天国か地獄


 明日、バイト先の人達とBBQに行く。これだけなら微笑ましいイベント、誘ってくれてありがとう、といった感じだが、私にとっては大きな岐路である。

 前提として、私は個別指導塾のバイトをしている。バイト自体は楽しくやれている。しかし、楽しくやりすぎなのだ。私はうるさい。周りが私に対して何を思っているだろうか?気にしすぎではない。私のスタイルは明らかに他の人と違う。普段の授業を周りに聞かれているという事実とこれからその人たちと会話をしなければならないという未来は私の前身を耳へんの心で満たしている。
 
 そもそも私の中で生徒は客であり、年下の教え導く存在である。もちろん恋愛感情などのようなものは浮かばず、二人三脚でより良い時間にすることを心から願っている。そのためなら労力を惜しまない。自分をぶつけることが仕事だし、手応えも感じている。生徒を指導している時の自分を私は自信を持って肯定することができる。しかしこの2人の外はどうなのか、我が校はブースにほとんど区切りがない。よって私の授業は周りに聞かれている。これは周りの反応を見てもそうだと確信できるし、私も周りの授業を聞いている。たまに周りが笑っていることを確信することがあるが、そうではない人もいるだろう。

 めちゃくちゃな構成=先が予想できない構成で申し訳ないが、BBQに行く同じ校舎の人が俺以外皆女なのである。バイト先ではあまり会話がない、しかしお互いの人となりはなんとなく授業から予想できる、という状況でこれから戦いに行かなければならない。自分は許されるのだろうか?男子校から2年のオンライン、ゼミに入り損なった私は世間体に押しつぶされそうだ。あまりにも経験がなさすぎる。しかし失敗はしたくない。この立場では、どう考えても憂鬱だ。私に対する評価は0か100だ。個性的だから。ほんとにそうなの?俺のことどれだけ期待してるの?俺だけが希望を持ち、その希望ゆえに苦しんでるの?

 年下とは自分を出せる。なぜなら年下だから。舐めているのである。しかし、同世代はなめられない。女性に対する恐怖心があるのだ。得体の知れないものすぎる。未知との遭遇である。女性に対する恐怖心は2パターンある。自分が女性に拒否されてしまうのではないかという恐怖と美化しすぎた女性像に現実が追いつかないのではないかという恐怖心だ。後者に対して自己防衛のために相手を低く評価する私の悪きシステムも懸念だ。さらに私は規範意識が強く、かつ自分が規範を守れていない立場だと自認している。自分に自信がないのだ。何を話せばいいんだろう?自分から話しかけなきゃダメなのかな?2人で話してたら他の人と話せないから迷惑かな?どんな思惑でみんな来てるんだろう?ここではどう行動するべきなのかな?心配事が多すぎる。

 そもそも、集団フリースタイルトークが苦手なのだ。そもそも自分に価値がないと思っているから話しかけられない。

 加えて、立ち回り次第では今後に関わってくるのではないかという懸念もある。萎縮しちゃうヨ。私は繊細で傷つきやすく、罪の意識をしばしば感じるやかましい規範意識の強く、かつ常に反体制派なのだ。愛を求め、良い立場を求めることについては人後に落ちないが、プレッシャーへの弱さも人後に落ちない。ユーモアのセンスがあると思っているが、それはサイコロを振ることと相互不可分である。私はコンサバな革命家なのだ。

 やっとのことで白状するが、私は気になる女がいるのだ。死んだ魚の目をした爆乳の女、スタイルが完全に好みなんだ。内面を見るほど洗練されていない私の恋愛観の前に現れた天使もしくは悪魔。性格は今の所可愛げない。しっかりしている。前回は緊張して話せなかった。俺はご飯に誘いたい。けど糸口がわからない。何食べたいとかない。喋るタイミングあるのかも知らない。キモい奴にはなりたくないがキモい奴にならないと正解は出ない?イケメンなら許されて俺には許されないことなんてないよな、なぜなら俺がイケメンだから。ドシタンハナシキコカ?

 俺を生み出したのはこの国の不満や!死なば諸共や!やめてやるこんなバイト!当たって砕けて前に進むんや!自分の全てをぶつけるんや!自分の中に毒を持て!下半身主導で生きろ!健全やろ?

 俺はやる。やりたいとかやらなきゃとかじゃなくて天国にしてやる。

 

  
 

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