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「不動産投資」の収益還元法

本日は不動産投資においての「評価額」についてお話をさせていただきます。

収益不動産の購入を検討する時に、融資のご利用をされる投資家様は多いと思いますが、どんな物件にでも銀行は融資をするわけではありません。

金融機関独自の「基準」を満たした物件に対して融資が行われます。
そして、その「基準」の一つに物件の「評価額」がございます。

例えば、1億円の一棟アパートの評価額が1億円であれば100%(フルローン)融資を受けられる確率は高く、評価額が5,000万円であれば不足分の5,000万円を自己資金で補わなければなりませんし、最悪融資はできない、ということにもなりかねません。

では、銀行はどのようにこの「評価額」を求めるのでしょうか。

それは以下の3通りの方法がございます。

・収益還元法
・原価法
・取引事例評価方法

そして、収益不動産の評価額を求める場合、多くの金融機関は「収益還元法」を用いることから、今回は「収益還元法」についてお話をさせて頂きます。

早速ですが「収益還元法」には計算方法が以下の2パターンに分類されます。

・直接還元法
・DCF法

それでは、それぞれの内容について深掘りしていきましょう。

~直接還元法~

例えば、物件価格1億円のアパートが表面利回7%の場合、家賃年収は700万円ですよね。

➡1億×7%=700万円

この計算から、収益不動産の価格 ( x :エックス) を求める計算式は以下の通りとなります。

➡ x =700万円÷7%
➡ x =1億

このように、家賃年収に対して利回で直接割戻して価格 ( x :エックス) を求める方法が直接還元法です。

そして、価格を求めるには「利回」を把握することが大切な要素になってきますが、実際には表面利回で割戻すのではなく、以下の「利回」を割戻すこととなります。

・利回 = 1年間の利益(家賃収入-経費) ÷ 不動産価格(円)× 100

この「利回」を、還元利回 (CapRate:キャップレート) と呼び、直接還元法で答えを導く重要な要素となります。

但し、アパートやマンションは全国に点在し、空室率や維持管理費等は、その地域や立地、環境にもよりますので、物件の特性によって経費が異なります。経費が異なれば、還元利回 (CapRate:キャップレート)も異なってきますので、不動産の還元利回 (CapRate:キャップレート)は一定ではありません。

そこで、金融機関は物件の特徴事に独自に定めている還元利回(CapRate)があり、その還元利回で割戻した価格を評価額として求めています。

例えば、CapRate=7%、諸費用30%と定めている場合は以下の通りとなります。

(700万円×70%)÷CapRate 7%=7,000万円(評価額)

金融機関が定めている還元利回や経費については内部情報にあたり、具体的に教えてくれる銀行は少ないのですが、評価額についての金額は教えてくれますので、逆算してある程度把握ができるようになれば、大変便利な計算方法となります。

~DCF法~

DCF法はディスカウント,キャッシュフローの略で、ディスカウントとは割引率のことを意味します。

筆者が妻に引っ張られてスーパーでよく見る「○○割引き」というよう値札のことではありませんのでご注意を(笑)。

ここで表現されている「割引率」とは、「金利」と考えておけば分かりやすいです。

例えば、親から、もしくは兄弟や親友から、突然100万円をもらったら、1年後その100万円はどうなるでしょう?

美味しいもの食べて欲しいものを買うから1年後は0円でしょ、と考えた方は典型的な「消費家思考」です。

100万円を投資して、1年後に投資で増えたお金を更に投資して・・・と考える方は「投資家思考」ですね。

どちらが正しい、というわけではありませんが、日本人は「節約」についてはとことん拘りますが(特にうちの妻は)、その裏には「消費」があるからで、節約したお金を「投資」へ回す、という人は少ないです。

筆者が25年前に新入社員として投資会社に入社した時代、投資は「財テク」と呼ばれ、何か操作して悪いことをするかのようなイメージがはびこっていました。

今では日本にも投資についての理解力が浸透されてきましたが「投資するお金なんてどこにもない」と言う方は未だに多いと思います。

忘れてならないのは、銀行への貯金は利子がある限り「投資」です。
都市銀行の利子は0.002%なので100万預て20円ですけど・・・
※なので筆者はポイ活している妻にお金を預けています、銀行より全然増えますよ!

せっかく毎月銀行に預金してもお金は増えませんから、銀行以外に「投資先」を探すことが今後求められると思う今日この頃です。

さて、親から、もしくは兄弟や親友から、突然100万円をもらった話に戻しましょう。

「投資家思考」で考えた場合、もし100万円を金利10%で運用すれば1年後に110万円になりますので、110万円を1年後に得るためには金利10%で運用してくれる投資先にお金を預ければいい、ということになります。

ということは将来得られる110万円を金利10%で割引けば、今100万円で投資すればよい、ということにもなりますので、現在の100万円と1年後の110万円は同じ価値になりますよね。

この現在の100万円を「現在価値(PV:プレゼントバリュー)」と呼び、換算する金利を「割引率:ディスカウント」と呼びます。

そして、現在価値の合計を正味現在価値と呼び、計算方法がDCF法と呼ばれます。

現在価値を計算できるようになると「投資するべきか」「投資しないべきか」の判断材料の一つとして役立ちます。

なぜなら、現在価値よりも投資額(自己資金)が高ければ投資する価値が低く、現在価値よりも投資額の方が低ければ投資する価値があるからです。

例えば、金利10%が得られる物件に1,000万円投資したとしましょう。
そうすると毎年100万円を得られますが、6年目に1,000万円で売却したとします。表にすると下記の通りです。

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現在価値については表の通りで、1年目の現在価値は90万円、2年目は82万円、3年目は75万円、4年目は68万円、5年目は62万円、6年目は売却益を合わせて620万円、となり、6年間、金利10%で運用した現在価値合計は997万円です。

~正味現在価値の計算方法~
・1年目:年間の収益 ÷ (1+割引率)
・2年目:年間の収益 ÷ (1+割引率)の2乗
・3年目:年間の収益 ÷ (1+割引率)の3乗
・4年目:年間の収益 ÷ (1+割引率)の4乗
・5年目:年間の収益 ÷ (1+割引率)の5乗
・5年後:売却時利益 ÷ (1+割引率)の5乗
※上記合計額=正味現在価値

そして、投資額(自己資金)1,000万円よりも正味現在価値である997万円の方が低いので、この物件への投資価値は低い、と数字で確認することができ、その結果「投資しない」という判断にいたります。

そして、「投資額(自己資金)-正味現在価値」をNPV(ネットプレゼントバリュー)と呼び、NPV=△3万円は先述したように、投資額(自己資金)よりも正味現在価値の方が3万円低い、と確認することできるのです。

銀行がDCF法で物件の評価額を計算する際には、直接還元法と同じよように、金融機関が独自に定めている基準があり、例えば、年間の収益であれば「2~3割減」、金利(割引率)は10%、期間は「耐用年数-経過年数」、というように設定した上で評価額を求めますので、もし「家賃収入×1‐30%」「金利(割引率)10%」「試算期間30年」であれば、DCF法による評価額は8,000万円弱となり、これが評価額となるわけです。
※この計算はエクセルの関数を使えば直ぐに求められます。
=PV(利率、期間、家賃収入)

いかがでしたでしょうか。今回は収益還元法 ➡ 直接還元法 ➡ DCF法 ➡ 正味現在価値 ➡ NPVの順でお話をさせていただきました。

次回は「IRR」のお話をさせていただくこととし、本日はここまでとさせていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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