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地獄へ急降下、そして地獄で仏とマボロシ猫

2021年10月27日

父が死の淵から奇跡の生還を果たし
リハビリ病院へ転院する準備が進む
そんな転院2日前

病院から連絡が入った
脳梗塞を起こした側の脳の血管から出血したとのこと
このままでは死んでしまうということで
出血をとめるためと
出血を起こしたことで腫れた脳が脳幹を圧迫して呼吸が止まるのを防ぐため
頭蓋骨を一部切り取り
頭蓋骨が脳を圧迫しないように
逃げ道を作るための
緊急手術をするという

とりあえず取るものもとりあえず
病院へ向かう

病院についたのは
18時半頃

父が搬送されたのは
救急病院だったため
どんどん命の危険のある患者さんが運ばれてくる

という事情もあるのだろう
担当医が手術をしているため
父の手術の開始は21時からと病院についてから聞かされる

ドラマなんかだと
緊急手術とかいうと
すぐに手術が始まっているイメージだが
緊急なのに命の危険があるのに
3時間も4時間も後で大丈夫なんだ?
と思った

がしかし
前の手術がおしたようで
実際に
手術が始まったのは
23時を回ってからだった

そして手術が終わったのが
日付の変わった深夜2時

姉の旦那さんに車で迎えにきてもらい
まだまだ予断を許さない父を病院に残して
父の家に帰った

手術までの時間
手術が始まってからの時間
とにかく待つしかなかったので
落ち着かないものの
妙に時間だけはあった
なので
病院内のコンビニなんかで買って
食事はとっていたから
特にお腹は空いてはいなかったけれど
翌日のための
飲み物などを買うために
家の近くのファミマに寄った

深夜3時
住宅街は車一台も通らず
真っ暗だ

そんな中
砂漠の中のオアシスのように
コンビニの明るい店内の光が輝いている

店内に入ると
静かに音楽が流れていて
非日常の怒涛の時間から
日常が流れ込んできて
心を中和してくれるようだった

翌日の食べ物と
ホットコーヒーを買った

こんなにコンビニのありがたさを感じたのは
人生で初めてだった

地獄に仏とは
こういうことを言うのかもしれない

コンビニの店員さんにとっては
なんということのない日常
特によくも悪くもない通常運転

でも時に
その存在に心を救われている人間がいるのだ

昔々
とっても辛いことがあった日に
(もう何がそんなに辛かったのか
何があってそんなずんどこにハマったのかも思い出せないのだが)
帰りに寄った八百屋さんで
八百屋のおじさんに
「これおまけね!」
っておまけの果物をもらった
その言葉に
なんだか救われて
夜道を泣きながら帰ったことがある

いつもの何気ない特別意味のない行動が
知らないうちに誰かを救っていることがある

そんなことを思いながら
心の中で
店員さんに手を合わせた

そして真っ暗な中
家のアプローチの階段を上がって
家に入ろうとすると

シャー!

シャー!

突然暗闇から

猫に威嚇された

と言っても

聞こえるのは声だけ

姿は見えない

やはり、マボロシ猫は確実にいるようだ

足跡と
鳴き声

未だに姿は確認出来ず

突然留守宅になってしまった父の家だが

番犬ならぬ

番猫がしっかりとセコムしてくれているようで
頼もしいと思った
(毎日いるのかは不明だが)

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