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続 結婚は宝くじに当たるようなものと聞いたが、実際はどうよ4話

 

(2024年漫画原作部門に応募、3話までの続き)
 桜田風子35歳、独身、職業看護師、現在婚活中だが、初めの結婚相談所で紹介されたお見合い相手はセクハラ野郎で敗北。
次に行った相談所は、理想に近い男性がいたらしいが、紹介される前にお相手が急遽転勤になりあうこともできず、負け続きの婚活。
 夜勤明けで疲れた体で、スーパーにより昼食の弁当を選んでいる。
生姜焼き弁当を手に取り、数日前に職場の先輩に言われたことを思い出す。
「あんた、もう若くないんだからさぁ~料理できるようになっ方がいいんじゃない?」
その先輩はバツイチだが、2人のこどもを成人にまで立派に育てあげている。
「そうは言っても、料理教室に行こうにも・・・・」
頭の中で、料理教室へ行き、ボス的な怖いおばさんにしこたま叱られている想像をする。
「あんた、包丁も使えないの?」
という声がする。
子どもの頃は包丁を持って料理をした記憶があるが、両親に「まずい!!」と言われて自信を失い、実家を出てからは殆ど料理をしたことがなかった。
「とりあえず、料理本を買うかな?」
疲れた体に鞭を打ち、本屋にも寄る。
スーパーで購入した弁当は生姜焼き弁当の他、かつ丼、メンチカツ、から揚げと体に悪い看護師とは思えないものを買っている。
夜勤明けの食欲は、異常だ。
本屋に着くと、早速料理本コーナーに足を運ぶ。
ふとみると、風子に合いそうなタイトルの本が目に入る。
「包丁を使わない料理?」
子どもの頃、包丁で指を何度も切り包丁は本当に苦手であった。
立ち読みすると、スライサーを使った料理を紹介している。
しかもちゃっかり、スライサーの販売の紹介も出ている。
「スライサー5枚で8000円?安いのか、高いのかわからん」
早速スライサーを買って、使うことにした。
 きゅうりをスライサーで千切りにする。
「いやー面白い」
すごい速さでどんどんきゅうりが、千切りにされていく。
調子に乗って、かなり早いスピードで手を動かした。
「いたっ!」
右手の人差し指が傷んだ後、少し時間をおいて出血してくる。
あわてて救急箱を出し、消毒しカットバンを貼る。
「本当に私ってばかだなあ」
溜息をついていると、携帯電話がメールの受信を知らせる。
チャラリン♪
エプロンをしたまま長椅子に座り、メールを確認する。
「あ、望月くんじゃん」
「昨日スゲー好みの20歳代の家事手伝いの子がいてお見合いを希望したんだけど、その子、年収800万円が希望だってさあ、こんな田舎にそんな好条件なやついる訳ないじゃんねぇ」
メールの内容はこうだ、最後に怒りの絵文字がついてる。
「あはは~あんただって充分に理想高いじゃん、45歳の年収200万円台のあんたが20代の女子求めるなんてさあ」
大股を開いて、意地悪い顔で笑う。
「私の方が余裕じゃない?年収500万円台の引く手あまたのナースなんだからね」
風子は看護師を言うことで、変な自信をもっていた。
更に、幼少期から苦労してきたということもあり、神様はみんなに平等であるというならばこれからの人生は薔薇色に違いないという妄想に近い思考を持っていた。
ちなみに、この日の風子の夕食はキュウリとショウガと長ネギをみじん切りにした冷やしそばだった。
「望月くんに、なんて返信しようかな?」
再び携帯電話のメールを見てため息をつく。
「ちょっと望月くんも理想高いんじゃない?もう少し理想を下げてみては?」
そう返信してみる。
5分もせず、望月から返信が来る
「早!!」
返事を確認する。
「俺は充分理想を下げているよ、金を払っているんだから、あの芝原のおぼさんも相手を説得してほしいよ」
「はあ・・・・」
返事を呼んで、溜息が出る風子。
「金を払っているから、俺の言うことを聞けってこと?」
そう呆れていると、もう1通メールが来た。
「お前はいいよな、看護師じゃん、年収500万円だし、選び放題じゃん、うらやましいわ」
ーー結婚って、年収や年齢が関係するのね
「まあ、生活するにはお金は大事だけどね」
ベランダに出て、星を眺める
その時、流れ星が見えた。
「どうか、幸せな結婚ができますように」
 職員健診の結果が届く。
「え、貧血?」
風子の健診結果は、貧血の値を示していた。
思い当たることが浮かばない。
「大した事ないかぁ~」
びっくりするほどの低い値ではなく、医師のコメントも
「様子をみましょう」
と書いてあったため、気にしないことにした。
いつも通り仕事をやり、帰宅する風子。
「今日、転院してきた患者さんの病名は初めて聞くたら勉強しよう」
看護師辞典を引っぱりだし、調べる。
チャラリン♪
携帯電話のメール受信をしらせる音が鳴る。
確認すると、望月だった。
「今度は妥協して30歳の女性を紹介してもらったよ、年収250万円、事務員。もうしょうがないよな~」
文章の最後に、笑った絵文字がある。
ーー35歳の私に対する嫌味?30歳で妥協?お前45歳だろ?
ムカついていると着信がきた。
ブライダルカンパニーの芝原だ。
「はい、もしもし」
「あ、桜田さん?芝原です、お待たせしてごめんなさいね。桜田さんにどうかなと思う人がいてね」
明るい声の芝原。
「え、本当ですか?」
ぱぁっと表情を明るくする風子。
望月は何人か紹介されているようだが、風子にはまだ1人も紹介されていない。
「相手の男性にはいっていないんだけど、45歳の方で老人ホームにお勤めの年収200万の方どうかしら?桜田さんの条件よりは少し外れるけど・・・」
ーーん?その条件って、望月くんに似てない?
「え?あ、はい」
「本当はこどもが欲しいから20代の女性を希望しているらしいけど、まあ、今は高齢出産の年齢もあがっているから、いいとおもうの」
「・・・・・・」
ーー望月のことだよね?聞いていいのかな?
「あ、あの・・・」
「はい、なにかしら?」
唾をのんだ後、聞いてみることにした。
「その男性、望月さんではないですか?」
「え?あなた知っているの?」
かなり驚いた様子の芝原。
「この前、そちらに伺ったときに、駐車場で会ったんです、前の職場で一緒に働いていた人です」
「あら~世の中、狭いわねぇ・・・この町は田舎ですものねえ」
ーー私もびっくりよ
「なら、話は早いわ、どうかしら?」
ーーどうしたらいいんだろう?さっき、いやな思いしたしな・・・
しばらく悩んだあと、決心する風子
「私の個人情報は最小限に伝えて、聞いてもらうことはできますか?」
「そうね、では35歳の看護師さんってだけ伝えるわ」
「はい、わかりました」
ピッ!
電話を切る。
長椅子に座り、携帯電話を見つめる。
「望月くんとお見合いなんて、考えてもみなかったなあ」
ーーあ、望月くんが介護士の試験に受かったら、専業主婦かパートでいいかな?
お見合いもしていないうちから、結婚した後の考えが出てくる。
 数日後ーー
チャラリン♪
望月からのメールが届く。
「ちょっと聞いてくれよ~35歳の看護師はどうかって~笑っちゃうよな~35歳なんてこども産むのむりじゃん」
文章の最後には、笑顔の絵文字つきである。
「!?」
全身の毛が逆立ち、怒りをあらわにする風子。
「この、くそじじい!!」
動悸が起きて、息がきれる。
すぐに芝原に電話して、望月から来たメールの内容を伝えた。
「え~そんな酷い人なんて、知らなかったわ、教えてくれてありがとう」
お礼を言われた
「芸能人だって40歳過ぎて出産する人もいるのよ、失礼しちゃうわ」
 数週間後ーー
「何か太ったかしら、お腹が出てきたわ」
風子のお腹は、過食はしていないつもりだが、下っ腹はぽっこり出ている。
「何か生理も重いし、出血が増えているような」
生理の時の出血【経血)が多いので、生理用のリハビリパンツみたいな使い捨てのパンツをはいて、夜用の大きなナプキンを使っている。
普通のナプキンでは出血が多いので、ズボンやスカートまで生理の血がしみ込んでしまう。
「何かがおかしい」
生理の血が多いので、産婦人科へ受診する。
検査結果を見た医師はいった。
「うわ~子宮筋腫でいっぱいだ」
ーーえ?まじ?
「これは筋腫を小さくして、手術するしかないね」
ーーえ、手術??
「まず、ホルモン剤を打つの1か月置きに受診してください」
「は、はい」
筋腫は良性で命に別状はないが、手術をしたことがない風子は不安だった。
治療をすることは了承した。






 







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