ゆりあ

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    【短編】枝

    道を歩いている 真っ直ぐに伸びる道が、視界にずっと映っている 道は、真っ直ぐに伸びてはいるが、足元はぬかるんでいる 靴の底にまとわりつく泥の感触を感じながら、ただ歩いていく 道は、真っ直ぐにしか伸びていないから 真っ直ぐに進むしかないのだ という自分の心の声を聞きながら、ただ、歩いていく しばらくすると、道の脇に大きく枝を横に張った木が見えてきた その木の脇を通ろうとすると ちょうど、目の前あたりに一本の木の枝が、まるで通せんぼをするように、私のいくてを遮るように伸びている

      • 【短編】真夏の午後のひまわり

        ジリジリと音が聞こえるような暑さを感じる 庭に咲いているひまわりも心なしか、暑さに辟易して、うなだれているように見える 軒先に吊るした風鈴が、申し訳なさげに軽くチリンチリンと音を立てる 風鈴が鳴ったぐらいでは、涼しさを感じることは 難しい暑さが襲ってくる こんな暑さでは、何もやる気が起きず、ただ、ただ時間が過ぎるのをやり過ごしてしまう 本当は、片付けないといけない仕事があるが、脳みそも、この暑さとともに溶けてしまったと感じるぐらい、やる気がでない ただ、でくのぼうになったよう

        • 【短編】ナイフの記憶

          ナイフがキラリと光るのが見えた 心臓がバクバクと音を立てるのが聞こえる もう、ダメだ と思った そこで、目が覚めた ああ、夢だったのか と、天井をみながら思った 夢だったが、私の心臓は、現実的にバクバクと音を立てているのが聞こえる 妙にリアルな夢だったな と、ぼんやりした頭で思った そして、 あの夢に出てきたナイフ、どこかで見たことがある とも思った  どこで見たんだっけ? と、考えていると 「これ、いいだろ?」 という声が頭の中に響いた そして、思い出した 7年前に付き合っ

          • 【短編】闇の中で見つけたもの

            真っ暗な闇が、どこまでも広がっているのが見える 真っ暗な闇が、そこにあるだけで、なんの音も聞こえてこない 真っ暗な闇ではあるが、どこか暖かさを感じる闇だった ある日、どこまでも真っ暗な闇の中で、かすかな音が聞こえた 何もない真っ暗な闇の中に小さな星が生まれたのが見えた 聞こえたかすかな音は、星が生まれた瞬間の音だった 小さな星は、かすかな光を真っ暗な闇の中で精一杯放っていた 小さな星が放つかすかな光は、生まれてきた喜びを小さな星が感じているあかしだった 小さな星が、生まれたこ

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            【短編】赤いゴムボール

            コロコロと背後で音がしたので、私は、振り返った 私の足元に赤いゴムボールが転がってきたのが見える 昼下がり、公園で本を読んでいた私は、本を閉じて赤いゴムボールを拾った そして、赤いゴムボールの持ち主を探した でも、転がってきた赤いゴムボールを追ってやってくる人影は確認できなかった なぜ転がってきたのだろう? と、私は、不思議に思った そして、なんとなくジッとその赤いゴムボール見つめた すると、ふいに  「それ、僕のなんだ」 という声が耳に飛び込んできて、私は、心底びっくりした

            【短編】畑の3人の女神

            男は、彼の顔をジッと見つめた 二人を挟むテーブルには熱い鉄板があり、ジュウジュウと焼肉が焼ける音が静かに聞こえている こんな話を聞くのには、この店は少しうるさいなと、男は感じていた ほんの2時間前、男は、テーブルを挟んで座っているその人と駅で偶然ばったり再会したのだった 10年ぶりの再会だった 10年ぶりだったが、一目でお互いのことがわかった 二人とも、さほど風貌に変化は見られなかったからだった 二人とも仕事帰りで、この後、特に用事もないということで、ご飯でも食べながら積もる

            【短編】落花生の殻を割りながら

            パキッとグシャが混ざり合った落花生の殻が割れる音が耳に心地いい 手の中で、最初は硬く、そして、もろく崩れ落ちるような感覚も心地いい そして、ワッフルのような殻の模様をみているのも、なんとも楽しいと男は思っていた その落花生に対する思いは、遥か昔の記憶と結びついて懐かしさと心地よさを感じているのだろうと漠然と思いながら、ただ、黙々と落花生の殻を破り、その音を楽しみ、その手の感触を楽しんでいた しかし、一向にその落花生にまつわる遥か昔の記憶とやらが思い出せない 黙々と落花生の殻を

            【短編】カメの長老

            のそのそと猫ぐらいの大きさの亀が歩いているのが見える  なんで? と、僕は、自分に問いかけた もちろん、問いかけたところで答えはわからない 街の住宅街の道路の真ん中を悠々と真昼間に亀が のそのそと歩いていたら、誰でも僕と同じ反応をするだろう どこかの家で飼っていたペットが逃げ出したのだろうか? と、思ってもみたりして、なんとか自分を納得させようと思ったが無理だった 僕が、戸惑いながら亀に近づくとふいに亀が話しかけて来た 「もしもし、そこのお人、ここらへんに、にながわさんという

            【短編】不思議な落とし物

            「今年は、異常気象だなあ」 と、窓の外を見ながら、僕はつぶやいた もう年も明けて1月だというのに窓の外から見る 景色はまるで夏だった 木々は、青々としていて落ち葉の一つもない 「あの、すいません」 という声を聞いて、僕は振り向いた 一人の初老の男性が、交番の入り口に立っていた 「はい、どうしました?」 と、僕が言うと、その初老の男性は、一本の斧を 僕の目の前に差し出した 僕は、一瞬、ギョッとして男性を見ると、その男性は 「そこの道に落ちていたんで、一応、交番に届けた方がいいか

            【短編】微熱と蜜柑

            こたつの上に、みかんが三つあるのが見える こたつの中で、暖をとっている猫があくび混じりに泣いた声が聞こえる 私は、まだ熱っぽい感覚を感じながら、寝巻きに はんてんを羽織った姿で、こたつに座っていた 一昨日から、風邪をひいて寝込んでいた 今日は、熱も下がったが、念のため仕事は休んだ まだ食欲もさほどないが、目に入ったので、こたつに並んだミカンに手を伸ばした みかんのひんやりとした感触が、まだ体に熱が残って居ることを教えてくれた 見たいわけではないが、惰性でつけているテレビからは

            【短編】りんごの木の話

            今年も赤いりんごが実った 赤いリンゴの実った木を一人の男の子が見上げている 美味しそうだな と、男の子は思っているのか 指をくわえて、リンゴの木を見上げている 男の子は、自分の口の中で唾が湧いてくるのを感じていた それだけ、今年のリンゴの出来は素晴らしかった 小鳥たちの華やかな泣き声が聞こえる 小鳥たちも赤いリンゴが醸し出す豊潤な香りに興奮を隠しきれないのか、リンゴの木の周りに集まってきている リンゴの木も、今年はとてもいい実ができたと 誇らしく感じていた そして、リンゴの木

            【短編】髪を切った日

            「今日は、どうしますか?」 と、鏡越しに馴染みの美容師が聞いてくる 「バッサリとショートにしたいんだけど」 鏡越しの美容師さんの顔を見ながら答える 「ずっと伸ばしてたのに、珍しいですね」 と、馴染みの美容師はいうとヘアカタログを持って戻ってきた そして、私と美容師さんはどんな髪型にするのか ヘアカタログを見ながら相談する フラれたから髪を切るなんて昭和の歌謡曲みたいなこと言えるわけがない と心の中で私は思った 恋人の宗介に突然、別れ話をされたのは先週の日曜だった 他に好きな人

            【短編】太陽の憂鬱

            太陽は、自分が太陽でいることに飽き飽きしていた 自分が、発する熱で自分自身が熱いし、朝早く起きないといけないことも苦痛に感じていた ああ、なんで、私は、太陽に生まれてきたんだろう と、太陽は思った 太陽の大きなため息が聞こえる 太陽が、大きなため息をつくたびに、ぼうっと太陽の火力がますのが見える 憂鬱な気分を感じてため息をつくたびに、自分の体が更に熱くなるのも太陽は、うっとおしいと感じていた ああ、月に生まれていたら、どんなによかっただろう と、太陽は、ため息をつきながら、自

            【短編】チョコボールの行方

            男の子は、ピーナッツにチョコレートがコーティングされたチョコボールのお菓子が大好物だった 虫歯になるからと、そんなに頻繁にお目にかかれることはなかったが、時々、母親が買い与えてくれた時は、そんなに頻繁にあることではないので 男の子は、とても幸せな気持ちを感じた そして、母親の手から渡されたチョコボールの入った箱を振って、箱の中のチョコボールがカタカタと音を立てるのを何度も微笑みを浮かべて聞いた 箱の中のチョコボールが、コロコロと箱の中を動く感触を感じ、確かに見えないけれど箱の

            【短編】小さなスーパーヒーロー

            キャップをななめに被った男の子たちの頭だけが揺れているのが見える 何やら、彼らが、楽しそうに話している声が聞こえる 子供の頃は、僕もそうだった 何が、そんなに楽しいのか、嬉しいのか、よく笑っていたな と懐かしく思った そして、かすかに聞こえていた、そのキャップを被った男の子たちの声がだんだんと大きくなってきた 見ると、楽しそうに揺れているキャップの群れは 営業先周りの途中で、缶コーヒーを片手に公園のベンチで小休止している僕の方に近づいてくるのが見えた そして、彼らは、僕が座っ

            【短編】紙を切る女の子

            たくさんの色とりどりの折り紙が床一面に散らばっているのが見える そして、チョキチョキとハサミで紙を切る音が聞こえる 一人の女の子が、夢中で折り紙を切っているのが見える 女の子は、何かを作っているわけではなく、覚えたてのはさみという道具に夢中だった そして、はさみで、チョキチョキと紙を切る感覚を何度も感じたくて、無心で、はさみで折り紙を 何枚も切っているのだった 女の子は、ただ、でたらめに折り紙を切っていった 床には、四角や三角や歪んだ丸や長いのやら細いのやら不揃いな色とりどり