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中学受験 漢字学習のつまずきを考える

「漢字の形」(図)と「意味」が結びつかない。

覚えればいいのだというけれどなかなか漢字が書けない。書けない理由は学年や個人によって異なるようです。

①小学低学年では、画数の少ないもの、川とか山など物の形からできたもの、大きいとか小さいなど身の回りの様子・性質を表すものから学び始めます。
②四年生になると部首を習い、漢字の構造の一部を知ります。
③次に、漢字には象形文字(物の形を象った文字)、形声文字、会意文字などがあることを知ります。
④漢字熟語には、反対(左右・明暗)、類義(調整・勤務)、主語述語(地震)などの関係からできていることを知ります。

漢字学習は、②から④を全て使って習うことが前提になっています。ですから「受験でよく出る漢字」などを手に取る前に基礎力が十分でないと、暗記の段階にとどまります。

例文:「地方からジョウキョウした大学生は夏休みにキョウリキセイした。」
答えは
「地方から上京した大学生は夏休みに郷里帰省した。」

一番まずい考え方は、「ジョウキョウ」だけ見て漢字を書こうとすることです。一文の初めから終わりまで読んで意味を考えることを習慣にしましょう。

「上京」は、④(熟語組立)で考えると「京に上る」となります。
「地方から上京する」の意味も考えて書くべきです。
「京」には「みやこ」と呼ぶ読みがあること。「上」には「のぼる」(例:上り電車)の読みがあることも当たり前にしておかなければなりません。

「キョウリ」ですが、どちらも音読みの漢字です。
「音読みの漢字は必ず意味を調べろ」は、漢字学習の基本です。

郷里」について、「」も「」もどちらも「さと」と読めます。④でみると「ほぼ同じ意味の漢字」からできた熟語になります。

帰省」はどうかというと、両者とも「かえる」「かえりみる」と読みます。
「帰郷」と同じ意味ですが、「帰郷」は「郷に帰る」。「帰省」は類義の漢字からできています。
」は、漢音だと「せい」、呉音だと「ショウ」です。(漢も呉も王朝名です。)大修館書店によると意味の違いはないそうです。慣習的に、
「セイ」と読めば「かえりみる」
「ショウと読めば「はぶく」、(役所の「環境省」の「省」があります)

まとめ:漢字学習は、実は分析したり統合したりする基礎力を養う訓練になるものです。そのためには、「②、③、④」などの知識を使っての学習を身につけることが大切です。
音読みしかない漢字の意味をしっかり学習することも重要です。

あそび:

小学校の配当漢字は、1026字あります。
中学校で習う漢字と比べてみると、小学校で習う漢字の方が多義的です。
また音読みも、訓読みも二つ以上ある漢字がたくさんあります。ですから小学校での漢字教育は最重要項目の一つといってもいいと思います。

例:( )の中には異なる音読みが二つある漢字がはいります。例にならって答えてください。
首( )合
答:都。  首都(しゅと)、都合(つごう)

問題
①倍□先  ②安□脈  ③帰□略  ④成□職
⑤実□状  ⑥計□家  ⑦大□作  ⑧製□業
⑨世□接  ⑩交□表  ⑪質□足  ⑫善□寒

この出題形式は実際に入試で出されたことがあります。
こんなクイズのような問題は好きではないのですが、配当漢字を徹底して学習してほしいとの意図が見られました。
答えは下にあります。






率:①ばいりつ・そっせん
静:②あんせい・じょうみゃく
省:③きせい・しょうりゃく
就:④じょうじゅ・しゅうしょく
行:⑤じっこう・ぎょうじょう
画:⑥けいかく・がか
工:⑦だいく・こうさく
作:⑧せいさく・さぎょう
間:⑨せけん・かんせつ
代:⑩こうたい・だいひょう
素:⑪しっそ・すあし
悪:⑫ぜんあく・おかん

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