下階の住人

ピ ピ ピ ポーン。 ピ ピ ピ ポーン。 ピ ピ ピ ポーン。
                       ぴ   ぴ ぽーん。

ピ ピ ピ ポーン。 ピ ピ ピ ポーン。 ピ ピ ピ ポーン。
 ぴ   ぴ ぽーんぴぴ。 ぽーん。 ぴ ぴ ぴ ぽーん。


 またあの音がする。床下から。
 俺の部屋の下には宇宙人が住んでいる。
 毎日夜になるとUFOを作っていやがる。
 奴らは上手くやってるつもりなんだろうが、
 俺は全部わかってる。昨日のゴミ出しの時に
 奴らが捨てた虹色のゴミ箱の中を確認したんだ
                あれはどう考えても人類のモノじゃねぇ
                      奴らはきっとUFOを作って
                         るに違いないんだ。
                              あいつら
                 のゴミ袋はカラスも漁らねぇ
                   、だんるてい付気はスラカとっき
               。をトコいなゃじかんな人球地がらついあ
             。たっだ前月ヶ1はのたい付気にとこのこが俺
        。たいてけ続い思とい悪が味気は事のらツイアらか前のそ
らかるすをり訛い無のとこたい聞もてと、に度るすを拶挨でーターベーレエ朝毎
      でンプンカンプンチもかも何は時たしをかんな話の気天にれそ
わ合が褄辻ばれけなし定仮と人宙宇をらツイア、ろことな直正、てっ言リキッハ
                          。たし信確といな

              ピンポーン
                   ンーポンピ

「どなたですか。」
「シタ之カイ之モノデス。」
「・・・ご用件は」
「私共、本日をモちマシテコチラのマシンョンをハナレルとこなにりマシタ。」
「・・・そうですか。」
「です之で、勝手ながらお別れのシナヲ・・・」
「完成しましたか、UFO。」
「・・・」

「えぇ、完成しました。ここ最近は少しうるさかったかも知れないと思いまして、申し訳ないとも思いまして。お詫びの品のつもりで御座います。」
「普通に喋れるじゃないですか。」
「申し訳ない。やはり気味が悪いですかね、我々の話し方は。ここだけの話、色々な事情が重なった結果のアレなんです。」
「ここだけの話、ね。」
「しかしこの気味の悪さも改善点だ。帰って報告させていただきます。」
「・・・そうですか。」
「それよりお詫びの品を。恐らく地球では手に入らないですよ。」

「なんだいこりゃぁ。」
「中々手短に説明するのは難しい。ただ、食べる事も出来れば日曜大工に使う事もできる。なにかと重宝しますよ。」
「どういうことだい。」
「説明するのは難しい。」
「でも少しは説明してくれないと。」
「恣意て言うなら、論理世界の抽出物です。論理の範囲なら比較的柔軟に対応してくれる。私たちの中には『理想の実』なんて詩人らしく唱える人もいます。」
「『理想の実』ねぇ・・・」

「そろそろ時間だ。私はこれで。」
「あ、あぁ。お元気で。」
「あなたも。それでは。」


 扉をガチャンと閉める。部屋に戻って例の物体を机の上に置く。
 「疲れた・・・」
 肩を揉んでみる。
 「・・・いや?なんだか身体が軽いぞ。それにさっきまで頭の中でグラグラしてたものみたいなのが消えたような気がする。不思議だ・・・。」
 ふと耳を澄ませてみると、この1ヶ月間聞こえていた妙な電子タイマーのような音も消え、部屋の時計がカチカチと秒針を進ませる音が聞こえてきた。
 目線を落とす。
 「理想の実ねぇ・・・。」
 ・・・・・・
 「よし。もう寝よう。」
 下階の住人の置き土産を適当な棚に押し込んで。そそくさと布団に潜った。
 静かな良い夜だ。

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