シェアハウス・ロック0721

【Live】ソフト・ナショナリズム

 ナショナリズム。愛国心。そういうものが暴走すると恐い。私たちは15年戦争で、身に染みてそれを知っているはずである。
 だから、安倍晋三が「世界の中心で輝く日本」と言い出したときには、本当に腹が立った。「またやるつもりかよ、おまえ」ということである。「愛国心は、ならず者の最後の拠りどころ」という言葉がある。安倍晋三は、知れば知るほどひどい。国家戦略特区で、加計一派を超優遇した(というか、あれは国家戦略特区の私物化である)が、国家戦略特区の「がん治療の部」でも相当ひどいことをやっている。これを書いている今日、『がん「エセ治療」の罠』(岩澤倫彦)で知った。もはや、安倍晋三は愛国者ではなく「ならず者」のほうに近い。これは、近々お話しする。きっちりとお話しする。
 国家戦略特区は、もしかしたら「やりたい放題特区」だったのではないか。誰か、時間と能力と調査力を持っている人が、「国家戦略特区の闇」を暴いてくれないものか。まだまだネタは出てくると思う。
 ソフト・スターリニズムという言葉があるそうだ。それと同じデンで、ソフト・ナショナリズムという言葉もあっていい。あっていいというか、「youは何しに日本へ」などという番組は、ソフト・ナショナリズムそのものだと思える。
 安倍晋三は「世界の中心で輝く日本」と言ったが、どこが輝くのか、どう輝くかの言明は抜きである。これが悪しきナショナリズムの特徴で、なんらの例証もなく、根拠も示さず、ただただ「日本すごい」「日本素晴らしい」と言う。これは、簡単に「神国日本」に至る道である。論理じゃないものに反駁するのは、相当に大変であることは言うまでもないだろう。
「youは何しに日本へ」などいう番組も、まったく同じ構造で、やはりやみくもに日本偉いを言いたいようである。ただし、こちらのほうは、私がたまたま見た回では多少は見どころはあり、箱根細工、うなぎの蒲焼き、大衆食堂にいかれた外国人が出てきて、それなりに日本文化を掘り下げているとは感じた。だが、それを外国人に指摘されて、という構造が情けない。あんまり情けないんで、私の言ってることも、ナショナリストなんだか、反ナショナリストなんだか、わからなくなってきている。
 こんなことを言い始めたのは、7月16日に『今夜はナゾトレ』という番組を、チラッとではあるが見たからである。私が見た部分は、「東京駅が凄い」というところだったが、これが情けない。「ここが凄い」と言うのが、なぜか全員インバウンダーだった。
 辰野金吾の設計の素晴らしさを、なにも、インバウンダーに教えてもらう必要はない。『今夜はナゾトレ』の当日のテレビ欄を見たら、制作者の根性は一目瞭然であった。「世界中が感動!」「日本のスゴいとこ!」。こんなメンタリティで番組をつくらないでほしい。
 なんで、日本文化の素晴らしさを言うのに、外国人を引っ張り出してくるのか。明治時代のメンタリティから一歩も進んでいないじゃないか。クルトが評価したから写楽が素晴らしいんじゃあるまい。フェノロサが評価したから、日本の美がつくられたわけでもない。
 私が若いころ、文化人なる連中が、「アメリカでは」「フランスでは」「イギリスでは」と安っぽいごたくを並べ、それに対して「日本では」という論調が相当あり、私はその都度腹を立てていたのだが、いまに至っても、これは変わらないね。
 この軽薄さはなんなのか。どこから来ているのか。それがわかったら、相当程度、この国はまともになれるような気がしてならない。

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