ

再生ファンドが企業再生を行う場合は、社員のやる気と核になる人材がいることが条件ですが、実はもう一つ大事なことがあります。
それは、買収後にトップが交代していることです。
私達が関わる中小の赤字企業の再生案件は、これと異なりその赤字企業のトップからの依頼というものが多いです。
はっきり言えば、赤字を作ってきたトップからの依頼ということになります。
そのような中小企業の社員のやる気は低いのが大半であり、その要因はトップ自身の言動にあることが多いです。
また、このような赤字企業は資金繰りが大変なので、だいたい報告会まででその後お付き合いすることはほとんどなくなります。
そうなると、そのトップが旗をふるわけですから上手くいくはずがありません。

つまり「もう一つ」とは、トップが変わることです。
中小企業では、オーナーであるトップが債務保証をしておいるため、トップが変わることは大変難しいでしょうが、経営から身を引くことができなければ企業再生は困難です。
つくづくこの限界を感じます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?