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「目が覚めたら乃木坂4期生の○○でした」 第7話

目が覚めたら乃木坂4期生になっていた××(現世の名前:○○)は、レッスン後に4期生と食事をして、○○とのエピソードを話してもらった。

その後も世間話や仕事の話が続き…。

早川「美味しかった〜!」

田村「いろんな話もできたしね〜!」

○○「みんな今日はありがとう、私のために」

賀喜「全然、もう仲間だもん」

遠藤「早く記憶戻るといいね」

○○「うん」

賀喜「じゃあそろそろ出ようか!」

○○「あ、その前に私ちょっと手洗いに…。」

早川「いってらっしゃ〜い」

《男子トイレ》


ガチャッ

男たち「!?」

○○「ん…?」

○○は服に手をかけハッとする。

××(あ、やらかした…。)

そこにはこちらを向いて絶句する2人の男性がいた。

○○「すいません間違えましたーーっ!!」

《ファミレス前》
○○「はぁ…。」

賀喜「あれ?お手洗い行ってきただけだよね?どうしたの?」

○○「いや、なんか、数分のうちにすっごく気疲れした…。」

賀喜「…?」

田村「じゃあね〜」

早川「また明日な〜」

遠藤「また明日〜」

賀喜「バイバーイ」

そんな具合で解散する。

○○はナビを起動して自宅の場所を検索する。

今朝唐突にいた部屋の場所などわかるはずがない。

しかし、アプリには自宅の住所が登録されていなかった。

これではナビのしようがない。

××(嘘だろ…俺、家帰れないぞ…?)

遠藤「○ちゃん」



○○「ん…あれ、さく帰らないの?」

遠藤「みんなは向こうだけど私はこっちだから」

遠藤「というか、もしかして、今の自分の家も忘れちゃったんじゃない?」

○○「あ、まぁ、うん…。」

遠藤「私の今の家と近所だから、送るよ」

○○「え、そうなの?」

○○「じゃあ、お言葉に甘えて、お願いしてもいい?」

遠藤「は〜い」

遠藤「大変だよね、朝起きたら記憶がなくて、突然乃木坂のレッスンなんて。」

遠藤「私だったら想像できないよ」

○○「うん、まあね…。」

××(一部嘘なのは心が痛むな…。)

遠藤「といってもね、私も不安なんだ…。」

遠藤「乃木坂としてやってけるのかなって」

○○「え?」

遠藤「皆んなには中々言えないんだけど、お見立て会の練習も正直心配な箇所ばっかりで…。」

遠藤「お見立て会でこんなボロボロじゃ、これから乃木坂として先が思いやられるなって…。」

○○は遠藤の顔を見た。

彼女の瞳は段々と涙が溢れ、街灯や車の光に反射していた。

遠藤さくらは、これから期別曲のセンターから始まり、表題曲でも2回センターを務める。

しかもそのうち一回は乃木坂で恒例となっている新メンバー売り出しシングルに、加入したての経験の浅い状態でセンターに大抜擢される。

4期生の代表となり、そして一時的に乃木坂の顔にもなる。

××は未来から来たからこそ、その事実を知っている。

彼女が涙を流しながら必死に努力していた事も知っている。

今お見立て会を前にして不安で涙する彼女を見ていたら、この先彼女を待ち受ける困難を知っている○○、もとい××は、声をかけずにはいられなかった。

○○「そりゃ誰だってそうでしょ」

遠藤「えっ…?」

○○「多分俺たちの中で誰も、お見立て会に集まるような何万人もの人の前に立った経験がある人なんていないよ?」

○○「大人数の前に立ったことあるって言ったって全校生徒が集まる体育館のステージ程度。」

○○「みんな不安なんだよ」

遠藤「……。」

○○「でもね、不安を我慢しろとは言わない」

遠藤「?」

○○「頼りなよ、周りの人間を」

○○「不安なんだって今みたいに打ち明けるだけで少し抜けていくものがある」

○○「さくの周りには4期生のみんながいる」

○○「かっきーも、まゆちゃんも、せーらも、勿論私も」

○○「みんなさくの力になる」

○○「さくの抱える不安もよくわかってる、同じだから」

○○「だからそのーさ、一緒に乗り越えてこうよ」

遠藤「……うん!」

涙を拭って遠藤は力強く頷いた。

その顔は泣きながらも笑顔だった。



××(ひとまずは大丈夫そうだな)

遠藤「ところで、なんか途中から口調が男っぽかったけど、今日ほんとに大丈夫…?」

遠藤「途中『俺』って言ったよね?」

○○「え、そ、そうかな、気のせいじゃないかな〜…?」

××(仕草の矯正にはまだ時間がかかりそうだな…。)

「目が覚めたら乃木坂4期生の○○でした」 第7話 終

続く

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