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平日の価値

休職して三週間が経った。休職生活にもだいぶ慣れて穏やかに暮らしている。その間はカフェで読書したり、映画をみたり、サウナに行ったり、秋冬向けの服のショッピングに行ったり、今までの現実とはかけ離れた生活が続いている。これらを全て平日に行っているというのが自分にとって、とんでもないことなのである。

仕事のことや会社の人たちのことをほとんど考えなくなった。心配事や悩み事から開放され実に心穏やかだ。

この三週間で気付かされたのは、平日というのはどこに行ってもたいていは空いていて、何をするにも都合が良いということ。

社会人になって有休をとることが憚られる職場で働き続け、実際土日とGW、お盆、年末年始にしか旅行や行楽ができなかった僕にとって、このことは大きな衝撃であった。現実にこれを体感してしまうと、人生観が変わってしまうほどなのである。

妻からはいつも聞かされてた。平日はガラガラで土日だけでやってるようなショッピングモールの様子や、旅行の予約をするときに必ず連休シーズンは価格が上がるため平日どこか土日と合わせて休めないのか、といった苦情など。簡単に言うなよ、そんなのムリだよ、と法事などよほどの理由がない限り有休をとることを初めから諦めて考えようとすらしてこなかった。

なぜなら、これまで平日に休んだことはあるけど、たいてい仕事の電話が何件も入ったり、何かトラブルが起こって対応に追われるといったことが起きた。だからその経験から、平日に休むと面倒な事が起こるという嫌な予感がし、物理的に対応できないことを他人に頼まなければいけない億劫さを抱き、仕事を休んだ罰だとそんな自分を呪い、「ごめんなさい。もう二度と有休を取るなんてふざけたことは考えません」といった精神状態に陥るのだ。

こういうの、最近の言葉で「社畜」って言うんですよね? 職場も悪いかもしれないけど、自分も何かおかしい気がする。

しかし、今の僕は平日に休むこと、平日のコスパの良さ、平日の有効利用を知ってしまった。これまで平日の価値を分かっていなかった。

これから今の会社に戻るのか、転職するのか、どうするのかは未だ決めていないし、分からない。ただこの体験は忘れないようにしたい。平日に休むことがいかに有効であるか、平日に有休が取れる職場がいかに幸せであるか、休むことがいかに人間の気持ちや体をラクにさせるかということを。



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