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蒼い終章

何かのインタビューで「何故、作画監督が連名か?」の問いに
「彼らに実力がなった」旨の監督のコメントを見た気がする。
ブログに指摘された本来やりたいスタッフじゃなかった…。
それはそうなのかもしれない…。

自分は試写まで自らがクレジットされる事も承知してないし
気にもしていなかった。(ゴースト)
上映前に先駆け出たムックの記事見て
「俺は何をやってたんだ…???」と思った記憶があります。

アニメーターはフリーといえど、半年~1年の何かしらの番組の
ローテーションに組み込まれています(基本)。
突然、スタッフに穴が空き、それを埋めようと、かき集めると言ったって
限界があり、突然オファーされれば、調整しながらの作業になります。

この作品。アニメーターをブランディングして売り(契約条項?)
としたからか?あの現場責任を遂げた者達は沈黙、
「?何やったんだよ?」ってな人等が騒がしい。

地を這い泥水を啜って職務職責を投げ出さず果たした者達は実在する。

人物修正で言えば、たぶん最後に会った稲野さんかな?と思いますが
詳細は知りません。
メカの原画で言えば、こりゃオーバーキャパだろ?と自分事情も通して
タイムシートの記名から知る人がいました。シーン内でもスケジュール上
引き上げられたのかポツポツ別の人が混ざってた覚えです。

その数か月後か?その方は、お亡くなりになったと耳にし、
今回、不幸にも確認しました。古泉造司さんという方です。
フルネームは初めて知りましたが、この仕事が終わった後の疲れを
思い返せば…と自分に照らし感じる所があります。

YouTubeなど、たまに見ておると、逆襲のシャアのワイワイ動画みたいな
物のタイトルだけ目にします。
えーっ?デザインに関わり?何故?火中に飛び込んで手伝わなかった?
アニメーターだったろ?とか愕然…。(世渡り上手ってやつなのかな?)

ああいうワイワイは、私には縁はありませんし、
最近、身を持って解ったのですが祭り上げられる気もない。
無料~はした金でヨイショして質問ばかりのインタビューに応じれば
それを書き起こしさえすれば、彼らには著作権料が生じる。

評論家、研究家というなら作品の「長所」「短所」を把握。
世間常識や他分野の知識からなる文化的評価が出来なきゃ不味い。
単に近づいて媚び、その側に立ち物を言い、懐に銭を入れる。
質問一行しかないコメント文章書きとめるだけなら、変造しない分
ボロいテープレコーダーの方がマシだよ。

思い入れとの葛藤だった、つらかった作業
メカシーンだったら、ここは何て苗字の人が原画担当くらい
まだ言えるかもしれない…。

アニメとゲーム、ユーザーは一緒くたにしたがりますが
その二つの業界で、喰らって生きた者として物凄い違いがあったと
言っておきます。

タイトーに入り、予算建てを任された時。
ドット屋キャラの外注さん一人分のギャラは、月90万円+出来高※でした。
90万円という額は、当時の30分物アニメ1本の総動画制作料と同じです。

ゲームキャラ屋さん二人分もあれば30分アニメの原動画が作れます。

タイトー社は数千万円の予算をかけたゲームを一本没にするのも何て事
ありませんでした。
アニメ制作だったら会社ひとつ吹っ飛びます。

アパート引越しの件で、当時最後の会社の社長と揉めた事を含む
アニメ業界が、とっても、とても、小さく見えました。


当時、社内の動画家N君が満面の笑みで「仙波さんの原画がアニメ誌の載ってますよ!」と雑誌を買ってプレゼントしてくれた。…確かに作監修正の線も無きゃクリーンナップの痕跡も無い、俺の原画のまんまだ…。そん時は「そんな物なのかな?」で済ましたが、今思えば、無断使用であり、
この扉絵下に設定画と他の原画を掲載、文章スペースは4分の1程しかないが、筆者は1ページ分のギャラを持って行っただろう。                             

アニメのクレジットなんて、いい加減な物で30分物で10人原画担当してもクレジット枠4とかザラでした…。
皆さんの良く知る大ヒット名作アニメの一つは、編集を実写の超大物監督
が担ってますが、その歴史は決して表に出ません。
又、アニメ界の困窮状況は、ある巨匠の意識が原因ですが、それを私が
喋れば、熱烈なファンから批判をくらい、やはり歴史に残せないでしょう。
(労力、思考使って、リスク覚悟のジャーナリストなどがいないしね)

マニアの方で好きでクレジットから追ってる人や、それを売りにしようとするメディアも多いかもしれませんが、やはり作品というのは総合で評価をした後、深く細部に拘ってもらいたいなと思い、願います。

(※実際、ひと月/90万円はタイトーからの拘束料として、下請け会社に
発注しますが、多くをアニメ業と兼業する下請け会社が現場職員に
支払っていたのは出来高だけでした。)

今、多様な働き方として非正規化を進めていますが、日本の制度的に
対応しておらず、わずかな一部を除き、国民総アニメーター化しそうな
危惧を持って見ています。

1円にも、ならなかった逆襲のシャア-完-

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