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インドネシア 系と人

 インドネシアは多民族・多宗教の国です。
 よくイスラム教国とかイスラム国家と書かれることもありますが、あくまで国民の大多数(85 %くらい)がイスラム教徒なだけで、他の宗教信者もいますし、なにより国が指定した宗教(国教)もありません。
 しかし、国民はどの宗教でもよいが、唯一神への帰依をするように定められています。
 そのため、建前上は無宗教または無神論者は存在しません。

 少し理屈めいたことをいいますと、唯一神への帰依云々とありますが、ヒンドゥー教や仏教など多神教はいいのかな?などと思うことはあります。

 民族(または部族)も多くあります。
 民族と部族の違いは、、、を述べるには私の力が足りていませんので触れませんが、インドネシアではどこの系統なのかが重要だったりします。
 どこの系統なのかとは、たとえばドイツ系アメリカ人のドイツ(系)や、ロシア系フランス人のロシア(系)のことです。

 民族や部族はbangsa やsuku と言います。suku の方が小さな区分を、bangsa の方が大きな区分を意味しますが、特に違いもなく使われることも少なくありません。
 また、上記の系統(◯◯系)や国籍を表わすときにもbangsa を使うことがあります。たまにsuku も使われます。
 その際は良い意味ではなく、たいてい悪口かケンカの時です。
 日本語でもドイツ人や中国人という表現は(良い文脈でも悪い文脈でも)普通に使われますが、ドイツ民族や中国族と書けば、民族意識を扇動する以外には、たいてい悪口か馬鹿にした文脈になるのと同じです。

 ここで、◯◯系◇◇人という例をあげましたが、実はインドネシア語では◯◯系と◇◇人を分ける表現がありません。
 ですから文脈でどっちなのかを判断する必要があります。
 たとえば、
 Dia orang Cina.  彼(彼女)は中国人だ。
 というときの彼(彼女)の国籍が中国であるとは限りません。中国系であることを意味することもあります。
 orang Arab (アラブ人、アラビア人)も同様に国籍がアラブ(のどこかの国)なのか、アラブ系なのかは文脈によります。
 英語でもChinese American なら中国系アメリカ人と明確にわかりますが、単にHe is a Chinese. だと国籍が中国なのか中国系なのかは文脈によるのと同じですね。

 系統のことをいっているんだよ、と明確にするときにはturunan (keturunan)を使います。turunan (keturunan)は子孫という意味の単語です。基語はturun でこれは降りるとか下がるという意味です。
 Dia turunan Cina. とあれば、彼(彼女)は中国系だ(直訳すれば、彼(彼女)は中国人の子孫だ)となります。
 会話ではturunan で使われますが、書き言葉ではきちんとketurunan が使われて、
 Dia keturunan Cina. と書かれます。

 宗教については記事を改めたいと思います。

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