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(2023年9月)上野でみた大道芸

2023年9月の、とある祝日に見たもの。

三連休最終日に上野公園へ行きました。
9月も半ばを過ぎたというのに、暑い。
暑すぎる。
残暑厳しいざんす。
そんな暑さのせいというわけでは無いかもしれないけれど、三連休のわりに上野公園は思ったほど人通りは多くありませんでした。

上野公園内にある正岡子規記念球場の裏手の先、上野の森美術館を見渡せるあたりに数十人ほど人が集まって何かを見ていました。
ギャラリーのような形に集まった人々の視線の先には、ベストに蝶ネクタイを身につけた20代半ばぐらいの男性がいました。
男性はワイングラスをひとつ、ふたつ、みっつ、、、と取り出していくと、おでこにワイングラスを次々と載せて行きました。
おでこの上に高く積み上げられたワイングラスの数、実に5コ!!
両手を広げて見事にバランスを取っています。
拍手と歓声が湧き、それとともにお客さんの数も増えてきました。
続けざまにワインボトルから空のグラスへワインを注ぎ、今度はボトルと空のワイングラスとワインの入ったワイングラスを積み上げて顎に載せました。
おでこでもバランス、顎でもバランス、ナイスバランスです。
やってることは、いわゆる曲芸のたぐいではあるけれど、見せ方がとてもスマートでした。
暑いながらも丁度良くできた木陰に腰をおろしてパフォーマンスを見る人まで出てきていました。
さてその男性は、観覧中のお客さんの一人の手を取ると、自分が被っていた山高帽を手渡しました。
そして2,3mほど離れたところから自分に向かって投げさせました。
1回目は失敗していたけど、2回目でみごと自分の頭でナイスキャッチ。
お客さんとのふれあいパフォーマンスはみんなが和みます。

次々と芸を繰り出す男性は、左右の手にそれぞれ50cmほどの棒を持つと3本目の棒を弾くように操り始めました。
糸も紐もついてないのに、弾かれた棒は右へ左へ宙を舞います。
不思議です。
手品ではないみたいです。
それはもう悪魔のような所業です、あれは悪魔の棒です!!
悪魔の棒が変幻自在に宙を舞い、見ている人を魅了して行きます。
音楽に合わせてお客さんたちから手拍子が起こっています。
大道芸的な一体感。
右手の棒でクルクルと零戦のプロペラのような動きを見せています。
と思ったら、今度は左右の手でそれぞれプロペラ機のような回転です。
零戦から双発型のプロペラ飛行機になりました。
男性がそれで空に飛んで行ってしまったら万国ビックリですが、さすがにそれはなかったです。

何やら取り出した棒の上に、別の棒を横にして載せるように置きました。
ちょうど、アルファベットの「T」の字のようです。
そのままバランスを取りながら「T」の下の部分がどんどん伸びて行きました。
伸びる。
まだ伸びる。
まだまだ伸びる。
どこまで伸びるのか?
正確にはわかりませんが、飛吉の目測では4m、いや4m50cmぐらいの高さはあるでしょうか。
ちなみに4m50cmだとすると、奈良の大仏の顔の大きさとほぼ同じです。
その長くなり過ぎた「T」をゆらゆらとバランスを取りながら、男性は自分のおでこにのせてしまいました。
見上げるほど高〜い「T」に、大きな拍手と歓声が湧いたのもつかの間、そのままの状態で男性の手元ではふたたび悪魔の棒が双発プロペラ飛行機となり、左右両手でそれぞれクルクルと回転しているのでした。
拍手と歓声もさらに大きくなりショーは終演となりました。

30分ほどのその時間は、疲れた日常から離れた夢見心地なひとときでした。

おわり

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